一般的な高齢者の方の熱中症対策の場合、室温管理や水分補給などに注意するように本人に伝えた後は本人に任せ、たまに水分がとれているかなどを確認することで、対策としています。
しかし、認知症の方の熱中症対策は、本人任せでは十分とは言えません。
今回は、お金をかけずにできる認知症の方の熱中症対策をお伝えします。
認知症の方の熱中症対策は、本人任せではできない
認知症の方は季節や時間の感覚などが違い、物忘れもあるため、本人に熱中症対策で気をつけるべきポイントを伝えたとしてもなかなか実行できないことが予想されます。
認知症の方の熱中症対策は、普段の生活で、本人が自然に熱中症対策を行っていけるように、環境づくりや家族や介護サービス事業者の細かいサポートが必要になります。
手間をかける必要はありますが、お金をかけずにできますので、ぜひ取り組んでみてください。
熱中症対策として、家族ができるサポートを2つご紹介します。
1. 暑くなり始めた時に、本人と一緒に衣替え
認知症の方は自分で季節に合った服を着ることが難しかったり、いつも決まった同じ衣服を繰り返し着ている場合があります。
熱中症対策のためには、季節に合った、涼しい衣服への衣替えを本人と一緒に行う必要があります。
そして、秋冬用の衣服は、本人が入らない部屋や介護者の家に持って帰るなどして、暑い時期の衣服のみを本人が着るような環境を作ります。
2. 体調や水分補給の確認は本人宅で直接確認
認知症の方に電話などで顔を合わせることなく体調や水分摂取の確認を行った場合、正しい答えが返ってきているとは限りません。
認知症の方の体調管理や水分摂取の確認のためには、短時間でよいのでできるだけ、自宅に赴き、本人の状態を見ながら、体調や水分摂取などについて聞き取りましょう。
そして、冷蔵庫の中に入っているお茶などが減っているかなども確認しましょう。
熱中症になりにくい環境づくりをしておく
認知症の方が、独居だったり、日中ひとりになる時間が長い場合は、熱中症になりにくい環境づくりをしておくことも重要です。
水分補給ができるもの
水分摂取はお茶やスポーツドリンクでなくても、
ゼリーやアイス、水分の多い果物、食事時の汁物など
1日の中でさまざまなかたちで水分がとれるようにしていきましょう。
暑いから水分摂取をするという意識が薄い認知症の方には、本人がとりやすい飲料や水分の多い食べ物を用意しておくことで、水分摂取がしやすくなります。
室内温度の整備
エアコンは、タイマー設定をして、昼間や夜間、室温が上がりすぎないようにしましょう。
認知症の方は、エアコンを自分でつけたり消したりすることが難しい場合があります。
タイマー機能を使い、昼間や夜間など涼しく過ごせるようにしましょう。
高齢者の方は、
エアコンの風が直接身体にあたることを嫌がられる傾向
があります。
認知症の方の場合、エアコンを消すと暑すぎる室温であっても、消してしまうことがあります。
リモコンを隠しても、椅子を使って高いところにあるエアコンの元の電源を抜いてしまう方もいますので、エアコンの風が人に直接あたらないような設定するなど、エアコンがついていることを本人に悟られないようにする工夫が必要です。
介護サービス事業者の上手な使い方
現在、介護サービスを利用している場合は、事業者と連携して熱中症対策をとっていくことができます。
通所系サービスや訪問系サービスであれば、サービス利用時に
水分摂取をすすめてもらう
重ね着をしていたら適切な衣服に着替えをうながしてもらう
送り時やサービス開始時に、エアコンのスイッチを入れてもらう
などの対策をお願いすることができます。
本人任せでの熱中症対策が難しい場合、本人を見守る目は多いほうがよく、家族だけではなく現在利用しているサービス事業者にも協力をしてもらいましょう。
利用しているサービス事業者であれば、本人のことをよく理解してくれており、本人に合った熱中症対策についていろいろな提案をしてもらうこともできます。
お金をかけずにできる対策で熱中症を予防しよう
認知症の方の熱中症対策として、介護サービスの利用回数などを増やすなどもありますが、支給限度額や経済的な問題で、利用回数などを増やすことが難しい場合もあります。
今回ご紹介したように、お金をかけずにできる対策もありますので、本人の生活習慣や家族がどういったサポートならば継続できるのかを考えながら、熱中症対策をしていきましょう。
ケアマネージャーや利用している介護サービス事業者にもぜひ意見や協力を求めましょう。
家族が知らない本人の一面を介護サービス事業者が知っている場合もあり、有効な熱中症対策を提案してもらえます。
お金をかけずに熱中症対策をするとなると、どうしても家族の介護の手間が増えてしまいます。
介護負担を軽くするためにも、介護サービス事業者に協力を求めたり、手間が省けるように熱中症になりにくい環境づくりをしていきましょう。
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