東京23区内で不動産投資の物件やマイホームの購入を検討する際、街の治安を気にする人もいるのではないだろうか。本コラムでは、東京23区における物件選びの際の参考として犯罪発生率が高い区と低い区をランキング形式で紹介していく。
東京23区の治安が良い区ランキング、治安が悪い区ランキング
まずは、東京23区の犯罪認知件数(※1)の総合計と、罪種別(※2)の内訳を確認してみよう。
※1犯罪認知件数:被害の届出,告訴,告発その他の端緒により,警察等が発生を認知した事件の数(実際の犯罪数とは一致しない)
※2罪種別:犯罪の種類
<東京23区の犯罪認知件数> 単位:件
区 | 総合計 | 凶悪犯 | 粗暴犯 | 侵入窃盗 | 非侵入窃盗 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|
新宿区 | 4,820 | 60 | 678 | 144 | 2,846 | 1,092 |
世田谷区 | 3,676 | 23 | 286 | 87 | 2,338 | 942 |
足立区 | 3,664 | 26 | 329 | 146 | 2,344 | 819 |
大田区 | 3,654 | 14 | 240 | 84 | 2,450 | 866 |
江戸川区 | 3,605 | 41 | 240 | 116 | 2,401 | 807 |
渋谷区 | 3,024 | 33 | 307 | 110 | 1,832 | 742 |
豊島区 | 3,012 | 34 | 325 | 46 | 1,933 | 674 |
練馬区 | 2,901 | 22 | 204 | 77 | 1,958 | 640 |
江東区 | 2,807 | 14 | 252 | 46 | 1,860 | 635 |
板橋区 | 2,719 | 21 | 195 | 58 | 1,810 | 635 |
港区 | 2,620 | 20 | 442 | 56 | 1,416 | 686 |
中央区 | 2,588 | 11 | 157 | 40 | 880 | 1,500 |
台東区 | 2,525 | 22 | 277 | 53 | 1,636 | 537 |
葛飾区 | 2,316 | 13 | 218 | 73 | 1,450 | 562 |
杉並区 | 2,260 | 14 | 145 | 70 | 1,430 | 601 |
品川区 | 2,041 | 19 | 185 | 47 | 1,243 | 547 |
千代田区 | 2,033 | 12 | 228 | 45 | 1,131 | 617 |
墨田区 | 1,953 | 20 | 174 | 32 | 1,330 | 397 |
北区 | 1,926 | 14 | 163 | 32 | 1,224 | 493 |
中野区 | 1,880 | 12 | 141 | 37 | 1,283 | 407 |
目黒区 | 1,327 | 8 | 98 | 42 | 839 | 340 |
荒川区 | 1,143 | 13 | 83 | 32 | 741 | 274 |
文京区 | 898 | 8 | 95 | 23 | 507 | 265 |
なお、それぞれの罪種(凶悪犯、粗暴犯、侵入窃盗、非侵入窃盗、その他)の具体的な手口は、以下の通りだ。
・凶悪犯:強盗など
・粗暴犯:凶器準備集合、暴行、傷害、脅迫、恐喝
・侵入窃盗:金庫破り、学校荒らし、事務所荒らし、出店荒らし、空き巣、忍込み、居空きなど
・非侵入窃盗:自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、車上ねらい、自販機ねらい、工事場ねらい、すり、ひったくり、置引き、万引きなど
・その他:詐欺、賭博など
また、犯罪認知件数の総合計を人口で割って算出した各区の「犯罪発生率」は、次の通りだ。この犯罪発生率が低いほど「治安が良い区」という見方ができる。
<東京23区の犯罪発生率>
区 | 犯罪認知件数の総合計 | 人口 | 犯罪発生率 |
---|---|---|---|
文京区 | 898件 | 23万9,624人 | 0.375% |
杉並区 | 2,260件 | 58万6,102人 | 0.386% |
練馬区 | 2,901件 | 75万75人 | 0.387% |
世田谷区 | 3,676件 | 93万7,615人 | 0.392% |
目黒区 | 1,327件 | 28万4,282人 | 0.467% |
板橋区 | 2,719件 | 58万746人 | 0.468% |
品川区 | 2,041件 | 41万8,658人 | 0.488% |
大田区 | 3,654件 | 74万312人 | 0.494% |
葛飾区 | 2,316件 | 45万868人 | 0.514% |
江戸川区 | 3,605件 | 69万645人 | 0.522% |
荒川区 | 1,143件 | 21万6,588人 | 0.528% |
