普段から、台風や大雨などで公共施設に避難しているニュース映像を見ることがあると思います。
高齢者の方は台風の時は避難しなくてよいようにと、前もってショートステイを利用するなどが考えられますが、ショートステイを急に利用することは難しく、また、金銭面で利用することが難しい方もいます。
そうなると高齢者の方も避難が必要になった場合に、市区町村で決められている避難所に避難することになります。
最近は、避難所でもプライバシーに配慮された工夫がなされているところもありますが、慣れない環境で不眠や体調不良を訴える方もいます。
介護が必要な高齢者の方の避難所生活は、家とは違う環境で過ごすことにより、心身ともに消耗していきます。
今回は、災害時に備えて、高齢者の避難についてスポットをあてていきます。
ひとりで避難できますか? まずは避難方法から考えよう
台風などで警戒レベル3の高齢者等避難が出た場合、避難に時間のかかる高齢者は公共施設などの避難所に避難することが推奨されています。
家族と一緒に暮らしていたり近くに家族が住んでいれば、一緒に避難できますが、ひとり暮らしの高齢者の方の場合、難しいこともあります。
災害時に1人で避難が難しい、家族の助けがあっても避難することが難しい時に、地域の力を借り、避難ができる仕組みがあります。
避難行動要支援者名簿制度
災害時に避難支援などが必要な方を避難行動要支援者として、事前に名簿に登録し、災害発生時に地域の支援者が必要に応じて、避難誘導などを行う仕組みです。
各市区町村によって異なりますが、高齢者の場合、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯で、災害発生時に自分の力では避難できない為、地域の支援を希望する方が登録対象となることが多いです。
ひとり暮らしで、災害時に避難できるかどうか心配がある場合に、積極的に利用したい仕組みです。
災害時は、刻一刻と状況が変わる為、自分で災害の情報を確認し、避難しなければならない時もありますが、高齢者では難しい時もあります。
避難行動要支援者として名簿に登録しておくと、いざという時に避難場所への誘導の声掛けをしてもらえます。
また、平常時では、支援内容や避難方法の検討などをしてもらえる場合もあります。
災害時の動きの確認ができれば、避難時もスムーズに動けます。
家族が近くにいないひとり暮らしの高齢者の方や高齢者世帯の方は、登録をぜひ検討してみてください。
参照:練馬区 避難行動要支援者名簿制度のご案内
避難所にも配慮が必要な方には「福祉避難所」がある
災害があった時には、各地域で避難する場所である「避難所」が決められています。
まず、地域の人が避難する場所である、一次避難所は高齢者にとって生活しやすい環境とは言えません。
一次避難所で生活することが困難な高齢者の方は、その方の状況に合わせた配慮を受けられる「福祉避難所」が利用できます。
福祉避難所は、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設やホテルなどが指定されることがあります。
福祉避難所は、市区町村によっては、どこが指定されているかを公開しておらず、災害時に直接福祉避難所に避難することができないようになっています。
その場合は、一次避難所に避難した後に、福祉避難所に移る人が決定され、受け入れ先の福祉避難所に移ることができます。
身体が不自由だったり認知面の低下がある高齢者の方の避難は、本人だけでなく家族も不安が大きいものです。
ショートステイなどを利用できれば安心ですが、金銭面や施設の空き状況などで、誰しもが利用できるものではありません。
避難という非日常でも、配慮された避難場所があると覚えておくと、安心できます。
まずは、お住まいの市区町村で、福祉避難所が公開されているのか、自宅から直接避難することができるのか、直接福祉避難所に避難できない時はどうしたら良いのか等を確認しましょう。
参照:京都市情報館 福祉避難所について
避難する際の持ち物
避難所生活を送ることになった場合、高齢者の方が持っていった方が良い物があります。
高齢者ひとりでは、持っていける量に限りがありますので、個人の状態に合わせて持ち物を選んでいく必要があります。
例えば、次のようなものがあると安心です。
・ 処方薬
・ 紙パンツ
・ パット
・ 食べやすい食品・飲み物
ひとまとめにして、非常用持ち出し袋と記載し、玄関のげた箱の上に置くなどして、急いで避難する時にさっと持ち出せるようにしておきましょう。
また、避難を手伝ってくれる方が来た際にも、非常用持ち出し袋があることが分かるように目につく場所においておきましょう。
家族の方も、訪問した際には非常用持ち出し袋の中身を確認し、過不足がないかを本人と話し合うようにしましょう。
お店で購入できる日々の生活に必要な持ち出し品は安い時に購入し、ローリングストック物品にするなどして、常備しておけるようにしておきましょう。
家族で話し合っておきましょう
いざという時の避難をスムーズにし、避難所で少しでも快適に過ごす為には、各自治体の無料の制度の活用や日々の工夫が重要です。
例えば、どこの一次避難所に避難するかということだけ決めていたのでは、混乱している現地では会えない可能性もあります。
そのため、一次避難所の小学校の正門前で待ち合わせるなど細かい場所を決めておく方が良い場合があります。
避難所生活の長期化にも考えを巡らせて、県外の親戚を頼れるように頼んでおくなども必要になるかもしれません。
安全に避難し少しでも快適な避難生活を送る為には、高齢者や家族の状況をよく把握し、関係機関や親戚などと連携が取れるようにしておくことが大切です。
地震や津波のほか、水害など身近に災害が起こり始めています。
避難の準備は面倒なものですが、高齢者にとっては避難所では用意できない特別に必要なものもあります。
まずは一番必要なものから考えてみましょう。
この機会に、災害時の避難について、家族で話し合われることをおすすめします。