ネットオークションやフリマアプリには、さまざまな品物が出品されています。
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これらにもなかなか出品されない品物が、「官公庁オークション」には出品されています。
今回は、知られざる官公庁オークションの世界を紹介しましょう。
「官公庁オークション」とは
KSI官公庁オークション(以下、官公庁オークション)は、行政機関(市町村などの地方公共団体、警察、消防機関など)が出品しているオークションです。
2021年まで運営されていた「Yahoo!官公庁オークション」の後継ともいうべきサービスです。
通常のネットオークションやフリマアプリと比較して、かなり珍しい「物件」(出品されるアイテムの総称)があります。
また、再利用することで、環境負荷への配慮やSDGsに貢献できます。
「民間人の財産」か「行政機関の財産」か
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
出品の種類として、「インターネット公売」「公有財産売却」の2つのサービスがあります。
インターネット公売は、税金滞納者の差し押さえ財産を落札でき、代金は滞納者の未納税金などの支払いに充てられます。
公有財産売却は、地方公共団体、警察、消防機関などの財産を落札でき、代金は実施行政機関の歳入として活用されます。
「入札」か「競り」か
物件の落札方法として、「入札」「競り」の2種類があります。
官公庁オークションにおける、入札と競りの違いは以下の通りです。
・入札:1回のみ入札可能、最高価額入札者が複数の際の追加入札あり、次点落札あり
・競り:期間中何回でも入札可能、入札履歴を確認可能、自動入札機能あり
ネットオークションでは「競り」が一般的ですね。
官公庁オークションの流れ
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
まずは、官公庁オークションのサイトで物件探しです。
参加したければ「参加申込」をします。
入札期間になったら入札して、結果を待ちましょう。
最も高い入札金額なら、見事落札です。
代金の支払いや書類送付などの手続きをしたら、物件の受け渡しです。
過去の出品物件を一部紹介!
どんなものが出品されていたか、見てみましょう。
ちなみに、執筆時点ではオークションが開催されていないため、過去に開催されたオークションの物件を紹介します。
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
茨城県取手市消防本部警防課が出品していた消防車は、平成5年式で走行距離は1万5,927キロ、予定価格は50万3,340円です。
年式は古いですが、走行距離はさほどでもありません。
消防車は人気物件のようで、独自カテゴリが設定されています。
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
消防車と並んで人気物件の救急車を愛知県新城市が出品しており、平成23年式で走行距離は26万6,966キロ、予定価格は70万円でした。
先ほどの消防車とは逆に、年式は新しいですが、走行距離は結構いっています。
ちなみに、赤色灯やサイレンを外せば、一般人でも救急車や消防車を公道で運転できます。
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
長野県長野市役所総務部管財課が出品したのは、昭和の理科教材セットです。
分銅、はかり、輪軸、バネはかりのセットで、休校となった小学校で使用されていました。
予定価格は1,000円ですが、筆者はこのようなはかりをお店で見たことがないので、高いのか安いのか分かりません。
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
インターネット公売物件の中では、仙台国税局が出品する平成28年式で走行距離は11万1,575キロのレクサスが、656万1,000円で落札されました。
世界的な半導体不足によって中古車価格も値上がりしているので、お買い得だったかもしれません。
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
同じくインターネット公売では、札幌市中央区のマンション1室が5,514万円で落札されました。
ネットで相場を調べてみると、おおむね落札価格より高いです。
官公庁オークションのメリット
官公庁オークションでは、通常のネットオークションやフリマアプリとは似て非なるものです。
どのようなメリットがあるのか、紹介しましょう。
【メリット1】普通では買えない珍品がある
先ほど紹介したように、官公庁オークションでは、通常のネットオークションやフリマアプリでは入手できない珍品が多く出品されています。
紹介しきれなかった中にも、絵画やグランドピアノ、学校の机・いすなどがありました。
正直、他にどこで売っているのかよく分かりませんよね。
【メリット2】行政機関が出品者で安心
官公庁オークションの出品者は、その名の通り行政機関です。
ネットオークションやフリマアプリですと、得体の知れない出品者とトラブルになったり、お金を支払った直後に連絡がつかなくなったりということもあります。
行政機関とはトラブルになりませんし、連絡がつかなくなって雲隠れなんてことは絶対にありません。
安心して取引できますね。
【メリット3】意外とお得に買える
ネットオークションやフリマアプリでも安く買えますが、出品者も利益を最大化させようとしますので、なかなか安くは買えません。
官公庁オークションの出品者である行政機関は、いち早く現金化したい思いが強いので、お得に買える可能性が高いです。
官公庁オークションの注意点
掘り出し物が多く安心して取引できる官公庁オークションですが、注意点も多いです。
相手が行政機関だけに、特に手続きの面で注意点があります。
【注意点1】開催スケジュールが決まっている
≪画像元:紀尾井町戦略研究所≫
ネットオークションやフリマアプリが24時間365日開催されているのに対して、官公庁オークションは開催スケジュールが決まっています。
開催されたらすぐに参加できるわけでもなく、参加申込をしなければなりません。
会員登録(無料)をすると、開催前にメールで開催を知らせてくれますので、登録するのもいいでしょう。
【注意点2】保証金が必要な場合も
ネットオークションやフリマアプリでは、落札金額と送料、後はわずかな手数料程度を用意しておけばOKです。
一方の官公庁オークションには、保証金が別途必要となる場合があります。
概ね予定金額の10%程度で、先ほど紹介した消防車の保証金も予定金額の10%の5万334円です。
落札できなければ保証金は返金されますので安心してください(4週間程度かかるかも)。
落札できた場合、保証金は代金の一部に充当され、その残りを改めて支払います。
支払いに伴う手数料も利用者負担
出品者によって、設定支払い方法は現金書留、銀行振込、持参などさまざまな方法があります。
一般的なのは銀行振込ですが、銀行振込に伴う手数料は落札者負担です。
【注意点3】手続きが煩雑な場合も
≪画像元:福島県≫
公有財産売却物件の場合、必要書類の提出などの手続きが必要です。
インターネット公売物件、保証金納付方法や物件の種類によって、提出の可否が異なります。
国税局が出品する物件を落札した場合、物件の詳細ページに記載の国税局窓口まで、落札者自身が電話連絡しなければなりません。
【注意点4】現地に足を運ぶ必要がある場合も
後悔しない買い物のためには、現物を見ることが重要です。
特に、不動産物件や車両などは金額が高く、画面だけでは詳細が分からないので、見ておいた方がいいでしょう。
基本的に現状渡しのことが多く、車検切れやメンテナンスが必要な車もあります。
そんなときは、仮ナンバーを取得したり陸送を依頼したりするなど、現地に足を運ばなければなりません。
落札金額とは別に、交通費や各種料金がかさみそうです。
まずはお手頃価格の物件で「慣らす」のもあり
今回は、知られざる官公庁オークションの世界を紹介しました。
18歳以上であれば参加可能ですが、いきなり不動産や高級車を入札するのはハイリスクです。
予定価格1,000円の「昭和の理科教材セット」などに参加して、独特の流れに慣れておくのもいいでしょう。
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