北京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 香港特別行政区(HKSAR)が国家の安全を保障する法制および法執行機構を確立・改善することについての決定草案が5月28日の全国人民代表大会(NPC)第13期第3回会議で採択されました。
香港特別行政区の林鄭月娥行政長官は、母国への復帰後23年近くが経ちながら基本法第23条に従って国家の安全を保障する法律を自ら定める法的責任を香港特別行政区がまだ果たしていないことに、落胆を表明しました。
法案の全国人民代表大会への提出は、昨年始まった長引く騒乱に香港が包まれた事態を経て行われました。中国外交部の趙立堅報道官は5月29日の記者会見で、「分離独立活動や国家の安全を脅かす活動を認めるような国は世界のどこにもありません」と繰り返しました。
第23条とは何か
香港基本法の第23条は、中央人民政府に対する反逆、分離独立、反乱扇動、転覆や国家機密の窃盗の行為を禁止すること、外国政治組織や団体が香港特別行政区で政治的活動を行うことを防止すること、そして香港特別行政区の政治的組織や団体が外国の政治組織や団体とのつながりを確立することを防止することを目的とした法律を香港特別行政区が自ら定めなければならないと規定しています。
要するに、基本法第23条は、香港で国家の安全を保障する憲法上および法律上の責任を規定しています。
人民日報の海外版が運営するソーシャルメディア・アカウントの侠客島は意見記事を掲載し、第23条の立法が2003年に停止して以来、香港特別行政区立法会(LegCo)が関係法律を制定する法的責任を果たすことが非常に困難になっていると述べました。
香港に紛争の種を蒔こうとしている人々や外部の敵対勢力は第23条の法制を悪者扱いし、その立法の妨害や阻止を試みていると侠客島は指摘しています。
香港の現在の状況を考慮すると、国家の安全を保障して安全保障のない状況を変えるために国家レベルでの努力が行われる必要があるとも、侠客島は語っています。
決定草案の内容
香港特別行政区(HKSAR)が国家の安全を保障する法制および法執行機構を確立・改善することについての決定草案は、前文と7つの条文で構成されています。
第1条は、国家が揺るぎなく完全に誠実に「一国二制度」、「香港人による香港統治」、高度な自治の原則を実行すると述べています。また、香港特別行政区が国家の安全を保障するため、また国家の安全を脅かす活動を法律に従って防止、停止、処罰するための法制および法執行機構の確立・改善に必要な措置を取ることも強調しています。
第2条は、香港特別行政区の問題に対する外国や外部の勢力のいかなる形での干渉に対しても国家が断固として反対し、そのような干渉に対して必要な対策を取ると述べています。
第3条は、国家の主権、統一、領土の完全性を保護することが香港特別行政区の憲法上の責任であると定めています。本条はまた、香港特別行政区が香港特別行政区基本法に定められている国家安全保障の立法を早期に完了することや、香港特別行政区の行政、立法、司法組織が関係する法律および規制に従って国家の安全を脅かす行為を効果的に防止、停止、処罰する必要があることを強調しています。
第4条は、香港特別行政区が国家の安全を保障するための機関と法執行機構を確立・改善しなければならないと定め、必要な場合には、法律に従って国家の安全を保障する関連義務を果たすために、中央人民政府の国家安全組織が香港特別行政区に機関を設立するとされています。
第5条は、香港特別行政区の行政長官が、国家の安全の保障、国家安全教育の実施、国家の安全を脅かす行為の禁止を行う香港特別行政区の義務の履行について定期的に中央人民政府に報告する必要があると定めています。
第6条は、全国人民代表大会常務委員会の関係立法の憲法上の意味を以下のように規定しています。
(1) 国家の安全を保障するために香港特別行政区の法制および法執行機構を確立・改善することに関する関係の法律を全国人民代表大会常務委員会に委託しています。全国人民代表大会常務委員会は、権限に基づいて立法の機能と能力を行使します。
