2023年がスタートして早くも三が日もあと一日。忙しく過ごされた方も、寝正月だった方も、いらっしゃるのではないでしょうか?それぞれのご家庭のライフイベントやスタイルがあり、すごし方は様々なことと思いますが、古来お正月には、歳神(としがみ)様という神様が、「福」を持って家を訪ねてきてくれるため、払ったり流れたりしないよう、「ハレ」の日である三が日は、掃除や水仕事、喧嘩はせずに過ごそうというゲン担ぎがあります。
お節づくりや大掃除を大晦日にすませてしまい、新年は、親戚や親しい人と会ったりしつつ「福」を司る歳神様を大事にすることに集中する意味は、ご自身の今年の健康や幸福を願う時間と心の余裕(スペース)を意識的に作りだす風習ともいえるかもしれません。
正月三が日のタブー!? 縁起を担いでやらないこと
【お掃除や水仕事をしない】
年神様を払ったり流したりしないよう、ほうきで掃いたり、洗濯物など水で洗い流すようなこと全般が縁起が悪いとされているようです。とはいえ、一年、効率よく気持ちよく過ごすお家のことを家族みんなで考え、手を動かして快適な空間を作り出すとなるのであれば、それはそれでよい時間となりそうですね。誰かが一人だけ不満を抱えることがないようにしたいですね。
【刃物を使わない】
縁が切れるなどのイメージをさける、包丁を休ませる、ケガを防ぐ、などのいろいろな意味がありそうです。おせちやお雑煮だけで、、、というわけにもいかないかもしれませんが、なるべくなら、みんなでゆっくりしたいですね。
【火を使わずに炊きをしない】
煮炊きをすると灰汁(あく)が出ることが「悪」を連想させるため、避けます。
また、竈の神、は火の神である「荒神様(台所の神様として祀られる日本古来の神様)」が三が日はお休みしているため、火をおこすと荒神様が怒ってしまうという説もあるようです。
トイレの神様は聞いたことがありましたが、台所にも神様がいらっしゃっるのですね。
家族を守る台所の荒神様のお札を出しているお寺や神社もあるようです。
【四つ足の動物の肉を食べない】
仏教の教えからきている(殺生禁止)、天武天皇が僧侶の肉食禁止令を出したなどから、お節料理には、肉を入れるのは避けられていたようですが、現代はそこまで神経質になる必要はないかもしれません。但し、私たちが様々な生命のエネルギーを頂きながら生きていることにつながりと感謝を忘れないでいたいですね。
食養生では、穀類4~5割:野菜4割:動物性のもの1~2割が健康の秘訣です。ご馳走が並びがちな年末年始ですがバランスよくいただきましょう。
【ケンカをしない】
1月は和風月名では「睦月(むつき)」といわれ、仲良くすること・仲睦まじいこと・互いに親しみ合うなどの意味を持つ「睦」の字が使われています。
人生の悩みのほとんどは「自分自身」との関係、そして「他人」との関係からといいます。やみくもにぶつかったり、我慢したりではなく、まずは「自分自身」に慈愛をむけ本当に心の奥底から必要としている状態がどのようなものなのかに向かいあいましょう。解決策やTO DOにとらわれるのではなく、お互いが本来はどのような状態であれば満足なのかお互いの奥底のニーズを能動的に聞きあうことができると良いですね。そんな「睦」のマインドや姿勢があれば、すでに良い方向性やよい関係性への道は始まっているといえそうです。
【大きなお金を使わない】
新春のセールや福袋に心躍る季節です。6つ目のタブーだけは、ゲン担ぎというよりも、新春のお祝いで気持ちが軽やかに高揚している私たちに、注意喚起や戒めとして追加されたのでは、、、と思ってしまいますが、確かに「1年の計は元旦にあり」、大事なお金です。計画的にということでしょうか?
【参考】
三が日に掃除はNG?お正月三が日にやってはいけない6つのタブー [結婚式・披露宴マナー]オールアバウト
もうお雑煮頂いた?あなたの地域のお雑煮は?
お正月は、初日の出や書初めなど、やることがたくさんありますが、豊作や幸せを祈願した元旦の歳神様へのお供えのお下がりを頂くことから始まった「お雑煮」はもう頂きましたか?
その名の通り、様々な具材を煮合わせることが語源といわれています。お供えのお餅や、豊作物、海産物を、新年に汲んできた水「若水」に、初めて灯した火で煮込んで食べたことから始まったそうです。
農林水産省のお雑煮のページには、全国のお雑煮が掲載されています。あなたの郷土のお雑煮はありますか?レシピも載っているので、ほかの郷土の雑煮に挑戦してみるのも面白いですね。各地の腕利きシェフのお雑煮レシピのサイトもあり、こちらもとても美味しそうです。
【北海道 鶏ガラだしお雑煮 】
鶏ガラだしでやや砂糖が入っている甘めのすまし汁です。
北海道は、お雑煮の種類も多種多様。札幌では主に鶏がらベースで、焼いた角餅が入っています。具材は鶏もも肉、大根、にんじん、ごぼうの千切りなど。
【岩手 胡桃雑煮】
「くるみ雑煮」は「くるみ餅」ともいわれ、三陸沿岸の宮古地方で元日の朝に食べられる代表的な料理です。正月だけでなく、結婚式のお祝いや不祝儀の膳、特別なおもてなしの際の最高のごちそうとしてふるまわれます。
大根、にんじん、ごぼう、鮭、凍り豆腐などを入れたしょうゆ味の出汁汁に、焼いた餅を入れ、餅を食べる時には、そのまま汁わんから食べたり、別の器に入れた「くるみだれ」をからめるなどして、2種類の味が楽しめます。
【名古屋 シンプル雑煮】
餅は焼かずに、かつお出汁で煮て柔らかくします。戦国時代の激戦地であったことから、白い餅を焼くことが「城が焼ける」ことを連想させ、縁起が悪いとされたためです。具材は餅菜(小松菜の仲間)、醤油、塩で味を調えて、かつお節をのせるだけのシンプルなもの。愛知県内はもとより、近隣の広い地域で食べられています。
【京都 白味噌雑煮】
かつおと昆布出汁を使った白味噌仕立て。焼かずに煮た丸餅が入っています。具材は里芋、金時にんじん、大根など。これらはすべて丸く切り、「家庭円満」「物事を丸く収める」といった願いを込めています。かつお節をかけていただきます。
【鹿児島 海老雑煮】
特産物の、エビを焼いて乾燥させた香ばしい「殻付干し焼きエビ」で出汁をとり、具材にさつまあげを加えるのが特徴です。
干し焼きエビ、干し椎茸、昆布を一晩水につけてゆっくり旨味をだします。鹿児島の甘口醤油を使うとより現地の味になるようです。
【参考】
全国のいろいろな雑煮:農林水産省
全国のお雑煮レシピが楽しめる(シェフご飯レシピ)
地域の滋養がいただけるお雑煮。じーっくり味わいましょう。
1年のウェルビーングについて、自分の満足のイメージを心にしっかり描けるよう、お正月三が日をはじめ、1月はゆったりとした時間や心のスペースを作ることができますように。今年もどうぞ健やかにお過ごしください。