筆者は、従業員600人程度の会社で秘書業務を行っていました。
秘書業務の中でも「葬儀の手伝い」はとても多い業務でした。
さらに筆者は父親の葬儀も経験しています。
今回は、企業や個人の葬儀をたくさん経験してきた筆者が感じた、「葬儀費用で損しないために知っておきたいこと」をお話しします。
1.「お花が足りない」と言われたら、花より「果物」
会社の業務として葬儀の手伝いに行くときには、取引先からたくさんの生花が届きます。
届いた生花は、上司と相談しながら配置を決めます。
生花は、祭壇の周りを飾るため、多ければ多いほど華やかさを出すことができます。
ただ個人の葬儀の場合は、生花が足りなくなることがあるのです。
筆者の父親の葬儀では、大きな祭壇を選んでしまい、周囲に配置する生花が足りなくなってしまったのです。
葬儀社からは「花が足りません。親族の中で名前だけ借りられる人はいませんか」と言われてしまいました。
筆者は、親戚に「名前だけ貸してください。費用はこちらで負担するから」とお願いしましたが、集められた名前はごくわずかでした。
やむを得ず「親戚一同」という立札をたくさん立てることになったのです。
ただ、そのときに親切な葬儀社の方が
「生花は一対になるため、5万円程度必要になります。果物のかごならば、1つ2万円程度で葬儀後は食べることができます。」
とアドバイスをくれたのです。
生花は、葬儀後に棺に入れるのですが、すべての花を棺に入れることはできません。
残りは廃棄されたり、欲しい人にあげたりします。
一方、果物は棺に入れることができませんが、生きている人が食べられるのです。
生花は、一般の参列者名の立札が立ちますが、果物の籠は祭壇の中心部に配置され、親族名の立札が立てられることがほとんどです。
筆者の父親の祭壇のまわりには「親族一同」という果物の籠がいくつも配置され、その周りを囲うように生花が置かれました。
葬儀後は、とても疲れます。
高価な果物は、疲れた体へのとっておきのごちそうになりました。
2. コロナ禍での通夜振る舞いは、お寿司ではなく「弁当」が正解
コロナ禍以前は、お通夜のときに通夜振る舞いをすることが当たり前でした。
会社で葬儀の手伝いに行ったときも、通夜が終わると親族の方がお寿司やオードブルが並んだ部屋に案内してくださりました。
コロナ禍以前の筆者の父親の葬儀のときには「料理が足りなくなる事態は避けたい」と思い、大量のお寿司を用意しました。
しかし、ほとんどの人は遠慮して1人前を食べる人はほとんどいません。
大量にあまったお寿司は、表面が乾いてしまいましたが、筆者は「もったいない」と思い、お腹いっぱい食べた記憶があります。
コロナ禍では、大皿のお寿司で通夜振る舞いをすることは減り、持ち帰りのお弁当を手渡すようになっています。
持ち帰りのお弁当は、うなぎや総菜など加熱したおかずが多く「乾く前に食べなくては」と思う心配もありません。
また、あまったとしても廃棄することなく、手伝ってくれた人や親族で分けることができます。
「コロナ禍だから、通夜振る舞いは省略」
と考える人もいるのではないでしょうか。
通夜振る舞いは、1人数千円になり省略すれば葬儀費用の節約にはなるのかもしれません。
しかし、通夜振る舞いの目的は、故人をしのぶことと、葬儀に来てくれた人への感謝の気持ちです。
通夜振る舞いの費用は節約ではなく、無駄のないように「使うべきところ」ではないでしょうか。
3.「心付け」はまとめて渡さない
葬儀は、多くの人たちの力が必要です。
葬儀業者の人だけでなく、会社関係や近所の人も手伝ってくれることがあります。
手伝ってくれた人たちに、お礼の気持ちをこめて渡すものが「心付け」です。
つまり、お礼のお金です。
金額は1人当たり3,000円くらいですが、人数が多くなると大きな出費になります。
仕事で葬儀の手伝いをするときには、1度も会ったことがない人の葬儀であることも多くありました。
香典を扱う責任者をしたときには、親族の方から心付けをいただきました。
しかし親族の方は、筆者と面識がないため「この人に渡すべきか」と悩んでいる様子でした。
筆者の上司がすかさず「いただきなさい」と言ってくれたため、スムーズにことが済みました。
ただ、同じ葬儀の場で筆者は、葬儀スタッフが大量の心付けの封筒をビニル袋に入れて配り歩いていたところを見たのです。
まったく手伝いとは関係のない人や葬儀業者のスタッフに手渡し、渡した相手をチェックしている様子もありませんでした。
葬儀業者によっては「心付けはまとめて預かります」といって、まとまった金額だけを提示してくることがあるようです。
やむを得ず心付けをまとめて渡すときには、渡した相手や金額などの明細をもらうようにしましょう。
結婚式も葬儀も費用がかかる大きなセレモニーですが、結婚式とは違い葬儀は事前準備の時間がほとんどありません。
しかも葬儀の費用は、ひとつひとつが高いです。
高いお金を払うならば、「無駄がない使い方」をしたいものです。(執筆者:美大卒 式部 順子)
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