最近、「子供に対してキャッシュレスをどう教えていくか」というテーマが、ニュースとしてよく取り上げられます。
大事な取り組みとは思うものの、家庭内完全キャッシュレスを実現して久しい筆者からすると、議論自体1~2周遅れている気がしてなりません。
「子供の頃からキャッシュレスを使う」ことこそ、お金に強くなる方法と筆者は考えます。
キャッシュレス派の意見にお付き合いください。
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完全キャッシュレス生活はイメージできないもの?
世間はキャッシュレスに対し、恐れるだけできちんと向き合っていないように思います。
そして、「現金」を神聖視しすぎている気がします。
現金など、価値が仮託された存在に過ぎません。
遡れば、掛け売りが幅を利かせていた江戸時代において、「現金払い主義」も例外として始まったものでした。
現金に、お金の本質など宿っていません。
完全キャッシュレス生活は、現金に触れないだけで、お金の使い方が本質的には変わらないはずなのです。
変わらないだけでなく、ポイント等の付加価値が付いてきます。
キャッシュレスの考え方をご案内します。
イレギュラーなのは現金のほう
わが家にとっては、「現金」のほうがよほどイレギュラーな存在です。
ATMに立ち寄り現金をおろすのは、生活の中で例外的な行為です。
現金払いの飲食店は、気に入っていても頻度がどうしても落ちますし、わざわざお金をおろす必要があるぐらいならやめてしまいます。
逆に、各地で実施された大型還元のおかげで、知らなかった店舗に巡り合う機会が大幅に増えました。
チャージするとお金でなくなってしまう困った大人がいる
交通系電子マネー等にチャージしたら、「いくらでも使っていい」感覚になってしまう人が多いようです。
「だから現金のほうがいい」という理由付けに使われるのですが、まるで理解できません。
チャージして電子マネーとなっても、もちろんお金です。価値は一切変動していません。
次の行為はすべて、お金の価値を把握できていないために生じるものです。
・ ひと駅の距離だが、チャージがあるから当然電車に乗る
・ 歩いていたらバスが来たので、当然に乗る
・ よく移動する日なので1日券を買うのが安いが、習慣により交通系電子マネーで電車に乗る
・ コンビニに寄った際、それほど欲しいわけでもないがもう一品買う
個人の能力欠如を、キャッシュレスの責任にしないでほしいものです。
大人がこうでは、子供を教育する以前の問題です。
決済手段によってお金の価値を変えてしまうのは利用者のわがまま
キャッシュレスを巡る問題の大部分は「数字をお金と認識できない」ことに原因があります。
お金を本来の性質通り数字で把握できている人にとって、キャッシュレスを巡る議論はほぼ無意味です。
お金を使う手段を6種類に分け、一般的に考えられる「使う理由」「使わない理由」をそれぞれ挙げてみました。
「その理由は筋が通っていない」と考えられるものは、黄色の網掛けにしました。
「使う理由」「使わない理由」を縦横で比較してきました。
決済手段による特性はさまざまですが、実のところ使う理由も使わない理由も、最後の行に載せたルールひとつだけで切り分けられます。必要性があるかないかです。
「プリペイドカードだから使い過ぎを防げる」であるとか、「クレジットカードだからつい多く使ってしまう」などの理由付けは、単なる利用者個人の癖に過ぎません。
不毛な議論を拡大するのではなく、「買い物する際に使うものはお金である」という当たり前の事実に基づき行動したいものです。
そして、これこそが子供に伝えるべき内容です。
子供こそキャッシュレス
キャッシュレスを警戒する次の意見はよく見られます。
・ 電子マネーのチャージを、子供が残らず使ってしまった
・ お金がなくても、クレジットカードがあれば買い物ができると理解している
・ ゲームの課金に使ってしまった
・ お釣りの計算ができなくなる
それぞれ当事者には大きな問題でしょうが、本質的な部分はキャッシュレスかどうかと関係ありません。
ゲームの課金など、親の管理の問題に過ぎません。
