JCBオリジナルシリーズのポイントプログラム「Oki Dokiポイント」について、ポイント交換の改悪がリリースされました。
nanacoポイント(電子マネーnanacoにチャージして使う)への交換率が引き下げられます(2023年12月19日より)。
等価交換だったものが、交換率9割となります。
交換ルートのひとつが切り下げられるだけなので大騒ぎすることではないかというと、そうでもありません。
JCBカードの還元率の根拠を支えていたルートが消滅してしまうためです。
クレジットカードのポイント還元率が、交換率悪化によって信用できなくなる例を見ていきます。
参照:nanaco
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JCBカード → nanacoポイントの交換率変更
JCBカードのOki Dokiポイントからnanacoポイントへの交換ルートの切り下げが行われます。
これの直接的影響、そしてさらに重要な、交換率にまで関係する間接的影響を見ていきます。
nanacoポイントは等価から交換率9割へ
Oki Dokiポイントは、1ポイント=5円相当です。
最近は1ポイント=1円のわかりやすいポイントプログラムが増えましたが、いまでもこのようなプログラムが存在します(他にセゾン、三菱UFJニコス等)。
もっとも、ポイント単位の違いは、「円換算」で考えるようにすればいいだけです。
このOki Dokiポイントの、nanacoポイントへの交換率が変わります。
・ (従前)200ポイント → 1,000ポイント
・ (12月19日より)200ポイン → 900ポイント
1,000円相当のポイントが1,000相当のnanacoポイントになっていたのに、今後900円相当にしか代えられないわけです。
ポイント交換単位も変わり、「200ポイント以上1ポイント単位」が「200ポイント以上2ポイント単位」になりますが、こちらは深刻な変更ではありません。
JCBのポイントの根幹が消滅
JCBカード(提携カードでない、オリジナルシリーズ)は一般的に、ポイント還元率0.5%と考えられています。
人気のカード、JCB CARD Wはポイント2倍であり、還元率1.0%です。
ポイント還元率0.5%とは、1,000円のショッピングにつき5円相当(1ポイント)のポイントがたまるという意味です。
ですが最終的なポイント交換次第で、この数字が信用できなくなることすらあるのです。
JCBのOki Dokiポイントから交換できる他社ポイントの交換率を見てみます。
【等価】
・ JCBプレモカード
・ ビックポイント(ビックカメラ)
・ ベルメゾン・ポイント
・ セシールスマイルポイント
・ Joshinポイント
これだけです。
JCBプレモカードはどこでも通用するプリペイドカードですが、その他のポイントは特定店舗で使うしかありません。
JCBの等価交換(還元率を担保するもの)は、実質nanacoが支えていたといえるのです。
nanacoなら、日ごろからメイン決済にしているかどうかを問わず、電子マネーとして活用できていました。
この変更は、相当ダメージが強いことがおわかりでしょう。
【等価に近いもの】
・ JCBギフトカード(ほぼ等価だが、50ポイント 250円相当の手数料が付く)
1,050ポイントが、ギフトカード5,000円となります。
交換ポイントを大きくしても手数料分の50ポイントは変わりません。
1万50ポイントがギフトカード5万円分となり、このぐらい単位を大きくすれば損した感覚は薄いでしょう。
【交換率8割】
・ dポイント
・ Ponta
・ WAONポイント
・ スターバックスカード
クレジットカードのポイントは、共通ポイントに交換するのが最も自由度が高い利用方法です。
しかし、JCBの場合いずれも交換率8割です(楽天ポイントに至っては、6割)。
この交換率を念頭においてJCBカードを利用するなら、ポイント還元率0.5%は誇大表示で、0.4%と考えるのが妥当ともいえるのです。
皮肉なことに、12月以降も交換率9割のnanacoポイントは、お得な交換として確固たる地位を占めることでしょう。
他のカードの等価交換先
nanacoポイントが等価でなくなりダメージの強いJCB Oki Dokiポイントですが、もっと微妙な交換先の多いプログラムもあります。
見てみましょう。
三菱UFJ「グローバルポイント」はやや看板倒れかも
JCBと同様、三菱UFJカード等のグローバルポイントもややポイント還元率に疑わしいところがあります。
等価で交換できるのは、次の3種類のみです。
・ Amazon
・ ビックポイント
・ ベルメゾン・ポイント
共通ポイントをはじめとする大部分のポイント交換は、交換率8割です。
ただ、キャッシュバック(カード代金充当)も8割なので、これが6割となるJCBに勝っている部分もあります。
セゾン永久不滅ポイントも選ぶ必要がある(ただしANAマイルには強い)
セゾンカードの永久不滅ポイントも、ポイント交換率の改悪が進行しています。
ただ、三菱UFJよりもう少し使い勝手がいいものです。
一例として、次のポイント交換が等価です。
・ Amazonギフトカード
・ dポイント
・ Ponta
これだけ等価なら、まったく困らないはずです。
そして特筆すべきは、ANAマイルで、これが「1円相当=0.6マイル」の関係なのはメリット大です。
消滅したNTTグループカードはひどかった
今年2023年に消滅したNTTグループカードのポイントは、類を見ないひどさでした。
交換できるポイントで最も高額なのがグループのdポイントで、交換率は6割。
さらにdポイントへの交換単位も5,000という、大きな数字でした。
1ポイント1円、還元率1.0%のつもりで入会した筆者は騙された気持ちです。
3,000のdポイントを作るために、このカードで5,000ポイントを積み上げざるを得なかった思い出があります。
現在は、このような看板倒れカードはもうないようです。
NTTグループカードも、消滅のときだけはdポイントへの交換率が等価になっていました。
改善事例も(三井住友カード)
三井住友カードのVポイントから、Tポイントへの交換率が改善され、8割だったものが、2023年10月1日から等価になりました。
二種類のポイントは2024年に統合されるので、等価交換となるのは自然なことといえます。
ポイント交換率が還元率にも影響を与える
JCBカードは現在でも人気を集めていますが、還元率を支える柱の1本が大きく傾いたことは覚えておいたほうがいいでしょう。
ただし、JCBプレモという等価ルートは残されています。
三菱UFJについてはさらに交換率が悪化していますが、これについては筆者は最初から認識して入会しています。
ビックカメラで使うつもりなので構いません。
ポイントプログラムの性能にも見て取れるのですが、銀行系クレジットカードでは、現在三井住友カードが断然おすすめです。
Vポイント(=Tポイント)もどんどん使いやすくなっていくでしょう。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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