「老齢年金」84.0%増額の75歳まで繰り下げは、65歳から75歳まで受給0円でも過ごせる資金と体力必須

老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金は、受給要件を満たせば原則65歳から受け取れます。

しかし60代といえばまだまだ元気で、65歳を超えても現役で働いている方も多くいます。

そのような方のために、老齢年金は受給開始年齢を最大で75歳まで1か月単位で繰り下げられます。

老齢年金の繰下げ受給することによるメリットは、年金額を増やせることです。

老齢年金の繰下げ受給をした場合には、65歳で年金を受給するよりもどのくらいお得なのでしょうか？

老齢厚生年金は人によって受給する金額が違うため、繰下げ受給した場合にどのくらいお得になるかはそれぞれ異なります。

今回は、老齢基礎年金を65歳から満額受給できる方が、75歳まで繰下げ受給をした場合にどのくらいお得になるのかについて分かりやすく解説していきます。

【年金】繰上げ受給・繰下げ受給の新制度は、2025年度から評価が高まる

老齢年金の繰り下げ受給

老齢年金の繰り下げ受給とは、受給要件を満たした方が65歳から受給せずに、66歳に達した日以降で本人が希望するタイミングで、上限75歳まで1か月単位で受給開始を遅らせる仕組みのことです。

この繰り下げた月単位により年金額の増額率が上がっていき、この増額率は生涯変わることはなく続いていきます。

増額率は、以下の計算式で算出されます。

増減率 = 繰り下げ月数（65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数） × 0.007

この計算式で計算した繰り下げ年齢ごとの増減率は以下になります。

申出時の年齢	増額率
66歳0ヵ月～66歳11ヵ月	8.4%～16.1%
67歳0ヵ月～67歳11ヵ月	16.8%～24.5%
68歳0ヵ月～68歳11ヵ月	25.2%～32.9%
69歳0ヵ月～69歳11ヵ月	33.6%～41.3%
70歳0ヵ月～70歳11ヵ月	42.0%～49.7%
71歳0ヵ月～71歳11ヵ月	50.4%～58.1%
72歳0ヵ月～72歳11ヵ月	58.8%～66.5%
73歳0ヵ月～73歳11ヵ月	67.2%～74.9%
74歳0ヵ月～74歳11ヵ月	75.6%～83.3%
75歳0ヵ月～	84.0%

老齢基礎年金の繰下げ受給の例

老齢基礎年金を65歳から満額受給できる方が、75歳まで繰下げ受給をした場合の例です。

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間すべて保険料を納付済みの場合に、65歳から年間77万7,800円(2022年度価額)を受給できます。

この方が75歳から繰下げ受給をした場合は、84.0%の増減率の老齢基礎年金を受給できるので、年額143万1,152円の老齢基礎年金が受給できます。

すなわち、10年間繰り下げて老齢基礎年金を受給した場合、2022年度価額で年額65万3,352円多く受給できるのです。

10年間の生活・健康状態を考える

老齢基礎年金を65歳から満額受給できる方が、75歳まで繰下げ受給をした場合には年額65万3,352円多く受給できます。

しかし、65歳から75歳までの10年間は、老齢年金を1円も受給できません。

そのため、最終的な生涯の年金受給額は、どちらが多いかは誰にもわかりません。

健康状態や生活状況をよく考慮して決めてください。（執筆者：社会保険労務士、行政書士 小島 章彦）

年金受給者の確定申告はどうすれは良いか 必要なケース、不要なケースの各要件と注意点

年金額が加算される「障害者特例」とは

年金を受給している人、繰り下げ受給をしてまだ年金を受給していない方が亡くなってしまった場合、未支給の年金はどうなるか?