介護保険のサービスは高齢者にとってはなじみの保険となってきました。
介護保険は私たちの大きな力になってくれますが、その適用範囲は法律によって定められていて、範囲外のサービスは原則として受けることができないというデメリットがあります。
一方、介護保険ではない介護サービスは、料金が全て自己負担になる反面、サービスの種類が多く、こんなこともできるの? と驚くようなきめ細かいサービスも存在します。
実際に利用してみると「料金が高いから心配だったけど、利用してみたらとても便利だった」という声もあり、料金に見合うサービスだという評価もあります。
そこで今回は、民間会社が提供している介護保険以外の訪問介護に注目し、その内容についてご紹介していきます。
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介護保険の「訪問介護」とは
始めに介護保険制度の「訪問介護」について少し見ておきましょう。
「訪問介護」には「(1) 身体介護、(2) 生活支援、(3) 外出支援」の3つの種類があります。
いずれも時間によって利用料が区別され、要介護度は基本的に関係がありません。
しかし、利用者の自立支援や要介護度が上がらないようにするため、無制限に利用することはできず、月ごとに利用回数の上限が定められています。
介護保険が適用されるので、利用者は1割から3割の自己負担でよいという経済的メリットがあります。
利用者様本人を対象としており、本人以外に向けたサービス利用はできません。
例えば、本人が利用していない部屋の掃除や家族の衣服の洗濯、庭の手入れ等は介護保険のサービスとして利用できないのです。
きめ細やかな介護保険外の介護サービス
では、介護保険ではない介護サービスを見てみましょう。
介護保険外の介護サービスでは、トイレやお風呂などの共用部分の掃除や家族の方の部屋の掃除も可能です。
本人の希望があれば、庭の手入れや室外の清掃の他にペットの散歩や趣味の話し相手なども可能です。
例えば、本人は将棋が趣味という場合です。
そこに将棋のできる訪問介護員が来て家の掃除をして、その日の食事を作り終えた後に、利用時間の終わりまでじっくり一戦勝負するというような自由な利用が可能なのです。
このように、介護保険法という法律の枠組みで提供される保険サービスより、柔軟な発想でサービスが提供されています。
どんな時に介護保険外のサービスを考えたらよいか
例えば、介護保険で20分以上30分未の約束で部屋の掃除をしてもらったとします。
この場合「訪問介護」の生活支援に該当し、1割負担の場合約250円になります。
保険外サービスで同じ内容を頼んだ場合ですが、20分1,000円程度かかります。
保険サービスのおよそ4倍の料金です。
利用料金が高いからといって掃除のプロが行うわけではなく、掃除の内容に大きな差はありません。
となると、この場合は介護保険を利用した方が効率的ということになります。
では、どのようなときに利用するメリットあるのか、ということになります。
介護保険サービスの利用には上限が定められていますが、やむを得ず上限を超えて利用したい場合もあるでしょう。
その場合、介護保険の場合、上限超過分は100%自己負担になりますのでかなり高額になります。
また、介護保険の介護サービスでは頼めない家事や庭の掃除など、一時的に利用したいときなどには、一般的な便利屋さんに依頼するよりも安心して頼むことができます。
期間限定で利用することが可能
介護保険の利用を申請して、介護サービスの開始に至るまで時間を要することもあります。
介護度の見込みでの介護保険の利用も可能ですが、手続きに時間がかかっている間を介護保険外サービスを利用するという方法もあります。
また、介護が必要になったときはさまざまな支援が必要な場合もあります。
介護保険だけでは足りない部分を介護保険外の介護サービスでフォローするということも可能です。
ただし、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて利用する場合にはいくつかの約束事等がありますので、ケアマネージャーに確認してから介護保険外の介護サービスの利用を開始すると安心です。
保険で済むものは保険で済ませると金銭的に負担が少ないので、保険外サービスを長期間利用せず、期間限定で利用することで出費を抑える方法があります。
契約はいつでも解除することができますので安心して利用することができます。
適切なサービスを選択しよう
介護保険と介護保険外、どちらの介護サービスにもメリットとデメリットがあります。
大切なのは、ひとりひとりの状況に合わせて適切なサービスを選択することです。
介護のベースは介護保険にして、プラスでたりないところは介護保険外の介護サービスに依頼するなど、上手にサービスを利用すれば、その分快適な介護ライフを送ることも可能です。
介護サービスを利用するということは、その時の支援だけではありません。
介護スタッフがいなくても安心して介護が行えるようなアドバイスや介護方法なども教えてくれることでしょう。
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