このようなお金の勘違いを失くすために現金を使わせるのは、ピントがずれています。
それよりむしろ、「金額」をお金と認識させる訓練のほうが必要なのではないでしょうか。
「お釣り」についていえば、現金の没落とともにゆっくり消滅します。
お釣りの消滅した世界において「お釣りの計算」は無意味です。
それにお釣りがなくなっても、「あと何キロで目的地」などの計算が消滅するわけではありません。
子供にキャッシュレスを体験させよう
わが家の子供も、小学生の頃からキャッシュレスに馴染んでいます。
特に明確な目的があったわけではありません。しいて言えば、親自身にとってメリットがあるからです。
子供にお金を与えるのも、親がお金を動かしてポイントをためる一環です。
問題など起こったことはありません。
現金のほうによほど問題があって、本人がもらった祖父からのお年玉を失くしてしまったことがありました。
Suicaも数回失くしていますが、返ってきました。
それに、実際に戻ってこなかったとして、失うのはデポジット500円のみです。
子供のキャッシュレスについて、具体的な方法と考え方とをご説明します。
子供のキャッシュレス具体的方法
次の方法です。
・ カードタイプのSuica(親のビューカードから、JRのマルチ券売機でチャージ)
・ PayPay(親がPayPayあと払いからチャージし、子に送金)
SuicaとPayPayの二つで、おおむねどこでも使えます。
他にも、実行していませんが検討している方法があります。
・ エポスゴールドカードからチャージしたau PAY残高を送金
・ 楽天カードからチャージした楽天キャッシュを送金(楽天ペイまたは楽天Edyで使う)
au PAY残高を送金する方法のメリットはさらにあります。
子供の端末がAndroidのため、残高をさらにモバイルSuicaにチャージできるということです。
子供のモバイルSuicaはクレジットカードからのチャージができないため使い勝手がもうひとつですが、au PAYを挟むことでチャージが最大に活かせます(ポイントが得られる)。
ただし、保護者にauじぶん銀行の開設が必要なので、未実施です。
なぜ問題が生じないか
子供のキャッシュレスの使い道をきっちり把握するのも方法論のひとつでしょう。
ただ、そんなことはしていません。
失敗しない理由はごく単純です。次の通りです。
・ ムダにお金を使わない親の姿勢を見せている
・ 飲食店に一緒に行った際のメニュー選択の方法論は、キャッシュレスだからといって何の違いもない
・ 本人も必要なお金だけ使う習慣がついている
ゲーム課金の問題など、どう考えても習慣の問題だと思います。
「あるだけ使う」習慣の改善が最大の課題であって、それが治らないと現金でもキャッシュレスでも意味はないでしょう。
大人になったらすぐ完全キャッシュレス生活へ
セゾンカードが現在、高校生でも18歳であれば持てるようになっています。
わが家でも、18になったら持たせるつもりです。
家族カードも付与し、使い分けさせます。
自分自身のお金で電子マネーやQRコード決済も使うことになりますが、なにひとつ心配はしておりません。
上の表ではよくない使い方として黄色の網掛をした入会キャンペーンやリボ払いキャンペーンについても、攻略法を私が教えます。
その結果、常にお小遣いが入ってくる状態になるでしょう。
キャッシュレス自体に罪はない
筆者は決して強い主義主張によりキャッシュレスを実施してきたわけではなく、得なほうへ流れてきたにすぎません。
そんな立場ではありますが、最近のキャッシュレスを巡る議論のズレ具合は目に余ります。
親の代は、中途半端なキャッシュレス認識でもやっていけるかもしれませんが、これから先は現金など使わない時代になっていくでしょう。
そうなってから、訓練のできていない子供を社会に送り出すほうがずっと不幸です。
今のうちから、きちんと訓練させておくのが親心というものではないでしょうか。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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