ざっくり、こんな宿
- 寝台列車「北斗星」をモチーフにしたホステル
- 徹底紹介! 細部にこだわった寝室で気分は寝台列車
- リーズナブルさ・利便性がバス旅行者にもぴったり
一度は乗ってみたかった憧れの寝台列車「北斗星」
平素より格別なご愛顧を賜り厚く御礼を申し上げます。
諸般の事情によりTrain Hostel 北斗星は2021年7月末を持ちまして株式会社R.projectによる運営を終了し営業休止を決定いたしました。
引用:Train Hostel 北斗星 Twitter
寝台特急「北斗星」は、1988年3月11日に上野ー札幌間を結ぶ夜行寝台特急列車としてデビュー。
豪華な設備と最新の車両で運行開始と同時に人気を集め、指定券を取るのが難しいほどのプレミアムな寝台特急となりました。
しかし、2015年春のJRダイヤ改正によって廃止。
8月の臨時列車での運行を最後に、多くの旅行者や鉄道ファンに惜しまれながら、その姿を消しました。
当時、関西に住んでいた私がわざわざ上野駅から北海道へ旅をしたのも、北斗星という寝台列車に魅了されたからでした。
往年の鉄道ファンや、寝台列車を知らない新しい鉄道ファンの人たち。また、乗りたかったけれど乗ることができなかった人たち。
そんなすべての旅行ファンの夢を叶えてくれる宿が、2016年12月15日東京馬喰町にオープンしました。
今日は新しいスタイルのゲストハウス「トレインホステル北斗星」を紹介します。
「トレインホステル北斗星」徹底紹介! 細部にいたるまでのこだわりで気分は寝台列車
トレインホステル北斗星の最大の魅力は、本物の「寝台特急北斗星」の車両パーツを再利用していること。
まさにリアルな寝台列車に泊まる体験ができます。
チェックインは16:00から。
寝台列車のプレートをイメージした受付の案内板が、いきなり旅情を誘います。
トレインホステル北斗星は、JR総武線「馬喰町駅」の4番出口から直結。アクセスが抜群によく、迷う心配がない立地なのも嬉しいポイントです。
客室には「北斗星」の本物の寝台ベッドが
一度でも寝台列車に乗ったことがある人なら、感動を覚えてしまう客室内。
かつて上野から北海道へと走った「寝台特急北斗星」の、本物の寝台ベッドがならんでいます。
こちらは北斗星のA個室ツインデラックスのベッド。
背もたれをひくとベッドに早変わりする機能も、当時のまま再現しています。
こちらが一般的な寝台ベッド。ベッドのカラーはフロア毎に統一されています。
こちらは、北斗星の最高級A個室ロイヤルを再現。
半個室の車内? に置かれたソファや椅子、装飾品の数々が、当時の室内を彷彿させます。
トレインホステル北斗星で1番人気のベッドは、女性専用客室に1つ、男女混合客室に1つと2室だけ。
いつも1番先に予約で埋まってしまうので、こちらに泊まってみたい人は予定が決まったら即予約しておきましょう。
ベッドの奥にある柱のような? ものは、実はハシゴ!
寝台列車の車両では、こんな風にふだん使わない時は畳んであり、上段のベッドへ登るときには左右へ拡げてハシゴにして登ります。
トレインホステル北斗星のベッドも、本物の車両からパーツを使っているため、当時の臨場感のまま楽しむ事ができます。
また、2階から5階まで各フロアの客室の表示も、寝台列車の車両表示そっくりの番号表を使用。
各客室の車両記号まで再現しているこだわりは、ファン心をくすぐります。
細やかなアレンジでベッド空間も快適
かつての寝台特急北斗星のベッドの幅はわずか70cm!
限られた車両スペースの中では贅沢はいえない環境でした。
当時は寝台特急に乗車できるという事だけで感動ものだったので、この幅が狭いと感じる余裕はありませんでした。
いま思うと、さすがにちょっと狭いかな?と・・・
トレインホステル北斗星では、ゲストハウスといえども、快適に過ごしてもらう為に、ベッドと壁に約10cmの余裕をもたせてあり幅が80cm。
わずかな差ですが、寝返りをうつ事もできる快適な寝台空間になりました。
読書灯も当時のモノをそのまま使い、ベッド空間はまさに寝台列車に乗っている気分。
灯りは枕元でメモをとるにも十分です。
ラウンジは「北斗星」の食堂車「グランシャリオ」を再現
2階には宿泊客が自由に利用できるラウンジがあり、看板には寝台特急北斗星の食堂車「グランシャリオ」のプレートが掲げられています。
トレインホステル北斗星では食事提供はありませんが、2階ラウンジでは自炊が可能。
共用キッチンに、食器やフォーク・スプーン、コーヒーや紅茶などのフリードリンクのサービスもあります。
私が泊まった日は、海外からのツーリストが思い思いに自炊をしたり、近くのスーパーマーケットで購入した総菜などで食事を楽しんでいました。
長期滞在型のバックパッカーは、こんなスタイルが一般的です。
寝台列車の面影を探せ!
