株式や投資信託の譲渡益、配当金、普通分配金(特別分配金は非課税)には、20.315%の所得税や住民税などが課税されます。
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それに対して一般NISAや、つみたてNISAの口座を通じて株式や投資信託を購入すると、原則的に所得税や住民税などが課税されないのです。
これらの制度は廃止になりましたが、2024年1月からは一般NISAとつみたてNISAを統合した新NISAが始まったので、引き続き同様の税制優遇を受けられるのです。
ただ新NISAの税制優遇を最大限に受けようとすると、贈与税を負担する場合があります。
また新NISAで贈与税を負担するなら、家族が加入する社会保険の保険料を負担した方が良いと思うのですが、その理由は次のようになります。
新NISAは年間に360万円まで投資できる
各種のNISAには優れた税制優遇があるため、年間に投資できる金額に上限が設けられており、例えば一般NISAとつみたてNISAは次のような金額だったのです。
【旧制度の場合】
一般NISA:年120万円
つみたてNISA:年40万円
また一般NISAの非課税保有期間は最長5年、つみたてNISAの非課税保有期間は最長20年になるため、非課税で投資できる総額は最大で次のような金額だったのです。
一般NISA:600万円(120万円×5年)
つみたてNISA:800万円(40万円×20年)
それに対して新NISAには、一般NISAを引き継いだ成長投資枠と、つみたてNISAを引き継いだつみたて投資枠がありますが、これらの年間に投資できる金額の上限は次のようになります。
【新NISAの年間投資上限】
成長投資枠:年240万円
つみたて投資枠:年120万円
また非課税で投資できる総額は、成長投資枠とつみたて投資枠の両者を合わせて、1,800万円(ただし成長投資枠は1,200万円が上限)になります。
つまり成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、併用できなかった一般NISAとつみたてNISAよりも多くの金額を、1年間に投資できるのです。
仮に成長投資枠とつみたて投資枠をフル活用した場合、年間に投資できる金額の上限は360万円(240万円+120万円)になるため、5年で1,800万円に達します。
ただ1,800万円という上限は生涯に渡って使えるため、例えば毎月5万円ずつ積立して、30年間で1,800万円を使い切っても良いのです。
新NISAで使う資金を贈与する際には贈与税に注意する
個人からの贈与により現金などの財産を取得した時には、その取得者に対して贈与税が課税されます。
ただ贈与税を算出する際には110万円の基礎控除額を差し引けるため、暦年(1月1日~12月31日)に贈与を受けた合額計が基礎控除額以下であれば、贈与税は課税されません。
例えば廃止になった一般NISAは、年間に投資できる金額の上限が120万円(制度開始から2015年までは100万円)だったので、基礎控除額とほぼ同額です。
そのためNISAの税制優遇を最大限に受けたいと思う方が、一般NISAで使う資金を家族に贈与して口座を開設させても、贈与税をあまり心配する必要はなかったのです。
しかし新NISAは年間に投資できる金額の上限が360万円となり、基礎控除額を大幅に上回ったので、新NISAで使う資金を家族に贈与する際には、贈与税に注意する必要があります。
給与や年金に課税される所得税の計算方法
会社員に課税される所得税を計算する際は、次のように1~12月に勤務先から支払われた給与の合計から給与所得控除額を差し引いて、給与所得を算出するのです。
(A)1~12月に勤務先から支払われた給与(月給、賞与など)の合計-給与所得控除額=給与所得
一方で年金受給者に課税される所得税を計算する際は、次のように偶数月に支給された老齢年金の合計から公的年金等控除額を差し引いて、公的年金等に係る雑所得を算出するのです。
(A)偶数月に支給された老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)の合計-公的年金等控除額=公的年金等に係る雑所得
この後は給与所得と公的年金等に係る雑所得のいずれであっても、(B)→(C)という手順で所得税を算出します。
(B)給与所得(または公的年金等に係る雑所得)-所得控除(配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除など全部で15種類)の合計=課税所得
(C)課税所得×税率(課税所得の金額に応じて5~45%の7段階)-税額控除(住宅ローン控除など)の合計=所得税
社会保険料控除を受けると税金の増額を抑えられる
社会保険の保険料を納付すると年末調整や確定申告の際に、その金額分だけ(B)に記載した社会保険料控除を受けられるため、所得税が安くなるのです。
また住所地の自治体が課税する住民税は、所得税と同じような手順で算出するため、社会保険料控除を受けると住民税も安くなるのです。
こういったメリットのある社会保険料控除を受けられるのは、次のような保険料や掛金を納付した場合になります。
公的医療保険(国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療など)の保険料
公的年金(国民年金、厚生年金保険など)の保険料
介護保険の保険料
雇用保険の保険料
国民年金基金の掛金
例えば勤務先の業績が良くて賞与が増えた年や、生命保険の満期保険金などを受け取った年は、その分だけ所得が多くなるため、所得税や住民税が増えてしまう場合があります。
こういった年に納付を免除されていた国民年金の保険料を追納して、その金額分の社会保険料控除を受けると、所得税や住民税の増額を抑えられるのです。
社会保険料控除は誰の所得から差し引くのかを選択できる
例えば世帯主である親が、生計を一にしている子供が納付する国民年金の保険料を代わりに負担した場合、親の所得から社会保険料控除を差し引けます。
一方で妻の年金から天引きされている後期高齢者医療の保険料の納付を、夫の銀行口座からの口座振替に変えた場合、夫の所得から社会保険料控除を差し引けます。
つまり誰の所得から差し引くのかを、ある程度は選択できるため、社会保険料控除は他の所得控除よりも使い勝手が良いのです。
社会保険料控除の節税効果を上げたいなら、家族の中で所得税の税率がもっとも高い方(課税所得がもっとも多い方)の所得から、差し引いた方が良いと思います。
また家族が納付する社会保険の保険料を代わりに負担することは、その家族への間接的な贈与になりますが、上記のようなケースでは贈与税が課税されない点もメリットです。
そのため基礎控除額よりも多くの金額を新NISAのために贈与し、取得した家族が贈与税を負担するなら、基礎控除額を超える分は家族が納付する社会保険の保険料に回した方が良いのです。
なお死亡日から3年以内に贈与された財産は、相続財産に加算して相続税を計算していたのですが、これが2024年から段階的に拡大され、最終的には7年以内になります。
こういった改正点から考えると、生前贈与はできるだけ早く実施すると共に、社会保険料控除を使った節税策も活用した方が良いと思います。
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