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『呪術廻戦』両面宿儺が開祖のお寺「千光寺」
『呪術廻戦』は、週刊少年ジャンプにて2018年14号から連載中の大人気漫画。2020年10月3日~2021年3月27日にはアニメ版も放送されました。
2021年12月24日からは劇場版『呪術廻戦 0』が公開。こちらは公開50日間で興行収入108億円・動員784万人を突破し大ヒット中です(2022年2月12日発表情報)。
この呪術廻戦の聖地巡礼ができると話題のお寺が、岐阜県の千光寺(飛騨千光寺)。こちらのお寺、なんと呪術廻戦で主人公の身体に取り込まれる最強の呪霊・両面宿儺(りょうめんすくな)が開祖と言い伝えられているのです。
作中で両面宿儺は「1000年以上も前に実在したと言われている仮想の鬼神」と語られていますが、岐阜県にいたとなると、「えっホントにいたの!?」と驚く人も多いのではないでしょうか。境内には両面宿儺をお祀りする両面宿儺堂があり、円空仏寺宝館を含めて4体の宿儺像もありますよ。
今回は千光寺に残る実際の伝承に触れながら、簡単なアクセスルートもご紹介します!
なお、「千光寺」という名前のお寺は全国に幾つかありますが、両面宿儺伝説の残る千光寺は岐阜県高山市の飛騨千光寺だけです。訪問の際にはお間違えなく!
千光寺(岐阜県高山市)
千光寺は高野山真言宗に属する密教寺院。海抜900メートルの袈裟山の中に本堂があり、山全体が千光寺として信仰の対象となっています。
その開山は4世紀にさかのぼる、由緒正しい古刹。そして前述の通り、その開祖は両面宿儺と伝えられています。
実際の日本史の中では、両面宿儺の評判は大きく2つ。日本書紀の中では「飛騨に宿儺という両面四手を持つ異形の怪物があり、皇命に逆らい討伐された」逆賊として記されています。反面、飛騨国から美濃国にかけての伝承や千光寺に伝わる「千光寺記」では、「古代の飛騨を治め、龍や悪鬼を退治し、幾つもの寺院の創建に関わった」英雄としての伝承が伝えられているのです。
もちろん千光寺の開祖として伝わっているのは後者の姿。境内の開山・両面宿儺堂には石造りの宿儺像がお祀りされており、その他に3体の両面宿儺像を拝めます。
特に生涯で12万体の仏像を彫ったという僧侶・円空の手による木彫り像「両面宿儺坐像」は、県指定有形文化財にも指定されています。木肌の残る美しい木彫り像の、手に武器を持ちながらも優しさのある両面宿儺の姿は必見!
「両面宿儺坐像」などを拝観できる円空仏寺宝館は、4月~11月の期間に開館します。それ以外の冬季は休館するため、拝観を希望する場合は事前に千光寺へお問い合わせが必要です。
千光寺へのアクセス方法
千光寺はJR高山駅から車で約20分。駅周辺にはレンタカーもありますが、千光寺内は山道なので、タクシー利用がおすすめです。
高山駅から千光寺のバスはありません(最寄りバス停「町方」「丹生川中学校前」からは徒歩約1時間以上なのでおすすめしません)。
高山駅までの高速バス
高山駅へは岐阜県内はもちろん、東京・長野・石川・富山・愛知・大阪・京都と、主要都市からの直行バスが多数発着します。
東京から高山駅へ、乗り換えなしで到着できる公共交通手段は高速バスのみ。また大阪・京都・名古屋からは特急「ワイドビューひだ」でも直行できますが、高速バスだと所要時間はほぼ変わらずに料金が安くなるのです(※)。
高山濃飛バスセンター・高山駅前バスセンターへの直行便
(※例)
名古屋駅発のアクセス方法
電車(特急):所要時間 約2時間30分/料金 6,140円(乗車券3,410円+指定席2,730円)
高速バス:所要時間 約2時間20分/料金 3,100円
大阪発のアクセス方法
電車(特急):所要時間 約4時間25分/料金 8,450円(乗車券5,500円+指定席2,950円)
高速バス(なんば発):所要時間 約5時間16分/料金 5,000円
※特急は通常期の料金
※2022年2月調べ
千光寺アクセス時の注意
千光寺は前述の通り、山全体が千光寺。境内には、無舗装の場所や急峻な場所もあります。参拝の際にはお寺の入り口である極楽門(仁王門)まで車で行けるため、山道の殆どはショートカットできますが、それでも門から本堂までは百八段の石階段。なので参拝の際は、歩きやすい服・靴がおすすめです!