トレインホステル北斗星には、ここまでに紹介した以外にも、寝台列車のパーツが至るところに使われています。
泊まった時にはぜひ見つけて欲しいです。
「セソヌキ?」「こじる?」これって日本語ですか!
書体のフォントも昭和のテイストであふれています。これは「センヌキ(栓抜き)」のことですが「セソヌキ」としか読めないのもノスタルジック。
「こじる」にいたっては、「こじ開ける」という立派な日本語なのですが、今では耳にすることもない言葉ですよね。
というか、それ以前に列車に栓抜きが設備されていること自体がミステリーです。
現在のように缶のドリンクがまだ一般的ではなく、栓抜きが必要な瓶のドリンクが売られていた頃の名残なのでしょう。
寝台列車に必ずついていた補助椅子
寝台列車の通路には、必ずこの補助椅子がついていました。
窓の外の景色を楽しむ時や、2階の寝台(上段)を使用している人と会話を楽しむ時などに利用され、使わない時はたたんでおくことができる。省スペースにもひと役かっていた設備です。
2階ラウンジの壁面にもこの補助椅子が設けられていました。
水回りや車内の灰皿まで再現
これらも当時のものがそのまま使われています。水回りの設備なので、すぐに見つけられるでしょう。
そして、こちらが昭和遺産? 列車の車内でタバコが吸えた時代の名残り、車内に設備されていたフタが開閉できる灰皿です。
ミレニアルズな世代には信じられないかもしれませんね。
JR東日本では1997年から全車禁煙となり、すべての車両から灰皿が撤去されました。
トレインホステル北斗星内は全館禁煙なので、こちらの灰皿を実際に使うことはできませんが、当時をしのぶ「時代のオブジェ」として楽しんでもらればと思います。
但し、この灰皿は5階女性専用客室にしかないので、男性諸君は残念ながら目にすることはできません。こちらの写真でご辛抱ください。
最上階にはシャワールーム・ランドリー
そして最上階6階には、シャワールームとランドリーが並びます。
シャワールームは男女別。シャンプーやボディシャンプーも用意されていて、広い洗面スペースにはヘアドライヤーも完備されています。
ランドリーは、個人旅行者には十分すぎるほどの大容量です。
ドミトリースタイルの部屋のセキュリティは?
「トレインホステル北斗星」は、ゲストハウス(簡易宿泊所)のため、ドミトリーの各ベッド毎に施錠することはできません。
ただ、客室へは暗証キーが必要なので、宿泊者以外の人間が自由に出入りできないようセキュリティが施されています。
また、貴重品ロッカーは各部屋の入った右側に。フロアが異なっても各部屋のレイアウトはほとんど同じです。
ロッカー番号は自分が利用する寝台(ベッド)と同じ番号のため、うっかり忘れてしまう心配は無用です。
まとめ
そんな興奮しっぱなしの「トレインホステル北斗星」でしたが、夜はぐっすり眠ることができました。
そして翌朝。
トレインホステル北斗星のすぐ隣にはコンビニエンスストアがあるので、いつでも必要なものを購入できるのがとても便利。
朝食もちょっと玄関を出たら、すぐに用意できました。
これは私が住んでいる奈良の家よりも便利で・・・ちょっと悔しいほど。
国内外の旅行者の人たちといろんなお話しをして過ごした楽しい時間の後は、名残惜しいですが出発です。
フロントの女性から暖かい見送りをうけて、今日も1日の旅がはじまります。
「いってきまーす! 」
宿泊のポイント
各客室は、男女混合のドミトリー2段ベッド。
海外のゲストハウスでは基本的なスタイルですが、慣れていない女性には、女性専用客室もあるので予約の際に伝えておきましょう。
料金はドミトリー2,500円から、A個室(半個室)4,000円から。
繁忙期等で料金は変動します。
また、館内にはスリッパがないので、もし必要な場合は持参しておくと便利。レンタルタオル(有料)はあるので、持って行くのを忘れたときでも安心です。
【閉業】トレインホステル北斗星
03-6661-1068 宿泊人数 78ベッド ドミトリー式2段ベッド・半個室
JR馬喰町駅4番出口直結 都営浅草線「東日本橋駅」B4出口徒歩3分 都営新宿線「馬喰横山駅」A1出口徒歩3分
(出雲義和)