銀行員として私が出会った「忘れられない人」Aさんと、そこから私が学んだ「お金に好かれる人」とはどんな人かを紹介します。
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借金を自分の「原動力」にしたAさん
地方の支店勤務時代に私が出会ったAさんは、全国展開するスーパーマーケットの店長さんをしていた30代の男性です。
アパート暮らしで奥さんと小学生のお子さんが2人という、どこにでもある家庭でした。
しかしAさんが他の人と少し違うところは、雇われ店長さんというサラリーマンなのに、事業資金融資、それも数千万円という大きな借金を抱えていた点です。
担当者の交代で引き継いだ内容は
というものでした。
Aさんが引き継いだ「借金」はAさんのお父さんが仕事に必要で借り入れたお金でした。
Aさんは一人っ子なので、お母さんが亡くなれば、どちらにしても借金が自分のもとに来ることになっていました。
母親に借金返済はさせず、自分の家族も同時に守る困難な道を選びました。
「自分には大きな夢があり、借金を返していくことこそ、自分のエネルギー源になるんだ」とAさんはプラスに考えたそうです。
借金を返しながら夢も実現できた
Aさんの大きな夢は「いつか自分の店を持つ」というものでした。
そして、勤めていたチェーン店で、近くに新しい店のフランチャイズオーナーを募集することになりました。
最終的には公的融資も含め、なんとか開業する資金を準備できたのは、すべてAさんの人柄や考え方から来たものです。
前向きとはマイナスをプラスに転じることができる力
Aさんが独立開業という夢を実現できたのは、なんといってもAさんの熱意と、逆境からスタートしても、前を向き続けたその姿勢だと銀行員の私には感じられました。
銀行員として、私がAさんの力になれたのは、ほんのわずかですが、銀行員が後押ししたいと思わなければ、そのわずかなサポートもなく、夢が実現できなかったかも知れません。
マイナスなこともプラスに転じることができれば、お金が寄って来るということをAさんから教えてもらいました。
銀行の融資審査から見る「前向きな人」
銀行の融資審査でも前向きな姿勢は好評価となります。
逆境にめげない(赤字でも、経営姿勢が前向き)
一般に銀行は、会社が赤字の場合には融資をする可能性は低くなります。
赤字とはお金が足りないことなので、お金がない会社はお金を借りたいわけです。
こういった融資の申し込みを受けた場合でも、「今は赤字だが、3年後にはまず赤字を解消して、10年以内に黒字化する」
こういった前向きな姿勢を打ち出している企業なら、赤字でも融資をして支援することがあります。
失敗を恐れず挑戦する(チャレンジして失敗なら銀行は見放さない)
会社の将来を考えて、前向きにチャレンジした結果、不幸にもプロジェクトがうまくいかなかった場合などは、そのチャレンジ姿勢に対して、銀行は前向きにとらえてくれます。
企業の成長を通して、経済の発展に寄与するという使命を持つ銀行は(その通りできているか?は別にして)前向きなチャレンジなら可能な限り後押しをしてくれます。
前向きにも限度はあり、数値に基づく計画に基づくチャレンジであることが大前提にはなります。
意気込みだけで銀行には認めてもらえないのです。
後ろ向きはマイナス評価(前向きでない会社に銀行は冷たい?)
前向きでない会社は、銀行から冷たい目で見られてしまいます。
前向きでないとは、創意工夫やチャレンジ姿勢も感じられず、業績が振るわなくても対応策を講じないような会社のことです。
のれんの力に頼り、自分は何の努力もしないなどです。
大事な伝統を必死に守ることは重要ですが、漫然と過去の遺産に居座るのとは違います。
「やる気のない会社」が意外と多いもので、こういった会社は残念ながら、かなりの確率で破綻する傾向にあります。
銀行員が考える「前向き」とは
融資審査を例にしましたが、これは私たち自身に置き換えることもできます。
- マイナスなことがあっても腐らず、プラスに転じることができる思考
- 熱意と計画性を同時に持てるバランス精神
- 無謀ではないが、ときには失敗を恐れないチャレンジ精神
こういったところが、銀行員が融資審査から見つけた「前向きな人」になるヒントです。
Aさんから学んだこと
- 自分が引き起こしたことでなくても、誰かを助けるため逆境を受け入れる
- マイナススタートでも腐らず、誰も恨まず前向きに立ち向かっていく
- 夢を持ち、実現に向け計画的に動いていく
- 逆境を不幸とはせず、自分の原動力と言えるポジティブな思考
言葉にすると少し重くなりますが、明日からの行動にこれらのエッセンスを少しでも加えてみれば、毎日の暮らしが変わる可能性があります。
お金から好かれる人になり、将来の資金を貯めてください。(執筆者:加藤 隆二)
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