2022年も2月半ばとなり、昨年の時点から「今年の相場は荒れ模様?」と噂も飛び交っていましたが、実際に人気米国株の動きに変化の兆しが見えています。
昨年末まで順調な右肩上がりを続けていた米国株もここのところ軟調、調整局面入りをしています。
このまま下落相場へと移行するのか、はたまた一時的な「押し目」を経て再び上昇するのかは今のところ誰にもわかりません。
コロナ禍における経済危機回避のために経済、金融緩和策を次々と打ち出した米国。
それが功を奏した部分もあれば、仇となってしまった部分もあり、現在緩和政策の修正に追われています。
米国を襲っている急激なインフレ(物価上昇=貨幣価値下落)に歯止めをかけるべく、FRB(アメリカの中央銀行)がさまざまな施策を打ち出し、過熱気味の経済を抑える動きを取ることは確実な流れとなっています。
景気緩和策から景気引締策に舵を切ったということです。
一般的には景気引締策は株式相場にとって向かい風に働きます。
つまり、今後しばらく株式相場にとってはあまり好ましくない施策が打ち出されるということは認識しておくべき事実です。
かといって今後株式が確実に下がっていくかといわれると「それはわからない」というのが正直なところです。
市場は先の情報を織り込んで株価を形成していきます。
市場に参加している投資家(主に機関投資家といわれる企業や大口投資家)の動向次第で上がりもすれば下りもします。
我々一般投資家としてはその流れに逆らうことなくうまく乗っていくしか方法はありません。
この様な難しい相場だからこそ我々が気をつけておくべきことはたくさんあります。
冷静になって現状を分析し、場合によっては相場と距離を取ることも大切です。
【積立NISAの投資構成】40代までは「株式100:債権0」で大丈夫な理由
含み損はツライ! でも投資を継続することが大切です!
多くの方が人気の積立NISAやiDeCoといった非課税制度を活用し、積立投資を行っているのではないでしょうか。
コロナ禍以前から積立投資をされている方にとっては今回の調整局面はまだまだ耐えれるレベル、たとえ含み益が少なくなってしまっても、含み損という状況にはなっていないかと思います。
これまで順調に増えていた含み益が少なくなってしまうことは非常に残念ですが、投資にリスク(値動き)は付き物です。
「これまでが順調過ぎた」と割り切って積立を継続する事はさほど難しくないでしょう。
対してコロナ禍の投資ブームから相場に参加された方にとっては難しい局面かもしれません。
特に昨年末や今年年初に投資を始めた方はいきなりの含み損、つまり資産が減っている状況になっているのではないでしょうか。
含み益を経験することなく含み損に突入してしまう精神的負担は大きいものがあるでしょう。
「増えると思って投資を始めたのに」
「いきなりマイナスから始まるのは精神的に辛い」
「家族に減っているなんていえないし、やっぱりやめようかな」
こんな悩みを抱いている方も多いかもしれません。
それもそのはず、リーマンショック以降の米国株は順調そのもの。
一時的な下落はあれどずっと右肩上がりを続けてきました。
多くの書籍やYouTuberが
- 米国株は最強
- S&P500やVTI(全米株式)に投資すれば問題ない
と紹介していたこともあり、初心者ほど「ずっと上がり続ける」と勘違いしてしまう方も多かったと思います。
ですが本来は米国株であっても下がることはあり得ます。
ずっと上がり続ける株なんて存在しないのが現実です。
では書籍やYouTuberは嘘をいっていたのか…もちろんそうではありません。
10年やそれ以上の長期で見ると確かに右肩上がりですし、今後も調整局面、下落局面を経ながらも成長していく可能性は高いでしょう。
私もそのように考え、米国株に投資しています。
大切なのは長期的に見ることです。
目先の下落に一喜一憂することなく、淡々と積立を継続すること。
これが米国株本来の投資リターンを得るための秘訣です。
それでもツライ場合は積立停止も選択肢の一つ
・ 継続することが大切なのはわかっている
・ でも一生懸命働いて得たお金が投資するたびに減っているようで耐えられない
そんな方は一時的に積立をストップするのもありです。
積立は継続することが大切ですが、継続するためには感情コントールが重要になってきます。
この調整局面もいつ終わるがくるかわかりません。
本格的に下落相場入りしてしまうとそれこそ毎月投資をするたびに資産が減っていくという状況も起こり得ます。
それを想像して「私は耐えられない」という方は積立をストップしましょう。
本来投資に回す予定だった資金を銀行に預けておき、キャッシュポジション高めにしておくことも一つの投資戦略です。
いつかは再び上昇局面が訪れるという見方が大勢です。
リーマンショックの時は約5年、コロナショックからは約半年で下落が終了し、上昇基調になりました。
次に来る上昇局面に向けて資金を待機させておき、感情のコントロールを優先することも相場で生き残る秘訣です。
感情がついていけなくなってしまってはもはや投資を継続、再開する事は困難です。
一時的に積立をストップする事は決して「逃げ」ではなく、立派な「投資戦略」の一つです。
積立をストップする選択肢はありだとしても、売却して損失を確定させることだけは避けたいのが本音です。
投資で良い成績を収めた人の属性は
- 投資していたことを忘れていた人
- 亡くなっていた人
の2つだという話は有名です。
つまり「長く相場に残ること」が何よりも大切ということです。
下がったからといって売却してしまってはそこで損失確定、終了となってしまいます。
再び上昇相場が来た場合に後悔してしまうことになるでしょう。
積立をストップするだけなら再び再開するハードルは低いでしょう。
ですが売却し、資金を引き上げてしまったら再び始めるハードルは想像よりも高いものとなってしまいます。
と考える方もいますが、それはプロでもできない至難の技です。
相場の底と天井は誰にもわかりません。
後になって底と天井がわかるのが相場です。
底と天井を当てることが大切なのではなく、その時に「相場にいること」が大切なのです。
投資は余裕資金でやるもの、資金繰りに厳しい場合は先に家計の見直しを!
今回の調整局面で資金を引き上げてしまう方の多くは「投資は余裕資金でやるもの」という前提を疎かにしてしまっている可能性があります。
上昇相場の時ほどお祭り騒ぎが起きます。
「持っている資産のほとんどを投資に回してしまった」
なんて話も聞くほど、本来の鉄則を忘れてしまう方も多いようです。
確かに巷で景気の良い話を聞くと「乗り遅れたくない!」と焦る気持ちも理解できます。
ですがそんなうまい話はありません。
上昇相場はいつか終わりを迎え、調整局面入りします。
場合によってはそこから下落局面入りし、数年間冴えない動きとなる可能性も十分にあるのです。
実際に過去の米国株の動きはそういった歴史をたどってきました。
もちろん米国株だけではなく、世界的にそういった動きを繰り返すのが株式相場です。
今回投資資金が多くなり過ぎてしまった方はバランスの調整をするべき時かもしれません。
少なくとも半年分の生活費はしっかりと現金として確保し、毎月の収支からの余剰資金を投資に充てるべきです。
毎月の収支に余裕がなければ家計の改善、支出削減を行うことが先決です。
キャッシュフローが黒字になってから投資を開始するのがセオリーです。
収入を増やすのは難しいかもしれませんが、支出の削減は意外とできるものです。
その後にあらためて投資と向き合うということが長期的に続けるためには必要だと考えます。
今回の調整局面で打撃を受けた人、はたまた気にならずに継続できる人、さまざまだと思います。
いずれにせよ今回の調整局面を「良い経験」として今後の糧に変えていきたいものです。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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