成人年齢が18歳になり、数か月が経過しました。
変わったもの、変わらないものいろいろと目まぐるしく変化する日常で、やはり大事なことは「意味をしっかり知ること」です。
今だからこそ知っておきたいお金のキーワード
- クレジットカード
- キャッシュカード
について、銀行員が解説します。
今回解説する言葉は、誰でも知っているキーワードばかりです。
「基本的過ぎる」
「何を今さら」
と感じられるかもしれませんが、知らずに痛手を負って欲しくないという気持ちで基本から説明しています。
キーワードでは基本的な説明だけでなく「今年18歳になった娘がいる銀行員」としての考えや経験談などを添え、わかりやすく紹介します。
クレジットカード
クレジットカード(Credit Card)とは、その場で現金を払うことなく、モノやサービスを購入することができるカードのことです。
クレジット契約だけでカードの発行がないケースもありますが、今回はクレジットの仕組みを解説しますので、こちらもクレジットカードと同じだと読み進めてください。
クレジット(Credit)を直訳すると「信用」「債権」といった意味になります。
債権とは銀行の融資(例・不良債権)や約束手形など「支払いを約束しているお金」です。
クレジットカードも利用者との契約に基づいて、カード会社が一時的に先払いしているので「クレジットカードを利用する人はカード会社に借金している」ことになります。
クレジットカードの特徴
- 支払い方法には一括払いとリボルビング方式(後述)がある
- 代金の支払いを「決済」とも呼び、キャッシュカードとクレジットカードが一体化されたものを「決済機能付き」などとも表現する
- カード利用代金は銀行口座からの引き落としが一般的
- 利用代金を計算する締切日(締め日)と代金引き落とし日はカードにより違う
例)「〇〇カードは月末締めの翌月10日払い」など
- 口座引き落としの当日に残高がないと「延滞」になる
この場合、コンピュータが当日何回か残高をチェックしてくれるカードと、朝イチの一回しかチェックしないカードなどがあるので注意が必要
- クレジットカードには審査があり、審査を通過しないと利用できない
- ゴールドカードなどの上位カードは、利用限度や信頼度も大きく、持っているだけでステータスを示せる反面、審査がきびしく年会費も高い
- カードを発行するのは銀行などの金融機関や消費者金融、信販会社など
- VISAやMasterなど世界中どこでも利用できる統一基準の「国際ブランド」がある
クレジットカードの国際ブランドとは
国際ブランドとは世界に数多く加盟店を持ち、国際的に通用する統一基準のことです。
代表的なものは以下のとおりです。
- VISA(ビザ、会社の所在はアメリカ)
- MasterCard(マスターカード、アメリカ)
- American Express(アメリカン・エキスプレス、アメリカ)
- DinersClub(ダイナースクラブ、アメリカ)
- JCB(ジェーシービー、日本)
ここまでを「5大ブランド」と呼び、これにDiscover Card(ディスカバーカード、アメリカ)と銀聯(ギンレン、中国)の2つを加えて「7大ブランド」と表現する場合もあります。
国際ブランドはカードの信用を補完する機能、つまり同じブランドなら誰でも安心して利用できるのが特徴です。
リボルビング払い
リボルビング払いとは、クレジットカード代金の支払い方法のひとつで、毎月定額あるいは定率で分割して払う「分割払い」です。
リボルビング払い(リボ払い、単にリボとも)を利用すると、分割して払う代金(元金・がんきんと読みます)以外に利息が発生します。
クレジット代金を分割して払うというより、買い物代金を借金して、分割返済していくというイメージのほうが現実に近いと思います。
リボルビング払いにもいくつかの種類があります。
定額方式
あらかじめ毎月の支払額を5千円と定めておく(定額方式)ことにより、クレジットカードを何度利用しても、そしていくら買い物をしても毎回支払いは定額以上にならない形です。
このためリボルビング払いを利用した場合、例えば毎月5,000円の定額だと、20,000円の買い物をすると、5,000円×4回の分割払いと、最後の5回目に残金と利息を一括して返済することになります。
残高スライド方式
とは、利用額に応じて支払額も増減(スライド)するものです。
残高スライド方式の場合も、あらかじめ残高と支払い定額を決め、例えば
「利用残高が10万円未満の場合は毎月の支払額は5,000円、10万円以上15万円未満までは毎月10,000円、利用残高が15万円以上の場合は15,000円」といった具合です。
定率方式
利用額に対し一定の割合を掛けて(定率)支払う方法です。
