クレジットカードには、ショッピング枠以外にキャッシング枠が付いています。
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いつでもお金が借りられるわけで、いざというときの心強い存在かもしれません。
ですがこのアイテム、もはや役目を終えたのではないかと筆者は考えています。
クレジットカードのキャッシング枠をゼロにし、新規申込みの際も付けないおすすめです。
キャッシング枠の現状とともに見ていきます。
キャッシング枠の性質
最初に、クレジットカードのキャッシング枠の特徴を洗い出してみます。
・ 貸金業法が適用される(銀行法に基づくカードも一部あり)
・ 複数のキャッシング枠を持っていても、合計額は年収の3分の1まで
・ 金利18.0%(貸金業法の上限)が多い
・ ATMで引き出す際は、おおむね手数料が発生
・ 振込融資が受けられるケースが多い(カードショッピング代金が足りないときにも使える)
・ ただし土日祝日振込融資不可のカードもまだ多い
・ 随時返済は簡単でない商品が多い(借りっぱなしになりやすい)
・ 海外で現地通貨を作る方法としては、キャッシングこそ手数料の安い優秀な方法(ただし、現金が必要になるケースは日本以上に少ない)
簡潔にまとめると、クレジットカードのキャッシング枠はこうです。
<お金を借りる手段としては利息が高く、それでいながら利便性も乏しい>
銀行カードローンより金利が高く、消費者金融に見られる借入れ・返済の利便性もないのが、クレジットカードのキャッシングなのです。
手軽に借りられても、借りっぱなしになる危険が、クレジットカードのキャッシングの場合、より高いのです。
キャッシング枠でお金を借りる必要性はあるか
現金が必要になる機会は、キャッシュレス全盛の現代社会でもたまにはあります。
そして、銀行口座に十分なお金がないこともあるでしょう。
ただその際、クレジットカードのキャッシング枠を使うのが妥当でしょうか。
キャッシング枠は、振込融資の拡大の結果、以前より利便性は多少増しています。
平日しか振り込めないカードもまだあるものの、少なくとも引落しは休日にはありません。
さていっぽうでキャッシング枠、返済の利便性は特に向上していません。
借りたお金は、返せるならすぐ返してしまうのがいいのです。
利息を増やさないためには、この方法しかないのです。
ですが現状、次のいずれかを満たすクレジットカードは、ほぼ存在していません。
・ ATMで随時返済できて、手数料無料
・ オペレーターにつながずに会員Webサイトのみで、振込返済できる
上記2点は、消費者金融大手ではいずれも早くから完備しているサービスです。
幸い、振込手数料については銀行間サービスの充実で、無料にできるケースが増えました。
しかし振込返済でもなお、オペレーターにつないでもらう際の通信料は発生します。
エポスカードがキャッシング枠では例外的に優秀で、手数料無料でWeb返済ができます。
もっともATM返済は、エポスATMを除いて手数料が発生します。
セゾンも専用ATMを廃止してしまい、ATM返済時の手数料が必ず発生するようになっています。
年収の3分の1までという制限がある
キャッシング枠は貸金業法に基づいて付与されています。
このためクレジットカード会社も貸金業者登録をしています。
法律上の性質は、消費者金融カードローンもキャッシング枠も、まったく同じです。
消費者金融カードローンもキャッシング枠も、貸金業法に基づいて、原則年収の3分の1までしか設定できません。
クレジットカードを増やすたび、キャッシング枠も増やしていくのは決していい方法ではありません。
年収300万円の人は、複数のカード、複数の消費者金融カードローンを合計しても、合計限度額100万円までしか設定できません。
実際には50万円以下の枠の場合収入証明書が不要のため、少額のキャッシング枠を足していくと年収の3分の1を超えるケースはあります。ただ、これが原則論ではありません。
イオンカードは銀行法によるキャッシング枠なので例外
イオンカードは人気の高いカードですが、キャッシング枠が勝手に付いていて驚いたことはないでしょうか。
イオンカードの申込みの際には、キャッシング枠の希望を訊かれません。
イオン銀行の審査により、希望によらない枠が付きます。
不要な場合、会員用Webサイトで簡単に廃止できます。
これは、銀行発行のクレジットカードの特徴です。
多くの地方銀行系クレジットカードにも共通しています。
キャッシング枠の根拠法令が貸金業法ではないため、年収の3分の1までという制限はありません(無限ではない)。
クレジットカード審査への影響
複数のカードにキャッシング枠を付けている場合、新たなカードをキャッシング枠付きで申し込むと、「年収の3分の1」の問題で審査に落ちやすくなります。
「キャッシング枠は認めないが、クレジットカードの審査は通す」ことはあり得るものの、審査実務上はおおむね審査落ちとなるようです。
それから別の問題もあります。
キャッシング枠のついた新規申込みの場合、申込みを受けたカード会社は翌営業日まで、申込者の信用情報に申込み記録を付けなくてはなりません。
キャッシング枠を付けない場合、月一度まとめて申込み記録を付ければいいことになっています。
この場合、同時に申し込んだ他のカードがあっても、カード会社は把握していません。
キャッシング枠がなければ、複数同時に申し込んでもすべて審査に通りやすくなります。
海外キャッシングはいまだ有益だが、多額は不要
海外旅行の際は、現地通貨を日本で用意するのではなく、着いた空港のATMでキャッシングするのが為替レートの点で有利です。
これはクレジットカードならではの、唯一無二の機能です。
前述のとおり随時返済がしにくいものの、借りっぱなしになった際の利息を考慮しても、安価な方法です。
ただ、キャッシュレス後進国の日本と異なり、現在どこへ行っても現金はほぼ不要になってきたようです。
海外旅行のためのキャッシング枠は、10万円もあれば十分でしょう。
キャッシング枠をゼロにするには
既存のクレジットカードのキャッシング枠をゼロにするためには、ほとんどの場合カード会社に電話をして、オペレーターに依頼する必要があります。
「再度キャッシング枠が必要になった際は改めて審査が必要になり、その結果認められない場合もある」と念押しされますが、これは当然のことです。
いざというときが不安なら
クレジットカードのキャッシング枠は、付けなくていいものです。
なぜ付けてしまうのかというと、「便利そうだから」「いざというときに役立ちそうだから」ではないでしょうか。
筆者が付けることがあるとしたら、キャッシング枠を作ることで入会キャンペーン対象になるときだけです。
特典をもらったらすぐ、枠をゼロにしてしまいます。
見てきたとおり、キャッシング枠の利便性はさほどのものではなく、消費者金融カードローンに大きく遅れを取っています。
消費者金融口座を持たないまでも、「いざ」というときにはメインバンクの銀行カードローンがあれば十分でしょう。
金利も14~15%程度のものが多いです。
多くの銀行では、土日も振込融資を受けられるようになっており、いざというときにはほぼこれでまかなえます。
ただし銀行カードローンは現在、申込当日の融資を受ける方法がありません。
お金が必要になってから行動を起こしても、手遅れになる可能性があります。
必ず早めに口座を作成しておきましょう。
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