2022年2月、新聞各紙に住宅ローンについて、以下の記事が掲載されました。
私は初めて、変動金利が固定金利より早く上がることを、実体験しました。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが噂され、世界的に流動的な情勢の中で、住宅ローンの金利についても、変化の兆しがあります。
本日は、「今こそ注目したい、変動金利」について解説します。
現在、契約されている住宅ローンののうち、変動、固定の割合8.5対1.5と言われて言います。
変動金利はとてもお得感がありますが、上昇するのは怖いです。
固定金利と変動金利
筆者が考える、変動・固定金利の比較方法について述べます。
固定金利とは
返済終了まで当初の金利が変わりません。
10年国債の利回りを参考に決定されます。
変動金利とは
金利が変動する住宅ローンです。
金融機関が半年毎に金利を設定します。
ただし返済額は5年毎に見直されます。
もし金利が上がった場合でも、返済額の上限は125%とされている場合がほとんどです。
この上限とは返済の上限であり、契約上の上限ではありません。
事例で確認 (元利均等返済、借入額3,000万、返済年数35年)
住宅ローンの返済は元金と利息に分かれています。
(1) は0.5%で契約した住宅ローンが、半年後に1.2%に変更された場合です。
初回に設定された月毎返済額7万7,876円は半年後も変わりませんが、その内訳が変わります。
0.5%時は、元金6万5,376円、利息1万2,500円だったものが、1.2%時には、元金5万7,799円、利息2万9,712円(合計8万7,511円)です。
しかし月毎返済額が7万7,876円なので、元金4万8,164円、利息2万9,712円となります。
(2) は0.5%で契約した住宅ローンが、5年後に4.2%に変更された場合です。
初回に設定された月毎返済額7万7,876円は、5年後は上限9万7,345円になります。
0.5%時は、元金6万5,376円、利息1万2,500円だったものが、4.2%時には、元金3万8,791円、利息9万7,664円(合計13万6,455)となります。
しかし月毎返済額が9万7,345円なので、元金0円、利息9万7,345円となります。
未払い利息319円は、以後支払われることになります。
(1)、(2) とも、先送り分の元金があります。
極端な事例でしたが、変動金利はテールヘビーになる可能性があることを承知ください。
テールヘビーとは、先送りした返済を、最後の返済時に一括して支払うことです。
変動金利は短期プライムレートに連動します。
注意点は、変動金利には金利に上限がありません。
金融機関の判断で金利変更が可能なので、金利が低いのです。
金利の比較方法
住宅ローンにて、変動固定を選択する際は、指標が必要です。
簡易的な方法でも、指標になります。
変動か固定かを金利の低さだけで選ぶ。
根拠がない選択は、不安が取り除けません。
資金計画は、まず現在の一般的な固定金利で算出したものを軸に、変動金利を比較していきます。
一般的に、固定金利は変動金利より高い。
変動金利を選ぶ場合は、現在の金利だけでなく、以下の比較が重要です。
事例を掲載します。
暫定的にライフプランを設定し、毎月10万までなら返済可能とします。(固定資産税、火災保険料を除く)
・ 検討中の変動金利0.5%
・ 検討中の固定金利1.5%
・ 月毎返済額での限界値2.04%
・ 変動金利の単純平均額3.8%
・ 変動金利が変わらないとしたら、固定金利よりどれくらい優位か。
・ 月10万円返済での合計返済額について。
・ 変動金利平均値での合計返済額と、固定金利の返済額の差。
これらが、比較できます。
よく言われる、「変動金利を借りて、上がってきたら固定に変える」。
現実的には、変動金利より固定金利の方が早く上昇します。
変動金利を選ぶのであれば、金利が上がった時の対策を、借入前に決めておくことが肝要です。
リスクを具体的な数字で比較しよう
変動金利が上がるリスクは、5年、10年、35年後まで続きます。
金融機関は金利、返済者は残高を調整することができます。
「変動型はリスクが大きい」という抽象的な捉え方をせず、リスクを具体的な数字で比較しましょう。
変動金利のリスクをコントロールしうまく活用するか、固定金利で費用を確定するか決断することができます。(執筆者:金 弘碩)
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