アパート経営のオーナーのなかには、「自分の職業をどのように名乗ったらよいか迷う」といった方もいるのではないだろうか。業種は、日本標準産業分類によって細かく区分されているため、自分の仕事がどの業種や職業に分類されるのかは押さえておきたい。本記事では、アパート経営の業種区分や書類記載時における職業欄の書き方についてケース別に解説する。
不動産投資初心者が迷う、アパートオーナーの職業は何?
事業を営む際は、事業内容によって何らかの業界に属している。例えばラーメン店を経営していれば「飲食業」、コンビニを経営していれば「小売業」といった具合だ。ではアパート経営はどの業種区分に属するか把握しておく必要がある。
総務省が制定した「日本標準産業分類」※この先は外部サイトに遷移します。では下表のように大分類の業種が区分されている。
A | 農業、林業 | K | 不動産業、物品賃貸業 |
B | 漁業 | L | 学術研究、専門技術・サービス業 |
C | 鉱業、採石業、砂利採取業 | M | 宿泊業、飲食サービス業 |
D | 建設業 | N | 生活関連サービス業、娯楽業 |
E | 製造業 | O | 教育、学習支援業 |
F | 電気・ガス・熱供給・水道業 | P | 医療、福祉 |
G | 情報通信業 | Q | 複合サービス事業 |
H | 運輸業、郵便業 | R | サービス業(他に分類されないもの) |
I | 卸売業、 | S | 公務(他に分類されるものを除く) |
J | 金融業、保険業 | T | 分類不能の産業 |
アパート経営は、業種区分としては不動産業に区分される。物品賃貸業(リース、レンタル等)と同じ区分となるため、何かを「貸す」事業であると認識すればよいだろう。もちろんこれだけでは、大雑把なため、さらに細かく分類されている。アパート経営に限って分類ごとの呼称を確認しておこう。
アパート経営にはいろいろな表現がある
上表の業種は「大分類」だったが、さらに「中分類」「小分類」に分けられる。アパート経営は大分類が「不動産業」、中分類が「不動産賃貸業・管理業」に属するが、小分類は「不動産賃貸業」と「貸家業、貸間業」で判断に迷うかもしれない。
大分類 | |
K 不動産業、物品賃貸業 | |
中分類 | |
69 不動産賃貸業・管理業 | |
小分類 | |
691 不動産賃貸業 | 692 貸家業・貸間業 |
住宅以外 | 住宅(アパート等) |
総務省の日本標準産業分類によれば、貸家業の例としてアパート業も記載がある。貸家業の定義については、「主として住宅(店舗併用住宅を含む)を賃貸する事業所をいう。住宅とは、世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築された建物及び独立して家庭生活を営むことができるように区画され整備された建物の一部」と説明している。
区画され整備された建物がまさにアパートやマンションを意味するものと解釈できる。一方で貸間業の定義については、「専門又は共用の炊事用排水設備がなく独立して家庭生活を営むことができないような室を賃貸する事業所」と説明があり、下宿のような居住形態を指す。また中分類の不動産賃貸業・管理業は、「貸家業・貸間業を除く」となっているため、不動産賃貸業はオフィス、土地、物流施設など住宅以外を賃貸する場合が該当する。
そのため「日本標準産業分類」におけるアパートオーナーの正式な職業は「貸家業」となるだろう。しかしアパート経営は、アパートという不動産を賃貸するため、不動産賃貸業としても間違いとはいえない。そのため、アパート経営は不動産賃貸業・不動産貸付業・貸家業などさまざまな表現が可能といえるだろう。
参照:総務省「日本標準産業分類 中分類69-不動産賃貸業・管理業 総説」※この先は外部サイトに遷移します。
職業欄のケース別記入内容
確定申告やローンの申し込みなどの際は、書類に職業の記載が必要となる場面がある。これは、自分が行っているアパート経営が「副業か」「個人経営か」「法人経営か」などで選ぶ職業が違ってくるため、確認が必要である。ここでは、ケース別の職業欄の記載方法について解説する。
副業で行っている場合
会社員が副業でアパート経営を行っている場合は、会社勤務がメインであるため、「会社員」、医師が副業でアパート経営を行っているような場合は、「医師」と記載してもよいだろう。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、書類にそのまま「個人事業主」や「フリーランス」と書くのはNGである。なぜなら個人事業主やフリーランスという言葉は職業ではないからだ。例えば「飲食業」「イラストレーター」など具体的に職種を記載する必要がある。アパート経営であれば「貸家業」「不動産賃貸業」などと具体的に記入しよう。
特に確定申告書を作成する場合は、個人事業主やフリーランスと記載すると税務署から問い合わせが来る可能性があるため、注意が必要だ。
法人化している場合
法人化してアパート経営を行っている場合は、会社を経営しているため「会社役員」と書くのが一般的だろう。会社員であれば部長でも課長でも書類には「会社員」と書くため、経営者の場合も代表取締役社長とは書かずに、会社役員が無難だ。会社を一人で経営している場合も法人化していれば「会社役員」と名乗って問題ない。
ただし職業欄が選択式になっていて、「会社経営」という項目がある場合は、会社役員ではなく会社経営を選択すればよいだろう。
アパート貸付業は社会の役に立つ仕事、誇りを持って取り組もう
住まいは、生活の根幹をなす必需品であるため、アパート貸付業だけでなく不動産経営は社会の役に立つ仕事といえる。アパート経営者は、社会貢献の一環としてアパート貸付業に誇りを持って取り組むことが望まれる。
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