こちらも残高スライド方式と同じく、利用額が大きくなると支払額も増えます。
リボルビング払いの種類とは言いましたが、これはどちらかを選択するというよりも、残高や支払い方法がいろいろあるということです。
例えば残高スライド方式の説明で例にしたのも正式には「残高スライド定額リボルビング方式」となります。
また消費者金融などのカードローンでも、このリボルビング払いが使われており、その組み合わせや呼び方は多種多様です。
こちらは「元利定額リボルビング方式」「元金定額リボルビング方式」などで、さらに残高スライド方式も組み込まれた「残高スライド元利定額リボルビング方式」などの長い呼び名にもなります。
リボルビング払いは便利だから怖い
リボルビング払いは便利です。
計画的に利用すれば、毎月無理のない支払いで抑えられます。
でも「便利だから怖い」とも言えるのです。
毎月5,000円の支払いが、さらに買い物をして1万5,000円になった場合、収入が変わらないのに、支払いだけが月1万増えたことになります。
毎月のお金の出入りは一定のペースがあり、そのペースが乱れるとお金に困ることがよくあります。
これはクレジットのリボ払いだけでなく、キャッシングやカードローンにもいえます。
筆者も独身時代に、クレジットカードのリボ払いで買い物を続け毎月返済が増えて大変な思いをしました。
参照:一般社団法人日本クレジット協会「リボ払いの特徴と利用上の注意」
キャッシュレス決済
社会的に普及し、浸透しているキャッシュレス決済ですが、
「キャッシュレス決済の種類はいくつくらいあるか?」
「どのようなキャッシュレス決済があって、それぞれの特徴は?」
と聞かれたら、私は答えられません!
それほど多くのキャッシュレス決済があります。
「答えられません」と胸を張れることではありませんので、今回は自分も勉強しました。
キャッシュレス決済の特徴
キャッシュレス決済とは現金を使わずにお金を支払うことの総称です。
キャッシュ(cash)は「現金」、レス(less)は「ない」を意味しますので、現金がなくても買い物やサービス利用ができるとも言え、その手段や方法を「決済ツール」「〇〇決済」と呼んでいます。
原則として、現金の代わりに電子化・デジタル化されたデータのやり取りで決済します。
参照:経済産業省(pdf)
キャッシュレス決済は信用がないと使えない
日本史を学んでいたら「掛け売り」という言葉を聞いたことがあると思います。
掛け売りは、商品代金をあとから支払うことで、現在の商習慣でも「売掛金」として企業間で通用しています。
掛け売りや売掛金は、単に支払までの時間的な猶予を意味する言葉で、実際の支払(決済)は現金払いや振り込み、約束手形や小切手などです。
そして、こうした掛け売りが可能なのは「あの会社なら、代金があとになっても必ず支払ってくれるだろう」という信用があるからです。
この点はキャッシュレス決済も同じで、あなたがキャッシュレス決済を利用できるのは信頼があるからです。
たとえばあなたが買い物をしてキャッシュレス決済を利用すると、決済ツールになっている会社が、原則としてその場で代金を立て替え払いしてくれます。
あなたは現金を持っていなくても、キャッシュレス決済のおかげで買い物ができるわけです。
キャッシュレス決済は、自分がお金を払うタイミングの違いで3つに分けられます。
- 前払い(プリペイド)
- 即時払い(ジャストペイ)
- 後払い(ポストペイ)
前払い(プリペイドとも)
あらかじめ一定額のお金をチャージしておくことで、買い物に使用できるものです。
こちらはいわゆるプリペイドカードや、交通系電子カード、そしてコード決済などが当てはまります。
即時払い(ジャストペイとも)
買い物をした場合、同時に口座から代金が引き落とされるもので、デビットカードが代表格です。
後払い(ポストペイ)
利用する決済ツールが代金を立て替え、後日自分が支払う形態で、こちらはクレジットカードや携帯電話のキャリア決済などになります。
キャッシュレス決済の種類
ひとくちにキャッシュレス決済と言っても、その種類や名前は多種多様で、また日々新しいツールが生まれ、まさに日進月歩の状態です。
そこで、現在のところ代表的なキャッシュレス決済をいくつか紹介していきます。
クレジットカード
クレジットカードという独立した決済方法ではなく、キャッシュレス決済のひとつがクレジットカードという区分けになります。
カードで支払うという点でカードローンがありますが、カードローンは代金決済ではなく、足りなくなったお金を借りるものなので、キャリア決済には含まれません。
デビットカード(Debit Card)
デビットカードとは、支払いと同時に自分の銀行口座から代金として即時に引き落としされる仕組みのカードです。
