過去、米国株はITバブルの崩壊やリーマンショック、コロナショックを乗り越え右肩上がりで成長してきました。
近年のイノベーションのほとんどが米国発であり、これからも人口増加が続く数少ない先進国かつ世界中の国に企業進出しています。
いわば世界中の成長の利益を享受することができるのが米国です。
こんな米国株に投資していれば資産が増えること間違いありません。
現在米国株に投資している多くの方が、こういった話を耳にしたことがあるでしょう。
実際、長期間投資を続けることさえできれば、大きな利益を得られる可能性が高いことは確かでしょう。
ですが10年、20年といった長い期間、投資を続けることができる方はほんのひと握り。
多くの方が途中で投資をやめてしまうのです。
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全ファンドの平均保有期間は2.5年
少し古い記事にはなりますが、2021年4月の日経新聞によると全ファンドの平均の保有期間は2.5年とのこと。
つみたてNISA対象ファンドに至っては短期化しており、2年とちょっとで解約というのが平均のようです。
≪画像元:日本経済新聞≫
つみたてNISAは、20年間非課税の恩恵を受けることができる制度です。
つまり長期間投資を続けるつもりで始めたはずなのに、たった数年で売却してしまう…。
なぜでしょうか。
それは投資先である米国株が悪いわけではなく、ちょっとした勘違いから生まれる疑心暗鬼が原因のようです。
短期的にはマイナス評価となることは、しばしばあります。
特に投資を始めたばかりの頃の方が、含み損になる可能性が高くなります。
まだ資産が積み上がっていない段階での相場の下落は、大きなダメージとなってしまうのです。
初心者の時は自身の投資に対する自信も醸成されていない頃、想像以上のダメージとなってしまうでしょう。
ですが投資に含み損はつきものです。
私たちが収めている年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、下図の通り投資初期ほど含み損となっています。
≪画像元:GPIF≫
プロでもマイナス評価となっているのに、私たちが含み損にならないわけがありません。
ちまたにあふれている「積立シミュレーション」も、「投資を始めればずっと右肩上がり」と勘違いさせてしまうような作りになっています。
≪画像元:金融庁≫
毎年順調に積み上がる資産。
初心者が勘違いしてしまっても無理はありません。
1. 含み損に不安を抱えている状態ではマイナス情報ばかり目につく
また、含み損に不安を抱えている状態だと、入ってくる情報もマイナスなものばかりとなってしまいます。
人間の心は不思議なもので、投資に前向きな時は良い情報ばかりが入ってきますが、不安な時はその不安を増長させるような情報ばかりに目がいきがちになります。
- この後相場が回復する保証はどこにもない!
- 今回の暴落はこれまでの暴落とは違うのでは?
- 含み損が小さいうちにやめてしまおう!
- このまま含み損が続くのは耐えられない!
- 銀行預金の方が安全だし私は投資に向いていない!
といったマイナス思考に支配され、やめてしまうことになります。
特に「投資は余剰資金で!」の原則を守れていない方ほど、短期でやめてしまうことになるでしょう。
資産形成を急ぐばかりに、本来置いておくべきだった資金まで投資に充ててしまう。
これでは含み損に耐えられるはずがありません。
いざという時のために、緊急予備資金(最低半年分の生活費)はすぐに使える銀行預金として置いておくべきです。
生活していく上で何があるかわかりません。
リストラや失業、転職などで収入減となる可能性もありますし、急な冠婚葬祭、ライフステージの変化に伴う予想外の出費もあるでしょう。
子どもがいる家庭なら、想定される教育費など、数年後に必要となることが決まっている資金も投資に充てるべきではありません。
投資では「より多くの資金を投じる」ことよりも、「より長く続ける」ことの方が大切です。
長期間投資を続けることによって、初めてリーマンショックやコロナショックにも耐えることができる資産ができあがるのです。
2. 積立投資の成功例が少ない
ちまたでは
- テンバガーを当てる方法!
- デイトレで誰でも資産倍増!
- 仮想通貨で億り人達成!
といった情報は目に耳にしますが
- インデックス投資で億り人!
- 積立投資でFIRE達成!
といった情報はまだほとんどありません。
こういったことから、投資で成功するためには流行りに乗るしかないと思ってしまうのかもしれません。
これは「積立投資で大きな資産を作るには、かなり長い期間が必要」ということが根底にあります。
日本において、ネット証券で気軽にインデックスファンドへ投資ができるようになってから、まだ数年しか経っておりません。
つみたてNISAが始まったのは2018年のことです。
つまり国も推奨している積立投資が広まってからまだそれほど時が経っておらず、実践しているほとんどの方がまだ資産形成の途中にいるということになります。
積立投資で億り人やFIREを達成した人が少なくて当たり前なのです。
月数万円の積立投資で多くの資産を築くには、かなりの時間がかかります。
入金力次第ではありますが、10年や15年では難しいでしょう。
ですが急いではいけません。
テンバガーやデイトレ、仮想通貨などといった投資はタイミングが最重要となります。
つまり投資ではなく投機なのです。
もちろんこういった投機を否定するつもりは全くありません。
ここぞというタイミングでリスクを取るのも、資産拡大には有効な手段です。
ですが、まだ投資を始めたばかりの初心者は手を出すべきではありません。
うまくタイミングを掴めず大損して再起不能となった例は、枚挙にいとまがありません。
短期で稼ぎたいがために高リスク投資に手を出し、退場となってしまってはそこで終了です。
本当の投資とは、続ければ続けるほど資産価値の増大が見込めるものに資金を投じることです。
続けることさえできれば、特別な知識や資金量がなくても、再現性高く資産を形成することができます。
これが積立投資なのです。
とにかく続けること
これが何よりも大切です。
多くの人にとって積立投資を続けることが、いちばんの近道。
長期的に世界が成長すると思うなら、積立投資をやめるべきではありません。
どのような相場が来ようと、「長期・分散・積立」を実践できるインデックス積立投資が王道です。
とにかく王道投資を続けること。
時間はかなりかかります。
そのうえ、積立設定さえしてしまえばあとはほとんどやる事がありません。
つまらない投資です。
ですがこれが王道投資なのです。
遠いように思えて実はこれがいちばんの近道。
ともに頑張りましょう。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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