今季のコンサドーレ札幌は、「ダブルトモキ」の活躍がJ1昇格の鍵を握る。右サイドアタッカーのMF近藤友喜(23)と、ベルギー1部コルトレイクから完全移籍で3季ぶり復帰のMF高嶺朋樹(27)が対談。呼び方、札幌に残留&復帰を決断した理由、お互いの印象など、ぶっちゃけトークを展開した。【取材・構成=保坂果那】
-札幌のトモキが2人になった
高嶺 友喜が残ってくれると思っていなかったから、うれしい。J1昇格には大事なピースだから。
近藤 僕は最初記事で(高嶺の札幌復帰を)見て、いやいやいや…みたいな、来ないだろみたいな感じだったので、まさか来てくれると思わなかった。
高嶺 ハル(コルトレイクDF藤井陽也)にすぐ連絡して確認してたでしょ?
近藤 はい。同い年で小、中学と名古屋のアカデミーで一緒なので。
高嶺 「多分行くよ」って言ってたでしょ?
近藤 はい。マジかって思って、めっちゃうれしかった。けどすぐに同じ「トモキ」って気づいて、どうなるのかなって。
-お互いの呼び方は「朋樹君」と「友喜」
近藤 周りが困ってるって感じ。
高嶺 だから友喜を「コンちゃん」でいいんじゃないって。多分どっちを変えるにしても違和感ある。(札幌下部組織の先輩の深井)一希君が俺の方を変える方が変だからって言っていて。
近藤 チームメートで同じ名前は初めて。
高嶺 俺も。
-お互いのプレーの印象は
高嶺 1年目から横浜FCで試合に出ていて、去年札幌に来て、(23年夏に海外移籍した金子)拓郎の穴をどう埋めるのかなって思っていたけど、拓郎がいた時みたいな“戦術近藤”みたいな形になっていた。J1でもトップの突破力と、昨季後半戦に関しては、アシストとかもしていたので、そういうところもすごく期待している。やってくれる。
近藤 僕も(前橋育英、日大の先輩の)金子選手がいた影響で札幌の試合は大学時代から結構見ていた。つぶせるし、キックうまいし、一緒にやったらおもしろいだろうなって思っていた。走ったらパスが来そうなので走るだけです、僕は。
高嶺 左サイドはできるの?
近藤 いやぁ厳しいです。
高嶺 右の方がいいんだ。珍しいよね。右利きで。俺はシンプルに友喜が1対1ができるようにサイドチェンジとか、フリーだったらボールをつけて1対1にさせるとか、やりやすいようにさせるだけ。パスを出せば1対1で抜いてくれるから、あとは中に入っていくとかもできるようになるんじゃないかなと思う。後ろのサポートがいらないから、それを意識してゴール前に入っていけるようにしたい。
近藤 去年はあまり大きいサイドチェンジってなかった。それをやることで1対1の局面って生まれやすくなると思う。あとは僕次第かな。
-岩政大樹監督(42)とは個人面談も実施した。どんな言葉をかけられた?
高嶺 大学の時から知ってくれていたって話をしていた。鹿島の監督の時に俺のことを獲得しようとしてくれたけど、「高くて買えなかった」って言っていた。だから「一緒にやれてうれしい」みたいな話で、うれしかったですね。
近藤 僕は「思ったより頭柔軟だね」って言われた。3人目の動きとか、多分ドリブラーって言われる人ってオフザボールの動きってそんなに得意な人多くなくて、監督自身も今まで会ってきた中でそういう選手が多かったみたいで。僕はもともとドリブラーじゃなかなったので。めっちゃ小さかったし、スピードもなかったので、動きだしのところが特徴だった。それが大学に入って身体ついてスピードで抜けるようになったので、監督も動き出しは求めてる部分だから、自分の良さは出せるかなと思う。
-高嶺選手が海外からJ2の札幌への移籍を決断したことを岩政監督は支持している
高嶺 海外に行くのは年齢も大事だなってちょっと思った。年齢と行くチーム。自分がいたチーム(コルトレイク)から欧州5大リーグの上位とか中位以上のチームに行くっていうのは、ちょっと難しいと思った。多分もう1チーム挟まないといけないってなると、年齢は30も近くなってきて難しくなってくると思った。いろいろ考えた中での札幌って決断だった。
近藤 海外の話は聞きたい。
高嶺 行きたい気持ちはあるの? 来年25歳? 全然行けると思うよ。俺はベルギーでやってみて、全然できたし、Jリーグってやっぱりレベル高いんだなっていうのはすごく感じたし。友喜も全然可能性あると思うよ。
近藤 成績次第。なんでもかんでも海外に行きたいっていう思考じゃないので、もう日本でやることないっていうレベルで世界に行きたいっていう風にならないと僕は行きたくないかなって思う。
高嶺 得点とかアシストとかってこと? ドリブルキングにならないとね。金子拓郎みたいに。
近藤 僕はあのレベルを見ているので。あそこでもやっぱりA代表っていうのは遠いわけで。まだまだ海外に行くには足りないのかなって部分が多い。
高嶺 なんで札幌に残ったの? オファーはなかったの?
近藤 正式なオファーをもらう前に札幌残るって決めて。4チームくらい話はもらっていたけど、A代表を目指すって考えた時に課題はたくさんあるわけで。90分持たないとか、キックの質のところも数字に直接つながる部分だし、そこが足りてないって思った。どうしてもJ1でやらないとそこを補えないかって言われたら、別にそうじゃないし、札幌に残ってもそういう部分は良くなっていくし、札幌でやりたいなって思って。多分正式なオファーが来ちゃったら、もっと迷ったと思うけど、12月の最後ぐらいまで決断しなかったら、札幌にも声をかけてくれたクラブにも迷惑がかかっちゃうって思ったから、早めに決めた。
高嶺 すごいね。俺だったらもうちょっと先延ばしにして、クラブと条件交渉したりするかも。結局正しい決断にするかどうかは自分次第。やっぱり今年チームとしてJ1に上がることを第一優先にしてやらないといけないなと思う。
◆近藤友喜(こんどう・ともき)2001年(平13)3月21日、愛知・春日井市生まれ。名古屋U-12、15から前橋育英高、日大。21年に横浜FCの特別指定選手としてJ1デビュー。23年プロ入り。同年U-22日本代表選出。24年に札幌に加入。J1通算61試合7得点。172センチ、64キロ。利き足は右。背番号は33。ユニホームのネームは「TOMOKI」。
◆高嶺朋樹(たかみね・ともき)1997年(平9)12月29日、札幌市生まれ。札幌U-12、15、18から筑波大に進学し、19年ユニバーシアード日本代表として金メダル獲得。20年札幌でプロ入り。23年に柏、24年夏にベルギー1部コルトレイクに完全移籍。25年札幌復帰。J1通算136試合4得点。178センチ、74キロ。利き足は左。背番号は6。ユニホームのネームは「TAKAMINE」。