長谷部誠氏「生きてるなぁ…みたいな」指導者人生は「壁にぶち当たっている」と葛藤も充実感

報道陣の取材に応じるサッカー元日本代表の長谷部誠氏

サッカー元日本代表でドイツ1部のEフランクフルトU－21アシスタントコーチと日本代表コーチを兼任する長谷部誠氏（40）が12日、さいたま市内で行われたサッカー教室「WINTER CAMP」で約50人の小学生を指導した。

昨年4月に現役を退き、指導者人生がスタートしたばかり。「今日も大きな声を出してやりましたが（ドイツでは）自分の熱量を全て注入するくらいでやっている。選手時代に自分が魅力的だと感じた指導者は、熱量をグラウンドに持ち込める人。そこに自分もトライしている」と思いを口にした。

ドイツでは朝7時に練習場へ行き、選手の指導や対戦相手の分析に奔走。「現役時代は練習場にいる時間が5時間くらいだったけど、今は12時間ぐらい。（自身の）子どもたちからは『パパ、家にいない』とブツブツ言われながらも、それがいつか分かってくれる日が来ることを信じています」と笑う。新たに歩み始めた道は「日々壁にぶち当たっている感じ」と戸惑うこともあるが、同時に「うまくいかないことが多いのが新鮮。『生きてるなぁ』みたいな感じがある」と充実感をにじませた。

昨夏からは日本代表のコーチも兼任。「まだ数カ月。自分の中で『日本代表コーチ』という肩書を名乗るのは失礼なくらいの働きしかできていない」と謙遜しつつ、2つの国でレベルの異なるチームを指導することは大きな学びにもなる。「（ドイツの）20歳の選手たちと、（日本の）レベルが高い選手たちへのアプローチの仕方において、理解の違いがある。指導者1年目に2つのチームを見ることができるのは、自分にとってありがたい環境」と感謝した。

立場は指導者へ変わったが、選手時代のストイックな姿勢は不変。早寝早起きを徹底し、週5回は約10キロ走るように習慣化しているという。「クラブハウスから離れた練習場に行くことがあるので、帰りに自分だけ走ることもある」と笑顔で打ち明けた。