(2) 全国人民代表大会常務委員会の関係する法的作業が国家の分断、国家の権力の転覆、テロ活動や国家の安全を深刻に脅かすその他の行動の組織化および実行を目的として香港特別行政区内で起こる行為のほか、香港特別行政区の事項に干渉する外国や外部の勢力の活動を効果的に防止、停止、処罰することであると定めています。
(3) 香港特別行政区で全国人民代表大会常務委員会の関係法律を導入する方法を定めています。つまり、全国人民代表大会常務委員会が香港特別行政区基本法の付属文書IIIに関係する法律を含める決定を行い、香港特別行政区はそれを公布・導入します。
第7条は、この決定が公布の日に発効すると定めています。
立法が必要である理由
香港特別行政区における国家安全保障の既存の抜け穴は、複数のリスクを高めています。
金曜日に全国人民代表大会常務委員会の王晨副委員長は、「一国二制度」の原則の最低線に深刻に挑戦し、法の支配を毀損し、国家の主権、安全、発展の利害を脅かしてきた諸活動を強調しました。
昨年6月以後に逃亡犯条例案の導入から発生した騒乱に伴う暴力は、その一例です。暴力だけでなく爆発物や火器さえ含むさまざまな事件によってテロのリスクが高まり、公共の安全が深刻に損なわれています。
侠客島は、その意見記事の中で、基本法の第23条がまだ立法化されていないことから、香港は社会の秩序を違法かつ暴力的に損なった「香港独立」勢力に軽い刑罰しか科すことができないと指摘しました。
もう一つの問題として、香港の問題と中国の内政に対する外部勢力の干渉(例えば米国によるあからさまな干渉)もあると侠客島は述べています。
2019年3月に、米国のマイク・ペンス副大統領は、香港の陳方安生元政務司司長と面会しました。その数日後、米国下院のナンシー・ペロシ議長が野党議員の梁国雄氏、莫乃光氏と面会しました。野党リーダーの米国訪問には、米国議会の委員会や弁護士組織との面会も含まれていました。
2019年5月には、ペロシ氏と米国のマイク・ポンペオ国務長官が、李柱銘氏、李卓人氏、羅冠聰氏を含む幾人もの反体制派と面会しました。
2019年6月には、米国議会のマルコ・ルビオ議員とジム・マクガバン議員が、いわゆる「香港人権・民主主義法」を再提出しました。
7月には、ペンス氏とポンペオ氏は反体制派メディア実力者の黎智英氏と面会し、香港による逃亡犯条例案の修正について話し合いました。
そして騒動の最中において、在香港米国総領事館で働くジュリー・イーデー氏が李柱銘氏、陳方安生氏といった反体制派と面会していた映像が撮影されました。イーデー氏は、香港の抗議活動リーダーの黄之鋒氏とも面会しました。
9月には、米国の議会・行政部門中国委員会が香港関係の聴聞を実施し、黄之鋒氏と仲間の抗議活動リーダーの何韻詩氏(香港住民ではなくカナダ市民)に証言を招待しました。
10月には、米国のテッド・クルーズ上院議員が香港で反体制派の陳方安生氏や黎智英氏と面会し、喪服を着て抗議活動家への支援を示しました。
10月15日には米国下院がいわゆる「2019年香港人権・民主主義法」を可決し、11月19日には上院でも可決されました。
立法プロセスの内容
全国人民代表大会の今年の年次会議で香港特別行政区(HKSAR)が国家の安全を保障する法制および法執行機構を確立・改善することについての決定草案が審議されたことは、第一歩が踏み出されたことを意味します。
決定草案が承認されたことで、全国人民代表大会常務委員会は、国家の安全の維持における香港の問題の解決、専門機関および法執行機関の建設の強化、香港での法律の有効な実行の確保を目的とした関係法律を策定していきます。
決定が採択された後に、全国人民代表大会常務委員会は関係当事者と協力して香港特別行政区のための関係法律を策定することで、国家の安全の維持、国家安全保障体制における特別行政区の顕著な問題の解決の積極的な推進、特務機関や法執行機構、法執行部隊の構築の強化を進め、香港での関係法律の有効な実行を目指します。
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