クレジットカードは年会費無料が完全に主になりました。
いまどきスタンダードクラスで年会費を取られるカードは、マイル獲得系を除けばほぼ古いカードブランドなので、最新版に更新をお勧めします。
年会費無料の波はゴールドカードにも波及しています。
今回は、年会費を取るゴールド(JCBゴールド)と取らないゴールド(三井住友ゴールドNL)を対決させ、勝者を決めます。
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令和におけるゴールドカードの区分
クレジットカードの選択要素として「ステータス」が重要な地位を占めていたのは、そんなに昔の時代ではありません。
キャッシュレスの世界が様変わりし、ステータスが顧みられる機会は大幅に減りました。
令和の現在、ゴールドカードの高い年会費を払い続けている人、またそうしたカードライフにあこがれを持つ人は、単に幻想を追い求めているだけかもしれません。
現在のゴールドカードを筆者独自で4つに大別します。
(1) 古いタイプのゴールドカード
JCBゴールド/三井住友ゴールド/アメックスゴールド/アメックスグリーン/楽天プレミアムカード/その他流通系ゴールド
(2) 携帯電話系ゴールドカード
dカードGOLD/au PAYゴールドカード/PayPayカードゴールド
携帯電話を基本にした「経済圏」独自のゴールドです。
系列の携帯キャリアを使う人でないと、保持する価値は大きく減少します。
ただ、ドコモのahamoユーザーにとってはすでにdカードGOLDが無意味になっているなど、経済圏のほころびも見られます。
(3) 年会費無料で使えるゴールドカード
エポスゴールドカード/三井住友カードゴールド(NL)/SAISON GOLD Premium
(4) 格安ゴールド
楽天ゴールドカード/Orico Card THE POINT PREMIUM GOLD/TRUST CLUBプラチナマスターカード
今回は、
(1) 古いタイプのゴールドカード
(3) 年会費無料で使えるゴールドカード
から1枚ずつピックアップして対決させます。
(4) 格安ゴールドは、年会費が2,000円前後とリーズナブルなクラスですが、(3) 年会費無料で使えるゴールドカードに押されてやや劣勢に見えます。
(3) 年会費無料で使えるゴールドカードは年会費がゼロになりますが、本来の年会費設定は(4) 格安ゴールドより高く、サービスも豊富です。
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対決:JCBゴールドカードvs.三井住友カードゴールド(NL)
昔ながらのゴールドからは「年会費1万1,000円のJCBゴールド」、年会費無料で使えるゴールドからは「三井住友ゴールド(NL)」をそれぞれピックアップします。
「NL」はナンバーレスの意味で、この性質自体は定着してきました。
三井住友カードにも、古いタイプのゴールドはあります(三井住友カードゴールド)。
現在三井住友カードが全面的に推しているのは年会費無料で使える「NL」のほうです。
銀行一体型ゴールドの「Oliveフレキシブルペイゴールド」も、NLと同等の機能を持っています。
JCB(オリジナルシリーズ)には、(3) 年会費無料で使えるゴールドカードはありません。
20代限定で年会費3,300円のJCB GOLD EXTAGEが存在しますが、これはあくまでもJCBゴールドにステップアップする前段階の存在です。
年会費対決は三井住友ゴールド(NL)
- JCBゴールド…1万1,000円(初年度年会費無料)
- 三井住友ゴールド(NL)…年間100万円利用達成で永年無料
三井住友ゴールド(NL)は、年会費5,500円の設定です。
年間100万円利用すると永年無料となります。
入会後1年以内に100万円を使ってしまえば、初年度以降の年会費を支払わなくていいわけです。
銀行一体型のOliveゴールドなら現在初年度年会費無料で作れます。
この方法だと1度も年会費を支払わないで持つことが可能です。
還元率対決は三井住友ゴールド(NL)
- JCBゴールド…0.5%(年間100万円利用で翌年0.75%)
- 三井住友ゴールド(NL)…0.5%(年間100万円利用で1.5%)
JCBゴールドは還元率の点ではごく平凡です。
年間300万円使ってようやく、翌年の還元率が倍(1.0%)となります。
三井住友ゴールド(NL)は、100万円達成でボーナス1万円相当が付き、数あるカードと比較しても優秀な数字が出ます。
年間100万円を利用したとしても、リターンが7,500円(翌年度)のJCBゴールドでは、年会費を取り返せないことが確定しています。
年間利用額算定期間は三井住友ゴールド(NL)が有利
- JCB…12月16日から翌年12月15日まで
- 三井住友…入会月翌月から1年