なお、健脚な方は山道を歩いて参拝するのもおすすめ。霊山の清々しいパワーをたっぷり受け取れますよ。
両面宿儺ラッピングバス
聖地巡りにぜひ使いたい「両面宿儺ラッピングバス」が、濃飛バスより運行開始!
というと「呪術廻戦のラッピングバスかな?」と思いがちですが、いえいえもっと硬派です。バスの両面にラッピングされているのは、千光寺にある円空作の両面宿儺座像。そして「両面宿儺」の文字。
2台あり、それぞれグレー基調とレンガ基調の色違いですよ。
両面宿儺ラッピングバスは、2021年7月より順次運行中。日によって運行区間が異なり、高山駅を起点に、新宿・名古屋・大阪など様々な場所へ運行します。2台限りのレアなバスなので、偶然乗れる可能性はかなり低め。なので乗りたい場合には、ぜひ事前にチェックを!
【おまけ】一緒に巡りたい! 千光寺近隣の両面宿儺ゆかりの地
飛騨国から美濃国にかけての、両面宿儺の英雄伝承がたくさん伝えられているということは……? そう、飛騨高山には、宿儺ゆかりのスポットが他にもたくさんあるのです!
そのうちおすすめのスポットを、おまけで簡単にご紹介しますね。聖地巡りの参考にどうぞ!
善久寺
千光寺に続き、善久寺も両面宿儺が建立したと伝えられるお寺。彩色美しい両面宿儺像がお祀りされています。拝観できるのは土日祝のみ。ただし土日祝でも拝観不可の場合もあるため、宿儺像拝観希望の場合は事前確認がおすすめです。
境内には宿儺ゆかりの「御膳石」もありますよ。こちらには「宿儺が朝廷との戦いに赴く前に村人からもてなしを受けたが、民に難が及ぶのを気遣い、軒から外れた石を膳に鍋を食べた」との伝承が残っています。
飛騨大鍾乳洞
見どころ満載の美しい大鍾乳洞は、飛騨高山の名スポット。こちらでは直径6.1mの大きさの鍋「日本一宿儺鍋」が展示されています。これは毎年11月3日に、両面宿儺を偲んで五穀豊穣を願い開催される「飛騨にゅうかわ宿儺まつり」で、以前実際に使われていたもの。
また鍾乳洞入口には、両面宿儺をモチーフとした丹生川町のご当地キャラクター「すくなっツー」の等身大パネルもありますよ。
飛騨大鍾乳洞
岐阜県高山市丹生川町日面1147 Google Map
0577-79-2211 4月〜10月:8:00~17:00(閉館17:30)/11月〜3月:9:00~16:00(閉館16:30) 年中無休
Webサイト
両面宿儺遥拝所
飛騨大鍾乳洞を少し奥に入ったところにあるのが、「両面宿儺遥拝所」。ここにも両面宿儺像が安置されています。この遥拝所のすぐ隣は、宿儺が生誕・居住していたと伝えられる「両面宿儺洞窟」。ただし現在、洞窟は落石の恐れがあるため立ち入り禁止となっています。
ではでは、飛騨高山の呪術廻戦・聖地巡礼をどうぞ楽しんでくださいね。
(陽月よつか)