自宅で家族の介護をしていると、今はまだいいけどこれ以上介護の手が必要になった場合にどうしよう。
と悩まれることもあると思います。
急に介護の手がかかるようになる理由には、転倒や体調不良が原因ということがあります。
けがや病気で寝たきりが続くと筋力の低下などを招きます。
一度落ちた身体機能や老化による機能低下をできるだけ緩やかにしていく為には、リハビリが有効です。
在宅で介護をしている人向けにデイサービスと同じように通いで利用するリハビリ施設があります。
専門家によるリハビリを受けられる施設、デイケア(通所リハビリテーション)です。
リハビリのためにデイケアを使用した場合、いくら必要になるのかという点について、1か月分の利用料金等、デイケア利用でかかる料金について紹介いたします。
また、デイケア選びのポイントや注意点等もあわせてお伝えします。
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介護サービスは1割から3割の自己負担で利用できる
介護保険で利用できる介護サービスの料金は、介護保険から給付される1か月間の上限額までであれば、1割負担から3割負担で利用できます。
介護保険から給付される1か月間の上限額、「区分支給限度額」が、介護度によって決まっています。
要介護状態区分 | 区分支給限度額 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
参照:目黒区 区分支給限度額
介護保険での介護サービスは、利用料金の考え方が少々ややこしいのですが、各サービスの単価が単位数で示されます。
地域単価にもよりますが、一般的には区分支給限度額内の利用であれば、1単位1円で自己負担額を考えることができます。
区分支給限度額を超えた単位数は介護保険の給付がなく自費になります。その場合は、1単位10円となります。
自費になった例
介護1で利用した合計単位数が1万6,865単位の場合は、100単位オーバーになります。
オーバーした100単位分が、1,000円の自費になります。
オーバー分は全額自費になり、1単位10円となることに注意が必要です。
2割、3割負担の方は、各介護度の区分支給限度額内で利用した単位数を2倍、3倍したものが利用料金となります。
この辺りを踏まえて、次にデイケアを利用した場合いくらくらいになるのか見ていきましょう。
デイケアの利用料金の特徴
デイケアは、食事や入浴、専門家によるリハビリ等が提供される施設やリハビリのみが提供される施設があります。
介護医療院や介護老人保健施設、病院などに併設されています。
リハビリ内容も施設によって特徴があり、言語聴覚士(ST)が在籍している施設の場合、嚥下機能や言葉へのリハビリを行っていきます。
理学療法士(PT)は、立つ、歩くなどの大きな動作のリハビリを行い、作業療法士(OT)は、着替えをする、料理をする等の精密な動きのリハビリや認知症に対するリハビリ等をしていきます。
在職しているリハビリ職の人数によって、1週間に受けられるリハビリの回数が決まっている施設もありますので、注意が必要です。
興味のあるデイケアにどのようなリハビリ職が在籍し、目指す生活に沿ったリハビリが受けられるのか、ケアマネや施設の担当者に、よく確認をすることが大切です。
要介護の場合のデイケアは、提供する施設や介護度、利用時間の長さによって単位数が異なります。
介護度が重い、利用時間が長いほど単位数が大きくなります。
また、利用人数が多いデイケアほど、単位数が小さくなります。
介護老人保健施設に併設されている通常規模型通所リハビリテーションを5~6時間利用した場合の単位数は以下になります。
通常規模型通所リハビリテーション利用時間5時間以上6時間未満の場合の単位数
介護度 | 通常規模型通所リハビリテーション 利用時間5時間以上6時間未満の場合の単位数 |
要介護1 | 618単位 |
要介護2 | 733単位 |
要介護3 | 846単位 |
要介護4 | 980単位 |
要介護5 | 1,112単位 |
参照:ワムネット(pdf) 介護給付費単位数などサービスコード表
これに加え、入浴介助等を受けるとその料金もかかってきます。
実際はこの料金の他に、デイケアによって、リハビリテーション提供体制加算等の他の加算がつきます。
また、施設によっては、リハビリとして行う手作業の時に実費がかかる場合もあります。
利用前に、利用を検討するデイケアにどういった費用がかかるのかをしっかり確認することが重要です。
要支援の場合は、1か月定額利用に
要支援の場合、デイケアは、介護予防通所リハビリテーションと表記され、基本的に1か月定額利用になります。
単位数は以下のようになります。
介護度 | 介護予防通所リハビリテーション費単位数 |
要支援1 | 2,053単位 |
要支援2 | 3,999単位 |
参照:ワムネット(pdf) 介護給付費単位数等サービスコード表
入浴は、上記料金に含まれていますが、要支援の方の入浴を実施していない施設もあります。
入浴を希望される方は、確認が必要です。
要支援の場合には、利用の限度がないとはいえ、週に利用できる回数が制限されている場合もあります。
利用できる頻度については利用前に必ず確認しましょう。
また、利用時間も要介護の方よりも短い時間で決められていることもあります。
そのほか、要支援の場合にも、他にサービス提供体制強化加算等がつきます。
加算については利用する前に施設側からも説明がありますので、利用の前に実際の利用料金を必ず確認しましょう。
要支援の方の場合、利用施設で行っているリハビリの中でも自宅でできるような運動を生活に取り入れられるようになると、要介護状態への進みをゆるやかにすることができます。
要支援の方も、今後も元気に過ごしていく為に、介護予防通所リハビリテーションを利用することをおすすめします。
短時間から利用を始めるという方法も
デイケアは、リハビリを受けに行くという目的がはっきりしていますので、通所系サービスの利用に消極的な方でも、利用をすすめやすいです。
また、利用時間が2~3時間という短時間のデイケアもありますので、短時間から利用を始めるという方法も取れます。
リハビリの効果をさらに得るには、受け身ではなく、積極的に自分で行っていく必要があります。
その為には、どういったリハビリをしてどのような生活が送りたいかなどの目標を本人と家族、ケアマネージャー、施設担当者で話し合い、決めていくことが必要です。
高齢になると筋力の低下が著しくなってきます。
自分で気を付けるということもなかなか難しいものです。
これから先、どんな生活を送っていきたいのか、送りたい生活が送れるように今行っておきたい行動のヒントをもらいうことができます。
利用料金等の金銭的負担との釣り合いがとれるところで、利用を検討していくことをおすすめします(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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