近頃はクレジットカードの「還元」の考え方もすっかり変わってきました。
還元率の高いクレジットカードが、総合的に高い評価とは限りません。
還元率1.2%と、数字だけ見ると他より1枚抜けている「リクルートカード」の真の価値はどうでしょうか。
本格キャッシュレス時代における、高還元率カードの実力を確かめます。
クレカチャージにおける改悪の最新情報を紹介 カード会社に問い合わせるのは厳禁
クレジットカードの価値は、もはやカード単体では測れない
最近のキャッシュレス界において、クレジットカードの価値を決める大原則です。
・ 還元率は、「カード+決済アイテム」の組み合わせで考える
・ クレジットカードは、スマホ決済と組み合わせて最大のパフォーマンスが得られるものが優れている
組み合わせるキャッシュレス決済の具体例です。
・ モバイルSuica
・ au PAY
これらのチャージ式アイテムにクレジットカードからチャージする際、ポイントが通常通り付与されると、それは価値の高いカードです。
リクルートカードはもともと、他のカードより高い1.2%の還元率だけでなく、キャッシュレスとの組み合わせも優れていたカードだったのです。
最近は決して、そうではなくなっています。
リクルートカードのブランド、入会キャンペーン等
年会費無料のリクルートカードは、国際ブランドにより発行会社が異なります。
・ JCB → JCBカード
・ VISA、Mastercard → 三菱UFJニコス
ブランドの違いにより、カードの特徴も比較的大きく異なります。
ただしポイントプログラムは同一で、ブランド問わず「リクルートポイント」がたまります。
たまったリクルートポイントは、dポイントかPontaに等価交換するのがごく普通の利用法で、この点は優れています。
VISA、Mastercardは消滅候補?
3ブランドあるリクルートカードですが、現在はJCBブランドを指すことが増えています。
三菱UFJニコス発行のVISA、Mastercardはここ数年、入会キャンペーンも実施しておらず、影が薄くなっています。
性能が劣るわけではありません。
JCBよりサービスが落ちるのは、JCBで無料であるETCカードの発行手数料が有料(1,100円)であることですが、これは三菱UFJニコス共通です。
ただ、VISA、Mastercardブランドのリクルートカードが、長く発行され続けることはないかもしれません。
JCBブランドでは入会キャンペーンを実施中
リクルートカードのJCBのほうは、2023年2月現在も入会キャンペーン実施中です。
通年のキャンペーンではないものの、その内容はおおむね次の通り統一されています(1ポイント1円相当)。
・ 新規入会 → 1,000ポイント
・ 初回利用 → 1,000ポイント(週末は3,000ポイント)
・ 携帯電話料金の引落し → 4,000ポイント
平日は公式サイトに「6,000ポイントもらえる」と出ており、金曜日になると「8,000ポイントもらえる」になるのが、長らくの傾向です。
もちろん週末の入会がおすすめです。
特に携帯電話の引落しで4,000ポイントもらえるのは、他のカードのキャンペーンにない大きな特徴です。
対象になる通信ブランドは以下の通りです。
・ NTTドコモ
・ ahamo
・ au
・ POVO
・softbank
・ ワイモバイル
・ LINEMO
メジャーなブランドではUQモバイルが対象外のため気をつけてください。
入会キャンペーンは額も大きく、負担も少ないのでおすすめです。
リクルートカードとキャッシュレス決済
現在のリクルートカードは、キャッシュレス決済との組み合わせが、ごく一部を除いては決してよくありません。
還元率1.2%の価値が、これにより損なわれています。
現状を見ていきます。
au PAYへのチャージはもともとポイント対象外
リクルートカードは、au PAYにチャージ(JCBは不可)しても、チャージ分はポイント対象外です。
わずかに、カード利用でためたリクルートポイントをPontaに変え、これをau PAYにチャージすることは可能です。
好相性だったd払いとの組み合わせも消滅
QRコード決済のd払いは、どのカードをセットしても0.5%の付加ポイントがあるのが大きな特色でした。
2022年12月に、dカード以外との組みあわせではポイントが付かなくなりました(クレジットカード分は付く)。
リクルートカードとの組み合わせによる還元率が、1.7%から1.2%となったわけです。
リクルートカード、特にJCBブランドで使える主要QRコード決済は、d払いと楽天ペイだけです。どちらも、カード還元率そのままとなります。
JCBブランドは、モバイルSuicaチャージが得にならない
以前はモバイルSuicaへのチャージでも通常通りの1.2%でしたが、現在は大幅に縮小されています。次の通りです。
・JCB → 0.75%
・VISA、Mastercard → 1.2%(従来通り)
さらにチャージ額「月3万円」までという制限が設けられています。
電子マネー全体での額となります。
JCBブランドのリクルートカードについては、この0.75%と低い数字のモバイルSuicaが、店舗チェーン独自のものを除けば唯一のチャージ可能な電子マネー(やQRコード決済)となります。
※ 2020年3月以前に登録した人に限り、国際ブランド問わずnanacoへの1.2%でのチャージが可能となっています。
VISA、Mastercardブランドは、楽天Edyチャージがお得
VISA、Mastercardブランドの場合、「月3万円まで」という制約はあるものの、次の電子マネーにチャージが可能で、ポイントも通常通り1.2%たまります。
・ モバイルSuica
・ 楽天Edy
・ SMART ICOCA
特筆すべきは楽天Edyです。
楽天カードからチャージすると0.5%(通常の半分)しか付かないのに、リクルートカードだと1.2%です。
楽天Edyの場合、利用時ポイントも0.5%あるので、1.7%という高率となります。
ですが、今からリクルートカード(VISA、Mastercard)を入手すべきかというと、まったく入会キャンペーンが開催されていない状況であり、微妙でしょう。
モバイル楽天EdyがiPhone非対応というのも、使いづらいところです。
リクルートカード(JCB)の使いみちを考える
見てきましたとおり、1.2%の還元率といっても、スマホ決済全盛時代においては活躍シーンが減少していることがわかります。
それでも、シーンを工夫すればリクルートカードの高還元が活きますので、そのシーンを見てみます。
なお、先行き不透明なVISA、Mastercardは除きました。
・ ETCカード(発行手数料、年会費無料)
・ 公共料金等の引落し
・ 税金のオンライン支払
・ 持ち歩き用のカードとして
税金のオンライン支払は手数料が掛かるため、現代では決していい方法ではなくなっています。
それでも、1.2%還元のリクルートカードなら手数料を取られてもなお損はしません。
そして、スマホ決済時代であっても、クレジットカードの2枚程度は持っておいたほうがいいので、そのための切り札にはなります。
カードの価値というものも、急速に様変わりしました。
リクルートカードは今や直接決済時の高還元だけが売り物の、ちょっと古いカードになってしまいました。
それでも入会キャンペーンともども、活用する道はまだまだあります。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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