
基調講演では、立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘先生に「高葛藤父母と子どもへの接し方」という題目でご講演いただきました。ご講演の中では、子どもの気持ちや考えを理解するために考慮しなければならないことをメインに、アタッチメント(愛着)の形成やこれに対する障害となるものなどのお話をいただきました。
特別報告の部では、「全面的な国選付添人制度の実現に向けた取組」についてのご報告をいただきました。内容としては、「こども基本法を踏まえ、子どもの権利保障のために、子どもが国費・公費で弁護士による法的支援を受けられる制度構築を求める意見書」についてです。
また、「改正少年法下での実務の状況」についてのご報告をいただきました。少年法の改正に伴い、少年事件の運用は大きく変化しています。今回のご報告では、特定少年の原則逆送事件に関する少年法62条2項についてご報告を頂きました。
埼玉弁護士会は、分科会を担当し、「いじめ予防授業の効果測定と今後の授業の在り方」をテーマに、大学教授等も交え、いじめ予防授業の効果について、科学的に分析しデータをもとにその有用性を検討しました。
効果測定としては、授業前、授業直後、授業から3か月後の3回、測定を実施しました。
(1)2回目と3回目の効果測定では1回目に比べていじめかどうかは被害者の気持ち(被害者が傷ついているか)に基づいて判断するという子どもたちの回答が増えていること、
(2)中学生よりも小学生の方が援助行動(被害者を助ける行動)をとろうとする気持ちが強いこと、
(3)「何らかの行動をとる」という全般的な援助行動意欲と「誰かと注意する」「クラスの人と話し合う」という選択肢については1回目よりも2回目及び3回目の方が子どもたちの回答が多いこと等が発表されました。
これらのことから、弁護士がいじめ予防授業で特に伝えたいことが子どもたちに実際に伝わっていることやいじめ予防授業の効果が授業の3か月後も持続していることがわかり、いじめ予防授業に携わっている弁護士にとっては大変励みになる報告であったと感じました。
そのほか、5つの分科会が実施され、滞りなく、非常に有益な会を実施することができました。
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