足立区 | 3,664件 | 69万2,322人 | 0.529% |
江東区 | 2,807件 | 52万3,631人 | 0.536% |
北区 | 1,926件 | 35万2,925人 | 0.546% |
中野区 | 1,880件 | 34万1,843人 | 0.550% |
墨田区 | 1,953件 | 27万2,158人 | 0.718% |
豊島区 | 3,012件 | 29万7,751人 | 1.012% |
港区 | 2,620件 | 25万7,776人 | 1.016% |
台東区 | 2,525件 | 21万2,032人 | 1.191% |
渋谷区 | 3,024件 | 24万1,998人 | 1.250% |
新宿区 | 4,820件 | 34万6,028人 | 1.393% |
中央区 | 2,588件 | 17万475人 | 1.518% |
千代田区 | 2,033件 | 6万6,687人 | 3.049% |
この結果をもとに犯罪発生率が低い区と高い区をランキング形式でまとめると以下のようになる。
犯罪発生率が低い区(治安が良い区)トップ10
1位:文京区 0.375%
2位:杉並区 0.386%
3位:練馬区 0.387%
4位:世田谷区 0.392%
5位:目黒区 0.467%
6位:板橋区 0.468%
7位:品川区 0.488%
8位:大田区 0.494%
9位:葛飾区 0.514%
10位:江戸川区 0.522%
1位の文京区は、東京23区内で治安が良いと定評だ。また今回このランキングには入っていないが、荒川区(0.528%)や足立区(0.529%)も10位の江戸川区とほぼ同等の犯罪発生率0.52%台となっている。
犯罪発生率が高い区(治安が悪い区)トップ10
1位:千代田区 3.049%
2位:中央区 1.518%
3位:新宿区 1.393%
4位:渋谷区 1.250%
5位:台東区 1.191%
6位:港区 1.016%
7位:豊島区 1.012%
8位:墨田区 0.718%
9位:中野区 0.550%
10位:北区 0.546%
1位の千代田区の犯罪発生率は約3%で2位以下の1%台以下と大きな開きがある。これを考慮すると千代田区で物件購入を検討している人は、万全の防犯対策が欠かせない。
ここでは便宜上、「犯罪認知件数が多い=治安が悪い」としているが、認知件数が多いということは犯罪者を捉えている割合が高いという見方もできることに留意したい。
都心3区(千代田・中央・港)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
千代田区 | 3.049% |
中央区 | 1.518% |
港区 | 1.016% |
都心3区は、すべての区が「犯罪発生率が高い区トップ10」に入っている。同ランキングでの順位は、千代田区が1位、中央区が2位、港区が6位である。このことから都心3区は、治安が悪いとエリアという見方もできる。
都心3区全体を見ると非侵入窃盗が多い傾向がある。都心3区の物件を購入する際には、特に駐車中の車やオートバイの窃盗などに対して警戒するのが賢明だろう。
都心6区(新宿・文京・渋谷)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
新宿区 | 1.393% |
文京区 | 0.375% |
渋谷区 | 1.250% |
都心3区に新宿区、文京区、渋谷区を合わせたのが都心6区だ。これらの3区は、新宿区を挟んで隣接しているにもかかわらず、犯罪発生率が低い区と高い区に分かれる。文京区は「犯罪発生率が低い区トップ10」の1位であり、一方で新宿区と渋谷区はいずれも「犯罪発生率が高い区トップ10」に入っている(新宿区は3位、渋谷区は4位)。
両区の特徴としては、強盗などの凶悪犯の発生件数が多いため、自宅やオフィス周辺の防犯対策が重要だ。
城東エリア(台東、墨田、江東、葛飾、江戸川)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
台東区 | 1.191% |
墨田区 | 0.718% |
江東区 | 0.536% |
葛飾区 | 0.514% |
江戸川区 | 0.522% |
城東エリアでは、犯罪発生率が高い区と低い区が混在している。台東区や墨田区など都心部に比較的近い地域は犯罪発生率が高く、一方で葛飾区や江戸川区など江戸川に近い地域は犯罪発生率が低い傾向がある。
江戸川区は「犯罪発生率が低い区ベスト10」の10位にランクインしているが、2023年は自転車の窃盗被害の増加が顕著だった。この問題を解決するため、江戸川区では民間マンション駐輪場への防犯カメラ設置などの対策を進めている。
城西エリア(世田谷、中野、杉並、練馬)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
世田谷区 | 0.392% |
中野区 | 0.550% |
杉並区 | 0.386% |
練馬区 | 0.387% |
