経費精算など昨今では入力の手間が減り、かなりラクになってきました。
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紙ベースで手作業だった経理処理を、AIに作業させる技術を提供する企業があります。
ファーストアカウンティング株式会社は、経理処理や経費精算の時間を大幅に短縮する「経理業務に特化したAI」を提供している会社で、2023年9月に東京証券取引所グロース市場に上場。
年商500億円以上の企業を中心に84社にサービスを提供しています。
今回は、会計分野に特化した人工知能(AI)ソリューション事業を手掛ける、ファーストアカウンティング株式会社代表取締役社長の森啓太郎氏にお話を伺いました。
【インタビュアー】不動産クラウドファンディング比較、不動産ST投資「トチクモ」サイト運営者 かつさんど
ファーストアカウンティング株式会社について
経理業務のデジタル化とAI化を行う経理部門に特化したAIを提供し、株式会社MM総研より発刊された「経理DX領域におけるAI-OCR市場動向調査(2022年版)」の支払関連書類ソリューションにおいて売上額シェアで1位を獲得しています。
従業員数は2023年4Qの決算説明資料によると98名の従業員ですが、2024年12月末までに126名まで伸ばすと計画しています。
現在の株価
ファーストアカウンティング(5588/東証グロース)は、2023年9月22日に上場。
公開価格に1,320円対し、1.78倍の2,354円の初値を付けました。
同社の株価はその後も順調に推移しており、2024年3月24日には上場来高値3,725円を付け、現在も初値を上回る高い水準にあります。
日経平均株価に比べると波に乗り切れていないグロース市場の中、ファーストアカウンティング株は好調を維持しています。
強みと特徴
かつさんど:御社は、AI技術で経理業務を自動化・効率化を実現するサービスで業界をリードしていますが、御社の強みと特徴を教えていただけますか?
立ち上げ当初は、領収書や請求書のOCR(印刷された文書をデジタルファイルに変換する仕組み)を手掛ける会社でした。
その後、仕訳起票の効率化・自動化、特に経理分野に特化することで経理業務への理解を深め、AIの性能とソリューションを磨き上げ、経費精算業務や支払業務の効率化を実現してまいりました。
私たちはデジタル庁より認定を受けた※Peppol(ペポル)サービスプロバイダーです。
従来の紙の請求書やPDF請求書だけではなく、デジタルインボイスも同じ製品で取り扱うことが可能となり、「アナログtoデジタル」と「デジタルtoデジタル」を実現しています。
※Peppol(ペポル)とは、電子文書をネットワーク上でやり取りするための世界基準の仕様。デジタル庁がPeppol Authorityとして推進
ビジネスを始めたきっかけ
かつさんど:なぜ経理業務に特化した事業を始めようと思われましたか。ビジネスを始めたきっかけがあれば教えてください。
ビジネスを始めたきっかけは、前職でE-コマースの会社の社長をしており、 食品を仕入れて売る中で多くの請求書を受け取っておりました。
これをなんとか電子化したいと思いましたが、会計ベンダーなどから「請求書の電子化は難しい」とも言われました。
起業したのは7年ほど前。
当時、テスラやグーグルの自動運転が始まった時期で、自動運転中に人が出てきたらブレーキを踏み、信号が青なのか赤なのかという判断を自動でしていました。
「このコンピュータービジョンと言われる技術を使って、請求書などの紙の情報も読み込むことができるだろう」
と考え起業したのがきっかけです。
創業当時からの基本戦略として、3つの円の中心点のみに我々はリソースを入れるということをやっています。
特に大企業向けのDXに対して、1番関心があります。
多くの方がご存じの有名企業をはじめ、年商500億円以上の企業を中心に84社にサービスを提供しており、株式会社MM総研より発刊された「経理DX領域におけるAI-OCR市場動向調査(2022年版)」の支払関連書類ソリューションにおいて売上額シェアでNo.1 を獲得しております。
上場の理由と良かったこと
かつさんど:御社は、昨年9月22日に東証グロース市場に上場されました。上場しようと考えられた理由ありますか?また、上場前と上場後でビジネスにおいて何か違いはありましたか?
上場した理由は、市場で信用を得ることなど幾つかありますが、生成AIを自社で開発するための資金を調達することも理由の一つでした。
上場して変わった点は、3つあります。
1つ目は、採用させていただく上で非常に良い人材が増えてきたこと。
今までは来てくれなかった人材、例えばGAFAに勤めている方が弊社で働きたいということも増えました。
2つ目は、与信の部分です。
上場前は与信が通らなかったこともあったのですが、上場したことにより信頼性がアップし、与信に引っかかることがなくなったことが大きな変化です。
3つ目は、既存のお客様と新規のお客様に関しても、上場したことで安心してお付き合いできる会社だと思っていただけるようになったことです。
今後の配当や株主優待
かつさんど:御社の株価についてお伺いしたいのですが、現在の株価(4/4終了時 2,804円)についてはどのように思われますか?
