家族に介護が必要になった時に、まず日中の見守りをどおするかが問題になることが多いです。
そこでヘルパーさんを利用するには抵抗があるという方はデイサービスの利用がおすすめです。
デイサービスは、食事や入浴、運動の機会を持つことができるほか、利用している間は安全に過ごせる場所で、他者との交流ができます。
デイサービスは聞いたことあるけれど、いざ利用するとなるとその費用はいくら位になるのか気になります。
デイサービスの利用料金はどのようになっているのでしょうか。
1か月分の料金とあわせてデイサービス選びのポイントや注意点について紹介します。
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介護保険の1か月間の上限額は、介護度によって決まっている
介護保険では、介護保険から給付される1か月間の上限額、「区分支給限度額」が決まっています。
要介護状態区分 | 区分支給限度額 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
≪画像元:目黒区 区分支給限度額≫
介護保険の介護サービスは、各サービスの単価が単位数で示されます。
この区分支給限度額は、そのまま自己負担額が1割の方の1か月分の利用金額の上限になります。
超えた単位数は介護保険の給付がなく自費になります。その場合は、1単位10円となります。
例えば、介護1で利用した合計単位数が16,865単位の場合、100単位が超過分になります。
超過した分は自費になり、1単位10円となることに注意が必要です。超過した100単位分が1,000円の自費になります。
デイサービスの利用料金を計算してみよう
実際にデイサービスを利用した場合いくらになるでしょうか。
要介護の場合、デイサービスは、介護度と利用時間の長さによって単位数が異なります。
介護度が重い、利用時間が長いほど単位数が大きくなります。
利用人数が多いデイサービスほど、単位数が小さくなります。
通常規模型通所介護を朝9時から16時まで利用した場合、6~7時間利用したことになるので単位数は以下になります。
介護度 | 通常規模型通所介護 利用時間6~7時間の場合の単位数 |
要介護1 | 581単位 |
要介護2 | 686単位 |
要介護3 | 792単位 |
要介護4 | 897単位 |
要介護5 | 1,003単位 |
参照:独立行政法人 福祉医療機構(pdf)
これに加え、入浴介助やリハビリ(個別機能訓練加算)などを受けるとその料金も1回ずつかかってきます。
介護1で1割負担の方が、朝9時から夕方16時前での利用、入浴とリハビリ、400円の昼食を利用した場合
・介護1:581単位
・入浴介助加算Ⅰ:40単位
・個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位
・介護保険の介護費用のほかに必要な費用として昼食代:400円(仮)
地域によって差がありますがここでは計算しやすいように1単位1円で考えていきます。
参照:独立行政法人 福祉医療機構(pdf)
1日あたり 1,077円
基本581単位+入浴40単位+機能訓練加算56単位=介護費用677単位(円)
介護費用677円+昼食代400円=1日あたり1,077円
週3回で、1か月13回利用の場合の介護費用 14,001円
1,077円×13回=14,001円
1か月あたり14,001円ということで、介護保険で給付される区分支給限度額内で利用できます。
実際はこの料金の他に、デイサービスによって、サービス提供体制強化加算等の他の加算がつきますが同じような要領で計算することができます。
実費の内容については施設によって行事や手芸等の時に実費がかかる場合もあります。
要支援の場合は、1か月定額利用に
要支援の場合、デイサービスは、通所型サービスと表記され、基本的に1ヶ月定額利用になります。
単位数は以下のようになります。
介護度 | 通所型サービス単位数 |
要支援1 | 1,672単位 |
要支援2 | 3,428単位 |
参照:独立行政法人 福祉医療機構(pdf)
要介護1~5と違う点は、入浴も上記料金に含まれているという点です。
1か月に何回使っても定額の為、施設によって、要支援1は週1~2回、要支援2は週2~3回と利用回数を決められていることが多いです。
利用時間も要介護の方よりも短い時間で決められていることもあります。
リハビリは上記料金に含まれておらず、リハビリを行うと運動器機能向上加算(225単位)が加わります。
他には、口腔機能を向上させる取り組みの加算(口腔機能向上加算)などもあります。
要支援1で1割負担の方が、昼食400円と運動機能向上加算225単位で1か月間で4回利用した場合
・通所型独自サービス1 1,672単位
・運動機能向上加算 225単位
・必要な費用として仮に昼食代400円とします。
介護保険で利用する単位数は、次のような計算になります。
地域によって若干の差がありますが計算しやすいように1単位1円で考えていきます。
基本1,672単位+運動機能向上加算225単位=1,897単位(円)
1か月あたり1,897円ということで介護保険で給付される区分支給限度額内で利用できます。
1か月分の昼食代 1,600円
昼食代400円×4回=1,600円
月に4回利用した場合の1ヶ月の介護費用 3,497円
基本1,897円+昼食代4回分1,600円=3,497円
要支援の場合にも、他にサービス提供体制加算等がつきます。
要支援の方は、元気な方も多いですが、要介護へと進まないためにも介護予防として通所型サービスの利用をおすすめします。
週に1回とはいえ、他者との交流の予定が入っていることは、張りのある生活につながります。
デイサービスをどう選ぶ?
デイサービスは、食事や入浴、運動の機会等が提供される通所系サービスです。
さまざまな特色を持つ施設があり、提供されるのは介護サービスだけでなく、本人が興味を持てる物、手芸・書道・PC・将棋等が実施されています。
趣味活動やレクリエーションが毎日行われているデイサービスを選ぶことで、毎回やりがいのある活動が楽しみになり、スムーズな利用につながります。
リハビリについても取り組み方に違いがあります。
リハビリ専門職が個別にかかわってくれる施設、集団で実施する施設など、施設ごとに工夫があります。
送りたい生活を考えて、目的に合ったリハビリが行える施設を選ぶことも重要です。
介護費用以外の実費を確認
詳しくみていくと加算や実費がデイサービスによって違うので紹介しきれませんが、気になるデイサービスを見つけたら、まずは介護保険の介護費用以外の実費について確認しておくと安心です。
- 昼食代が高い
- 消耗品など、日用品費がかかる
などのデイサービスもあります。
デイサービスの利用ですべての問題が解消されるわけではありませんが、利用を継続することで、介護予防や介護の負担軽減をはかれます。
デイサービスはそれぞれに受け入れる利用者数も違えば、送迎の方法、浴室の様子も違います。
利用したい回数とあわせて利用料金との釣り合いがとれるところで、デイサービス利用を検討していくことをおすすめします。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)