ビザと提携企業がプログラム可能な資金繰りプラットフォームを開発。ブロックチェーン技術を活用して農家が安全に資金を調達し、収穫作物を販売できるように
米カリフォルニア州サンフランシスコ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- デジタル決済ビジネスの世界的リーダーであるビザ(NYSE:V)は、ブロックチェーンを基盤とする、「レアル・デジタル」(ブラジル中銀発行のデジタル通貨、略称「CBDC」)の革新的ユースケースの提案を競う最終候補9社に残りました。CBDCはブラジル政府が主催する「リフト・チャレンジ」の最新プロジェクトです。ビザは提案を練り上げるうえで、Agrotoken、Microsoft、Sinqiaと協力関係にあります。
各社の世界的研究者とエンジニアが数か月にわたり共同で提案策定に取り組んだ結果、ビザはリフト・チャレンジの成果として、農家を中心とする中小事業者(SME)向けのプログラム可能な資金繰りプラットフォームの発表にこぎ着けました。このプラットフォームは、世界資本市場へのアクセス促進、各種通貨間の相互運用性向上、運営プロセス改善、新たな成長機会の発掘といったメリットを中小事業者にもたらします。
中小事業者が世界経済を牽引
中小事業者は、契約交渉を有利に進めるうえで地元の市場構造の枠に留まることがよくあります。例えば、ファクタリングは、農家が将来の売上債権を割引価格で売却し、その収入を当座の資材の購入や賃金の支払いに充てる現在よく知られる資金繰り手段ですが、当該債権は資金の提供企業から大幅に割り引いた価格で買い取られるため、農家にとって不利な取引となるのが通例です。
ビザの試作プラットフォームは、地元農家などの中小事業者が、世界の広範な投資家層からよりタイムリーに資金を調達する手段となり、作物・商品を最適な価格で販売する可能性を広げます。中小事業者向けの安全かつスムーズな資金繰り手段が加わることで、既存の資金移動プロセスの改善と閉鎖的な旧式サービスの弱点の軽減が図れます。
ビザでCBDCのグローバルヘッドを務めるキャサリン・グーは次のように説明します。「中小事業者は地域経済の重要な担い手です。例えば、ブラジルで人口の半分以上の雇用先であり、GDPへの寄与度は3分の1近くに達しています。ビザでは中小事業者の成長支援に力を入れており、事業活動の維持・拡大を促進する新技術の開発に取り組んでいます」
「ブラジルは革新分野における世界先端市場の1つです。ビザは社内の専門知識、規模、ネットワーク、市場最先端技術で貢献することにより、デジタル通貨の実用化促進を支援することができます。今回のケースでは、大豆農家は認定版イーサリアム・ブロックチェーンでトークン化されたコントラクトを作成して世界的に入札することも、複数の貨幣形態を利用して相互に運用することも可能になります」(キャサリン・グー)。
CBDC建てのプログラム可能資金繰りを実現したビザの手法
世界中銀の多くが中銀デジタル通貨(CBDC)の利用価値を模索するなか、ビザと提携企業はCBDCを利用してプログラム的に国際的な資金決済を実行する新しい方法と中小事業者に国際投資リソースを提供する方法を実演しました。デジタル通貨にはプログラム可能という側面があり、特定の条件が満たされたときのみ資産と通貨の送信と支払いが自動的に決済できるという特徴があります。この特徴を利用すれば、資本利用を効率化し、カウンターパーティリスクを軽減する道が開けます。しかも信頼性の高い決済通貨としてCBDCという形態で中央銀行がセキュリティ、安定性、安全性に責任を負う構造も活用できます。
試作プラットフォームでは、従来の金融プロセスと資産がブロックチェーンに移行するため、農家は伝統的な資金調達契約のトークン化が可能になります。この可能性を実現するために、Agrotokenは現在ブラジルと中南米で展開しているソリューションで培った農業ベースのトークン化ノウハウを提供しました。また、ビザは既存のブラジル用法務文書をブロックチェーンで取引可能なNFT(非代替性トークン)向けにアレンジするトークン化プロセスを提供しました。
「Agrotokenは大豆取引やトウモロコシ取引の門戸を拡大することで、農業ビジネスを民主化するという使命を担っています。この使命を達成するために、当社はビザをはじめとする堅実なパートナーを選び、目標に向けて共に歩んでいます」とブラジルのAgrotokenディレクターAnderson Nacaxe氏は語ります。
ビザではトークン化と共に、スマートコントラクトを通じたオンチェーンの封印入札方式を導入し、ブロックチェーン上の世界中の投資家が資金調達プロセスに参加し、競争を通じて価格が決定される工夫をしています。さらに、試作プラットフォームで活用されるビザの「ユニバーサル・ペイメント・チャネル(UPC)」技術により、レアル・デジタル (CBDC)と他のCBCD、法定通貨、トークン化預金の相互接続を可能にして、将来、異なる市場やネットワーク間でのデジタル通貨の相互運用を実現するための盤石な体制を築いています。
今年の 「リフト・チャレンジ:レアル・デジタル」 では、デジタル版ブラジル・レアルのユースケースを評価するために、金融セクターの革新的技術研究プロジェクトが比較・検討の対象となりました。ビザは業界パートナーと協力して、試験的な取り組みを統率し、新興技術を利用して周知の現実的な問題を創造的な方法で解決する努力を継続的に行っています。今回の概念事象となる試作プラットフォームはその一環として策定されました。
ビザは安全、便利で信頼性の高い革新的な技術を通じて大規模に実行可能なCBDCの魅力的な商機を見出すために、世界各国の中銀や決済エコシステムに属する他企業と連携活動を行っています。この活動の目標である「革新的なデジタル決済ソリューションの開発」が実現すれば、デジタル経済に参加する個人、企業、政府の役に立ち、最終的に繁栄をもたらすことになります。
CBDCに関するビザの取り組みの詳細は、Digital Currency Innovation Hub(デジタル通貨革新ハブ)をご覧ください。さらに、ブラジル中央銀行と共同出版した、リフト・プラットフォームに関する詳細な最終報告書も こちらからご覧いただけます。
ビザ・インクについて
ビザ(NYSE: V)はデジタル決済の世界的リーダーであり、200以上の国・領域で、消費者、加盟店、金融機関、政府機関の間の決済トランザクションを円滑化しています。 革新性、利便性、信頼性、安全性に優れた決済ネットワークを通じて世界を結び、個人、企業、経済に繁栄をもたらすことを使命としています。ビザでは、世界各国で誰もが受け入れられる経済は、世界中の人々の生活を向上させると確信しています。そして、資金移動の未来へのアクセスがその基盤であると考えています。詳細情報は、 http://visa.com/をご覧ください
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