〜空の不思議、全部ここにある〜 ところざわサクラタウン 角川武蔵野ミュージアム5F 9月25日(日)まで
夏休みの自由研究といえば、「お天気観測」が定番。でも、毎日の天気や気温を記録する他、これといったアイデアはなかなか浮かばない……と悩んだら、埼玉県所沢市へ!
その名も「すごすぎる天気の図鑑展」で、お天気にまつわる自由研究テーマをしっかりゲットできます。他にも、雲やお天気の疑問や不思議を一気に解決する展示もたくさん。さあ、現地からレポートをお伝えします。
「すごすぎる天気の図鑑」とは?
この展示会は、「すごすぎる天気の図鑑」という本の中からピックアップした内容を立体化したもの。著者は雲研究家で映画「天気の子」やドラマ「おかえりモネ」の気象監修・資料提供もした荒木健太郎氏です。「すごすぎる天気の図鑑」は、続編も合わせると累計34万部突破の、最も売れている天気の本となりました。
「雲は何でできている?」「雲の中ってどうなってる?」「天気図はどう読むの?」といった、身近な雲や空の疑問をやさしく分かりやすく、すっきりと解決してくれるこのシリーズ。可愛いキャラクターもたくさん登場し、すいすい読み進められます。書店に行ったらぜひ手に取ってみてください。もちろん、展示会場にも並んでいます。
漢字にはルビが付いていたり写真やイラストがふんだんに使われていたりと、子ども向けの体裁なのですが、「実は大人にもじゅうぶん楽しめる」「ずっと感じていたお天気の疑問が解けた」というレビューも数多く見られます。いつも持ち歩いて、空を見上げて雲の種類を確かめたり虹を探したりといった使われ方もされているようです。そんな本の世界が再現されている展示会、行く前からワクワクしてきませんか?
そのまま本の中に入っていくような感覚
会場となっているのは、東所沢駅にほど近い「ところざわサクラタウン 角川武蔵野ミュージアム」。隈研吾氏設計の建物はメディアにもよく登場するので、ご覧になったことがあるかも。この5階でエレベーターを降りると、フロアには天気図鑑の世界が広がっています。
本をかたどった入口から、展示場内へ。順路には開かれた本のページのような展示パネルが並んでいます。雲に関するテーマが中心で、例えば「『雲が動物に見える現象』にはちゃんと名前がある」「雲ができるのは、空気が汚れているから?」など、実際の本に掲載されている内容を、大きく分かりやすく展示。立ち止まって読んでいると、本の中に吸い込まれていくようです。
途中、「十種雲形の雲分類」というページがあり、名前を調べたい雲がどんな特徴を持っているかの質問に沿っていくと、答えにたどり着きます。
例えばこれは何雲でしょう? 十種雲形のページをたどっていけば、わかるはず。
(答え:積雲)
その他、「アイスキャンディーでも雲ができる」「虹色の彩雲」「ゲリラ豪雨」など、みんなの興味を惹くテーマが次々と現れます。
ハイテクを駆使した「なりきり体験」ゾーンは圧巻
次のゾーンには、「VR」「AR」「MR」という、現実とデジタルを融合させたアトラクションが並びます。
まず、VR(デジタル映像の中に入り込んだような体験ができる技術)へ。何やらジムで使うような器具の上に乗り、両足を固定。VRゴーグルをかけてスタートすると、目の前は積乱雲の中。雨が激しく降りしきる空から、真っ逆さまに地上めがけて落下!
ぐんぐん迫る地面に思わず声が出てしまいます。映像に合わせて体を逆さまにされているので、実際に重力がかかって落っこちていく迫力は満点。「VR雲バンジー」のタイトル通り、その後は上に引っ張られるように戻っていきます。
AR(タブレットなどで現実世界のデジタル映像を投影する技術)体験コーナー「雲AR 空への扉」にはタブレットが並び、その画面を通じて別空間へ入っていくことができます。タブレットをぐるりと回していくと、それにつれて景色も変化。空に浮かんでいるのが何雲か、今まで見てきた展示の知識を総動員して当ててみましょう。雲の種類はタブレット画面の下で切り替えることもできます。
次は、MR(複合現実=現実世界と仮想現実を組み合わせる技術)を使った「MRお天気リポーター体験」。その技術で自分がお天気ニュースのリポーターになりきることができます。グリーンバックのスタジオに立って、マイクと原稿を渡され、「キュー」。モニター画面には自分が渋谷の交差点に立っている映像が流れ、「ここ渋谷では……」とカメラに向かってレポート開始です。ひとつ度胸を付けて、お天気リポーターになりきってみては。
※「VR雲バンジー」は別料金。
実は夏休みの自由研究の切り札かも
この「すごすぎる天気の図鑑展」のサブテーマは「自由研究」。ちょうど夏休みということもあり、特に小中学生にはピッタリではないでしょうか。来場者全員に「雲の自由研究ガイド」の冊子がプレゼントされます。
制作は、荒木健太郎氏。中を開くと、「雲の自由研究を使用」というガイダンスから始まります。雲を観察するノウハウが丁寧に並んでいて、これに沿って観察や撮影、気象状況を調べていけば、とても充実した研究になることは間違いありません。
調べるポイントや参考文献も細かく載っているので、ちょっと差が付く夏休みの提出物が完成します。冊子の表紙にあるQRコードからは、自由研究の例やさまざまな雲の写真なども載った、さらに詳しいガイドを開くこともできます。
荒木健太郎氏は、「自由研究を通じて雲研究者になってほしい」という思いを持っています。空を見上げれば誰でも目にすることができる雲。そんな身近な大自然には、地球規模の営みが映し出されています。雲を科学することが、地球環境を考える入口になるかもしれません。
まずはたくさんの人に「雲って楽しい」と思ってもらえることが大切です。「すごすぎる天気の図鑑展」は、その大きな入口になるに違いありません。
会場にはかわいすぎるキャラがいっぱい
会場のあちこちに登場する「パーセルくん」はじめかわいいキャラクターは、荒木健太郎氏がフリーハンドで描いたものを元にデザイナーが仕上げたのだそう。まるで雲や太陽が動物のように動き出しそうで、このシリーズの人気に一役買っているのでは。
勉強になる内容が盛りだくさんなのに、全然難しくなくすんなり入ってくるのは、もともとの本が持っているエンターテインメントな心のおかげです。この展示会にもそれが隅々まで活かされ、ひとつながりの世界をつくり上げています。
他にもさまざまな施設やショップ、レストランなどが入っているところざわサクラタウン。「すごすぎる天気の図鑑」と一緒に楽しめる、夏のお出かけ先として最適です。
開催概要
すごすぎる天気の図鑑展
ところざわサクラタウン 角川武蔵野ミュージアム5F
9月25日(日)まで 日〜木 10:00-18:00、金・土 10:00-21:00
※最終入場は閉館の30分前
入場料(税込) 一般(大学生以上):1,200円/中高生:1,000円/小学生:900円/未就学児:無料
休館日:毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合は開館・翌日閉館)
特設サイト:https://tokorozawa-sakuratown.com/special/tenkizukanten/
※最新情報は角川武蔵野ミュージアムホームページをご覧ください。
https://kadcul.com/