キャッシュカードで現金を出金してから払うという、よくある方法の中で出金の部分を省いたものです。
口座の残高以上には使えないのが原則で、使いすぎる心配がありません。
また自分の預金口座から出金する形態なので、クレジットカードやカードローンのような審査は原則として不要です。(*デビットカードにクレジットやカードローンがセットになっている場合は除く)
キャリア決済
携帯電話会社(携帯キャリアとも呼ぶ)が提供するキャッシュレス決済で、携帯電話を使い、買い物やサービス利用代金を支払う方法です。
お金の支払いは携帯電話料金に合算されて請求されるのが一般的です。
キャリア決済の例としてはNTTdocomo(ドコモ払い)、au(au かんたん決済)、Softbank(ソフトバンクまとめて支払い)などがあります。
電子マネー(プリペイドカード、交通系ICカード)
電子マネーとは、あらかじめ決まった残高がある専用カードを購入(またはチャージ)し、残高の範囲で利用する決済方法です。
プリペイドカードにも種類があります。
1,000円や3,000円といったように、最初から使える金額が決まっていて、残高がなくなったら終わりと言う「使い切り型」で「QUOカード」が代表的です。
図書カードや、コンビニのレジなどで見かける AmazonやAppleなどのプリペイドカードもありますが、これらは使いみちが限定されているため、今回は含みません。
1,000円などで購入した後に、自分の希望する金額をチャージして反復継続できるプリペイドカードもあり、こちらは「チャージ型」などとも呼ばれています。
チャージ型プリペイドカードとしては、コンビニやスーパーマーケットなどが発行し、幅広く使える「nanaco」「WAON」などの流通系カードがあります。
また交通系電子マネーも、チャージ型プリペイドカードの一種です 。
交通系電子マネーとは、鉄道会社などが発行し、乗車券として使える電子マネーを買い物にも使う方法です。
交通系電子マネーはあらかじめ入金しておく(チャージ・プリペイド方式)とともに、
不足額を自動的にクレジットカードが補填する「オートチャージ機能」などの利便性から広く利用されています。
交通系電子マネーにはSuica(スイカ・JR東日本)、TOICA(トイカ・JR東海)、ICOCA(イコカ・JR西日本)などJR系列や、私鉄・バス系列のPASMO(パスモ)などがあります。
コード決済
コード決済とは、バーコードやQRコードを利用して支払う決済方法です。
コード決済も、コードの見せ方で違いがあります。
- 利用者がスマホにコードを表示して見せるのが CPM(Consumer Presented Model:消費者提示型)
- お店側が表示したコードをスマホで読み取るのが MPM(Marchant presented Mode:店舗提示型)
コード決済の代表格はPayPay(ペイペイ)やメルペイなどがあります。
キャッシュレス決済の特徴一覧表
種類 | 利用方法 | 支払いのタイミング | 利用制限 | 審査 | 18歳でも利用可能? |
クレジットカード | 店頭でカードを提示 | 後払い(ポストペイ) | 上限あり | 審査あり | 18歳でも利用可能(高校生を除く) |
デビットカード | 店頭でカードを提示 | 即時払い(ジャストペイ) | 口座残高の範囲内 | 審査なし | 15歳以上の利用可能(中学生を除く) |
キャリア決済 | 店頭で携帯電話を提示 | 後払い(ポストペイ) | 上限あり | 審査なし | 年齢制限なし |
電子マネー | 店頭でカードを提示 | 前払い(プリペイド) | チャージした金額の範囲内 | 審査なし | 年齢制限なし |
コード決済 | 店頭で携帯電話を提示 | 前払い(プリペイド) | チャージした金額の範囲内 | 審査なし | 年齢制限なし |
お金をコントロールできる大人になる
「こんなこと、言われなくてもわかってるって」
18歳になる娘からそんな反応もありそうですが、言われなくてもわかることだから、言われないと気づかないこともあります。
あとの事を考えず買い物をしてしまう人や、お金の借りすぎで破綻する人が多いのも事実です。
それは、いつのまにか少しずつ、大事なことを忘れていってしまうから、見えなくなってしまうからです。
- 手元にないお金で買うと、あとから支払わなければいけない
- お金を借りたら返さなければいけない
便利なキャッシュレス決済ですが、便利だからこそいろいろな問題や事件も増えています。
利用するときには便利さと怖さが表裏一体になっていることは忘れないでください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)
参照:経済産業省(pdf)