流れ変えたアブバカル＝途中出場で同点導く―Ｗ杯サッカー・カメルーン

　勝利には届かなかったが、カメルーンの選手の表情は充実感に満ちていた。１―０で迎えた前半ロスタイムに逆転され、重苦しい雰囲気に包まれた。ずるずると後退しかねない展開で、途中出場のアブバカルが同点に追い付く立役者となった。 　後半１０分ごろに投入されると、攻撃が縦に鋭さを増した。まずはタイミング良くＤＦラインの裏に抜け出し、技ありのループシュート。一時はオフサイドと判定されたが、ＶＡＲを経てゴールに。これで１点差に迫り、足が止まりかけていたチームがよみがえった。 　数分後には、速攻を仕掛けて右サイドを駆け上がる。中で待っていたチュポモティングに絶妙なクロスを送り、試合を振り出しに戻した。２０１０年南アフリカ大会でＷ杯初出場。長く代表を背負ってきたストライカーは、今大会２試合続けて先発を外れたが、ここぞの場面で働きを見せた。 　ソング監督は「私たちは決して諦めない。決して戦うのをやめない」と言っていた。その姿勢を取り戻し、試合終了のホイッスルまで必死に戦った。２００２年日韓大会のドイツ戦から続いていたＷ杯での連敗は８で止めた。１次リーグ最終戦の相手はブラジル。覇気を取り戻した「不屈のライオン」が、サッカー王国に挑む。　（アルワクラ時事） 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、ゴールを決めるカメルーンのアブバカル（左）＝２８日、アルワクラ 〔写真説明〕後半、同点ゴールを決め喜ぶカメルーンのチュポモティング（右）＝２８日、アルワクラ（ＥＰＡ時事） 〔写真説明〕前半、試合を見守るカメルーンのソング監督＝２８日、アルワクラ