PayPayカードにゴールドカードが登場し、11月下旬より発行されます。
PayPayカードといえば楽天カードのライバルの印象がありますが、新登場PayPayカードゴールドが想定しているライバルは、ドコモやauのようです。
PayPayカードゴールドは、ソフトバンク携帯ユーザーに最適で、PayPayポイントを多く付与してくれます。
またひとつ、自社陣営にユーザーを囲い込む動きが生まれたわけです。
積極的に囲い込まれたい人にはおすすめです。
ですが筆者は、この囲い込みの風潮自体、やや疑問に感じています。
企業姿勢が問題なのではなく、嬉々として囲い込まれるユーザーが、本当に得なのかという疑問です。
この記事の目的は、PayPayカードゴールドのおすすめではなく、「特定陣営に囲い込まれないキャッシュレス」の提案です。
使いたい人もそうでない人も、お付き合いください。
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PayPayカードゴールドは、ソフトバンクユーザー向け
11月下旬発行のPayPayカードゴールドの特徴を、簡単にご紹介します。
年会費1万1,000円だが、ポイントバックがある
PayPayカードゴールドは年会費1万1,000円で、これはライバルの「dカードGOLD」「au PAYゴールドカード」と同額です。
系列の携帯電話キャリアユーザーにポイント還元する点も同じです。
性能は以下のとおりです。
・ 常時1.5%還元
・ PayPayあと払いで0.5%上乗せ(計2.0%)
・ ソフトバンク通信料の最大10%付与
・ワイモバイル通信料の最大3%付与
・ ソフトバンク光、ソフトバンクAir利用料金の最大10%付与
・ ソフトバンクでんき(おうちでんき、自然でんき)利用料金の最大3%付与
ソフトバンク光やソフトバンクでんきの還元は、ソフトバンクまたはワイモバイルユーザーが、携帯電話と合算で料金を支払っている場合のみです。
どのぐらい価値がある?
あくまでも机上の計算ではありますが、次のユーザーを想定して、獲得できるポイントをシミュレーションしてみます。
・ ソフトバンク携帯を年6万円利用
・ ソフトバンク光を年4万5,000円利用
・ PayPayあと払いを年間50万円使う
・ PayPayカードゴールドを直接決済で年間50万円使う
※通信関係は税別ポイント付与、クレジットカードは税込ポイント付与
そうすると、ポイント還元が2万8,000円となる計算です。
それにとどまらず「Yahoo!プレミアム」が追加料金なく使え、「Yahoo!ショッピング」でも2%のポイントアップがあることまで加味すれば、年会費の3倍程度までポイント獲得するのも夢ではありません。
ソフトバンクユーザーは持って損をしません。
通信系ゴールドカードは持つべきか?
PayPayカードゴールドの誕生を機に、系列で身の回りを固め、大幅に得する例を確認したところです。
しかしながら筆者は、得をしたという前提自体に疑問を持っております。次のとおりです。
・ 年会費が高すぎる割に、見合う性能がない
・ 携帯電話、光回線、電気ガス、クレジットカード、ポイント等を、ひとつの系列に絞らざるを得なくなる
・ 他系列を使いづらいことで、機会損失が多くなる
それぞれ深掘りします。
通信系ゴールドカードの年会費は高すぎる
通信系ゴールド愛用者は、「年会費はポイント還元の必要経費なので気にしない」という方も多いのではないでしょうか。
「ポイント還元があるから実質年会費無料のゴールド」と理解している方もいるでしょう。
しかし現実問題、年会費の高さは、確実にポイントによる利益を減少させています。
わかりやすい例として、「マネーの達人」ではおなじみ年会費無料で使える「エポスゴールドカード」を持ち出し比較してみます。
筆者の場合ですが、年間100万円利用でこうなります。
・ 通常ポイント還元 → 5,000円
・ ボーナスポイント → 1万円
・ ファミリーボーナス → 1,000円
・ 選べるポイントアップショップボーナス → 約4,000円
※ すべてポイント付与なので、「円相当」
年間2万ポイント程度コンスタントに得ていて、しかも必要経費ゼロです。
先の、PayPayカードゴールドにおける、「1万1,000円の経費で2万8,000円」よりも上です。
すでにゴールドカードの主流は、かつての高ステータスのイメージから大きく様変わりしています。
年会費無料で使える好還元ゴールドこそ、主流です。
現にエポスを追随して「三井住友カードゴールド(NL)」や、「SAISON GOLD Premium」といった、年会費無料になるゴールドが人気を集めています。
従来のステータス重視のゴールドカードはまだあります。
ですが通信系ゴールドはそのような高ステータスとも異なる存在です。
性能はそれほどではない
通信系ゴールドカードの基本性能は、そもそも1万1,000円の年会費に見合うほど高くありません。
付加サービスは次の程度です。
・ 国内空港ラウンジ無料
・ 海外旅行傷害保険
・ ケータイ補償(dカードGOLDに付帯)
サービスの大部分は実のところポイント還元であり、それが高い年会費に減殺されていることはすでにご説明しました。
通信や光熱費の自由度が失われる
先にエポスゴールドカードの例を挙げました。
エポスゴールドカードの高額還元は、携帯電話やポイントの系列からまったく自由です。
通信環境や光熱費を他の系列に移しても、それほど損はしません。自分の意思で最適な業者を選べます。
系列を外れるとセット割引がなくなることはありますが、新規のキャンペーンでお釣りが十分来ます。
意外と機会損失が多い
新たに登場するPayPayカードGOLDは、通常0.5%しかないPayPayあと払いが還元率2.0%となります。
積極的に使うとお得感は大きいでしょう。
PayPayステップの特典も得られるのでなおさらです。
ですが現代、キャッシュレスは特定の種類だけではなく、いろいろ使ってみるほうが得な時代です。
特にQRコード決済は10~30%還元の大きなキャンペーンが多いため、主たる4種類(PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY)をすべて使うのがおすすめです。使った分だけ得をします。
PayPayしか使わない人は、大型キャンペーンでもすぐ上限に到達してしまい、気づかぬうちに損をしています。
キャンペーン上限を超えない場合も問題があります。
他のペイはキャンペーン中通常のポイントも付与のため、あと1.0~1.5%程度付いています。
いっぽうPayPayは20%還元のキャンペーンならそれで打ち切りで、意外と差が生じているのです。
今後PayPayあと払いをゴールドカードで使った場合でも、キャンペーン時の還元は10%、20%などで打ち切られ、通常時の2%はつかないと予測されます。
系列に囲い込まれるなら覚悟が必要
新登場のPayPayカードゴールドが魅力的に映ることはまったく否定しません。
PayPay中心のユーザーがこれを機に、携帯電話の契約もソフトバンク系に変えてしまおうという動きも間違いなくあるでしょう。
ただ、そうしてポイントを大きく得たとして、検証する機会を忘れないようにしたほうがいいと考えます。
一度インフラを固定してしまうと、動かすのが面倒になります。自由度を失ってしまうのです。
もはや毎年得をしているという、錯覚しか残らないかもしれません。どうぞお気をつけください。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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