JCBは年間の区切りが一律で、三井住友は会員により異なります。
三井住友カードの場合、月の初旬に入会すると、その年については実質13か月間の利用分を算定してもらえるため、特に年会費永年無料の算定において有利です。
キャッシュレス対決は三井住友ゴールド(NL)
現代のクレジットカードは、キャッシュレス決済との組み合わせが重要です。
- JCB…特に優れた組み合わせなし
- 三井住友…VISAブランドはLINE Pay、Mastercardブランドはau PAY
JCBは自社で運営するQUICPayを含め、組み合わせてプラスアルファを得られる決済アイテムがありません。
三井住友も電子マネーへのチャージでポイントが付かない点ではJCBと同様ですが、QRコード決済にメリットがあります。
三井住友カード(VISA)は、LINE Payと組み合わせ(チャージ&ペイ)られる貴重なカードで、これによって小規模なPayPay加盟店でもフル活用できます。
Mastercardブランドの場合、au PAYにチャージしてポイント付与対象です(月5万円まで)。
三井住友カードの場合、スマホのタッチ決済により7%以上となる還元店が多数あります。
これもスマホを使うことで2%上乗せされているわけで、キャッシュレスの組み合わせによるポイントアップの一環といえるでしょう。
セブン-イレブン対決は三井住友ゴールド(NL)
JCBも三井住友も、ポイントアップのお店があります。
双方のカードでポイントアップのある代表が、セブン-イレブンです。
ここでの還元率(年間ボーナスは考慮しない)を比較します。
- JCBゴールド…1.5%(ポイント3倍)
- 三井住友ゴールド(NL)…7.0%以上(スマホタッチ決済の場合)
三井住友の圧勝です。
三井住友の場合、JCBが得にならないローソンでも同様ですし、他にもサイゼリヤやすかいらーく等の飲食店で同じルールとなります。
家族ポイント(最大5%)や、Olive限定の利用に応じたポイントアップ(最大5%)等で、還元は最大18.0%となります。
JCBオリジナルシリーズのみの特約店としては、プリペイドカードへのポイント還元率が10倍(5.0%)となる「スターバックス」等があります。
海外旅行傷害保険対決はJCBゴールド
すでに、三井住友ゴールド(NL)が圧勝ムードです。
ただしここまで取り上げたのはすべて還元率等、数字に特化したものでした。
多くの人がまだ、「年会費の高いゴールドはその分サービスが優れている」と考えているからこそ、古いタイプのゴールドカードが健在であるわけです。
今度はゴールドならではの機能を対決させてみます。
まず海外旅行傷害保険で最も重要な「現地での治療費」の上限額です。
- JCBゴールド…300万円(家族特約200万円)
- 三井住友ゴールド(NL)…100万円(家族特約なし)
どちらも「利用付帯」つまり事前に旅行代金のカード決済が必要です。
ツアー代金を支払わずに、出発空港までの交通費をカード払いするだけでもOKのタイプです。
海外旅行傷害保険については、昔のタイプのゴールドであるJCBの勝利です。
三井住友ゴールド(NL)と同タイプ(年会費無料で使えるゴールド)にも、エポスゴールドカードのように補償の優れたものがあるので、単純に年会費の差ともいい切れません。
空港ラウンジはJCBゴールド
国内空港のラウンジ利用はゴールドカード以上の特典です。
これについては、JCBゴールドも、三井住友ゴールド(NL)も変わりません。
ただし国内外のラウンジ(航空会社等の運営する、豪華な設備)に関しては、JCBゴールドだけに次のサービスがあります。
- ラウンジ・キー(世界の空港ラウンジを1回32米ドルで利用可能)
- プライオリティ・パス(JCBゴールド ザ・プレミアのサービス)
ラウンジ・キーは利用時有料ですが、無料の「プライオリティ・パス」つまり国内外の空港会社等豪華ラウンジを使える特典を、無料で申し込めるサービスがあります。
こちらはゴールドのままではダメで、原則2年以上JCBゴールドを100万円利用し、「JCBゴールド ザ・プレミア」に招待を受ける必要があります。
その他JCBゴールドが強いサービス
JCBゴールドは本来のクラスで言えば三井住友ゴールド(NL)より上です。
ゴールドらしいサービスであり、年会費無料で使える三井住友ゴールド(NL)にはないものを見てみます。
最後に短評も付けます。
- スマートフォンのディスプレイ保険(JCBオリジナルシリーズのスタンダードカードにもある)
- 国内旅行傷害保険
- 航空機遅延保険
- Club Off
- チケット優待
- 会員情報誌
航空機遅延保険は海外で乗り継ぎできなかった際など、食事や宿泊等豊富なサービスが受けられるものです。
お金を払って加入する保険商品には多く付いています。
ゴールドカードの海外旅行傷害保険だけで旅行に行って大丈夫ともいえません。