株価自体にはまだ成長余地があると考えております。
将来的には時価総額1500億円を目指しております。
上場当初から信じて投資いただいている株主様には、良いパフォーマンスを提供できていると思います。
特に今は、グロース市場が非常に厳しいですよね。
機関投資家さんと話していると、グロース市場の中でファーストアカウンティング株は、上位1%のパフォーマンスを出しているのではないかっていうお話をされてますね。
現状、グロース市場は向かい風ですが、弊社の株価は伸び続けているという認識です。
今後の展望
かつさんど:株価対策、個人投資家へ向けての取り組みについてお伺いしたいのですが、4/4の終値2,804円から算出すると、配当利回りは0.07%、配当性向は6%ほどになります。
今後の配当政策についてどのようにお考えですか?
新NISAが始り、配当と株主優待に注目した投資をする人が増えている印象がありますが、 今後、株主優待を新設するご予定はありますか?
配当に関しては今後、力を入れていきたいと思っております。
結局、 株主様にはリターンがあることが重要だと思っています。
そういう意味で言うと、機関投資家さんは株主優待があまり好きではない印象もあります。
配当が増えると、機関投資家さんは買いを入れてくれるので、株価の面から言って個人投資家様にもメリットがあります。
このリターンで何か買っていただく方がきっとよろしいのかなという風に思っています。
配当性向に関しては、予想利益に対して10%を目標として配当を行っていきます。
当面の間、当期純利益においては、繰越欠損金等に関する税効果の影響が生じるため、実効税率に基づく税金費用を前提にして配当額を算定させていただく予定です。
個人投資家向けの取り組みは、NISA口座でも買いやすいようにということで、株式を分割しました。
※3/19に4月30日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表
取引最低金額を下げることで、購入しやすくなると思い株式分割しました。
弊社は経理業務に特化したAIの会社ですので、個人投資家さんに使っていただける商品やサービスではありません。
私たちが株主優待で商品券を配るっていうのは、あまり経済合理性がないと考えます。
配当をお配りして、ご家庭でおいしいもの食べに行ったり、教育費用などに使っていただきたいです。
弊社の株式を買うと、AIで何が変わるかが見えてくるはずです。
大切なお子様やお孫さんが「今後どうやって生きていけばいいのか」がつまびらかとなること、これが一番の優待なのかなと思います。
お金は人を幸せにせず、 幸せは良好な人間関係のみで生まれるということは、ハーバード大学の研究論文でもでてきています。
株主の皆さまと一緒になって未来を作っていきたいですね。
認知度を上げる対策
かつさんど:株式投資の魅力のひとつには、自分の好きなサービスや商品を作っている会社に投資することで応援でき、一緒に成長を感じられるというところがあると思いますので、まさにおっしゃる通りだと思いました。
御社の商品は個人使用が少ないため、魅力ある会社にも関わらず、まだ知らない人が多い印象があります。個人に向けて、認知度を上げる対策は何かお持ちでしょうか?
証券会社さんの動画インタビュー(ウェビナー)や株主通信への取り組みなど、1つ1つ着実にIR活動をやっていくことなのかなって思っています。
個人投資家さんとのコミュニケーションをより強化していきます。
具体的には、決算発表後に機関投資家さんと同じレベルで開示をする説明会を用意しようかなと思っています。
最近の個人投資家さんのご質問のレベルは、機関投資家さんとほぼ変わらないほど上がっています。
そういった方々のニーズも組むべく、個人投資家さんに関しても同じようなレベル感でフェアに情報開示していきたいという風に思っています。
株主総会以外でもイベントができないかと検討し始めております。
今後のビジョン
かつさんど:御社の今後のビジョンを教えていただけますか?
私たちはお客様や従業員の「制約を取り払うことで自信と勇気を与える」ことをパーパスとしています。
制約を取り払うことで人々を幸せにするということを、これからもこれを徹底していきたいと思います。
やはりDXは非常に重要です。
日本ではまだビジネスで使用されているFAXは、 アメリカではヘルスケアや法務など一部の業界を除き、メールなど別の手段に置き換わりつつあります。
請求書や発注書もますます電子化されていく時代だと思います。
「経理業務においては、ファーストアカウンティング」と位置付けられるようにしていきたいです。
AI革命と言われている今、何が伸びるかというとAI銘柄で、業績下振れリスクが少ないサブスク型だと私が個人投資家だったら考えると思います。
産業革命の時も、投資家と企業は両輪でした。
AIに関しては、 勇気を持って投資をいただくと、社会がより良くなる過程が感じられるという点も投資するメリットだと思います。
リスクを取っていただくのは個人投資家さんだと思いますが、1番重要なのは各投資家さんのご家庭、例えば、お孫さんの将来がどうなっていくのか、 AIがどうなっていくのかっていうのが見えることが1番のリターンかなと思います。
インタビュアー かつさんどの感想
今回、森氏にお話を聞く中で、ファーストアカウンティングの持つ商品力、安定したビジネスモデルと成長性を強く感じられました。
株式分割(4月30日を基準日として1株を2株に株式分割)も発表され投資しやすくなりますので、新NISAの成長投資枠での長期投資を十分に検討できる企業です。
マーケットから注目される「生成AI」、「DX」、「サブスク型」というテーマを全て持ち合わせており、ますます注目される銘柄です。
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