城西エリア全体を見ると「治安が良い」といえるだろう。なぜなら「犯罪発生率が低い区ベスト10」のなかで2~4位を同エリアが占めているからだ(2位は杉並区、3位は練馬区、4位は世田谷区)。ただし残りの中野区は、「犯罪発生率が高い区ベスト10」の9位である。
城西エリアで犯罪発生率が一番低い杉並区の傾向としては、暴行、傷害、脅迫、恐喝といった粗暴犯の発生率が低いことが挙げられる。そのため防犯対策がされている区域であれば女性や高齢者、子どもなどが安全に活動しやすい環境が整っているといえるだろう。
城南エリア(品川、目黒、大田)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
品川区 | 0.488% |
目黒区 | 0.467% |
大田区 | 0.494% |
城南エリアを構成するすべての区が「犯罪発生率の低い区ベスト10」に入っている(目黒区は5位、品川区は7位、大田区は8位)。このことから同エリアは、安心して生活できる治安が良いエリアといえるだろう。
例えば目黒区では、防犯対策として区民が日課の犬の散歩をしながら散歩コースを見回るボランティア活動や庁用車を使用する職員が区内を巡回パトロールするなど独自の取り組みが行われている。
城北エリア(豊島、北、荒川、板橋、足立)の傾向
区 | 犯罪発生率 |
---|---|
豊島区 | 1.012% |
北区 | 0.546% |
荒川区 | 0.528% |
板橋区 | 0.468% |
足立区 | 0.529% |
城北エリアは、豊島区と北区が「犯罪発生率が高い区トップ10」に含まれているが、いずれも5位以下の位置にあるため、特に治安が悪いエリアとまではいえない。一方、「犯罪発生率が低い区トップ10」には板橋区(6位)のみが含まれており、治安が良いエリアとも言い難いだろう。
足立区は、かつて治安が悪い街のイメージもあったが、住民の要望に応えるために防犯カメラの設置に力を入れてきた。特に通学路や公園などへ積極的に防犯カメラを設置してきた結果、防犯カメラの設置台数ペースでは東京23区で1位となっている
参考:足立区公式サイト「区政情報〈2023年4月時点の情報〉」※この先は外部サイトに遷移します。より
街の治安の良さはなぜ重要か
治安の良い街では、以下のように日常生活を安心して過ごせるさまざまなメリットがある。
- 子どもを近所で遊ばせやすい
- 女性や高齢者が一人でも行動しやすい
- 夜でも不安なく帰宅しやすい など
また街の治安の良さは、教育環境の充実度にも関係すると考えられる。治安の良い街では、子どもたちが安心して学校や塾、習い事に通いやすくなり、そのことが学習の成果として現れる可能性もあるだろう。逆に治安の悪い街では、大人も子どもも不安感やストレスを感じやすく心穏やかに暮らしにくいため、街への愛着を持ちにくくなり地域コミュニティが弱まる可能性もある。
ただし治安の良い街でも犯罪がゼロというわけではない。犯罪発生率の低い街で物件を所有したり暮らしたりする場合でも高い防犯意識を持つことが重要だ。
東京23区の治安に関するQ&A
Q.東京23区で治安が一番良い区はどこですか?
東京23区で最も犯罪発生率が低いのは、文京区である。犯罪認知件数の総合計898件に対して人口23万9,624人で犯罪発生率は0.375%だ。
犯罪手口の内訳は、凶悪犯が8件、粗暴犯が95件、侵入窃盗が23件、非侵入窃盗が507件、詐欺などその他が265件である。
出典:警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(令和4年)」※この先は外部サイトに遷移します。より
Q.東京23区で治安が一番悪い区はどこですか?
東京23区で最も犯罪発生率が高いのは、千代田区である。犯罪認知数の総合計2,033件に対して人口6万6,687人で犯罪発生率は3.049%だ。
犯罪手口の内訳は、凶悪犯が12件、粗暴犯が228件、侵入窃盗が45件、非侵入窃盗が1,131件、詐欺などその他が617件となっている。
出典:警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(令和4年)」※この先は外部サイトに遷移します。より
manabu不動産投資に会員登録することで、下の3つの特典を受け取ることができます。 ①会員限定のオリジナル記事が読める ②気になる著者をフォローできる ③気になる記事をクリップしてまとめ読みできる |
- 【オススメ記事】
- 「FPの私ならここを見る」 プロが語る不動産投資とは?
- 不動産投資の種類はいくつある?代表的な投資方法を紹介
- 少額から始められる不動産投資4選
- 不動産投資は30代から始めるべき?メリットや注意点について解説
- 初めて不動産投資をする際に気をつけることとは?
- コラムに関する注意事項 -
本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。