CHICAGO--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、株式会社三陽商会(コード番号8011、東証第一部、以下「三陽商会」といいます。)発行済株式総数の6%超を保有する長期保有株主です。RMBは本年5月に開催予定の三陽商会定時株主総会に先立ち、取締役会を大幅に刷新する株主提案を行いました。この度、RMBは以下の通り意見表明を行った上で、三陽商会の抜本的改革を確実に実行できる経営体制を確立するために委任状勧誘を開始します。
(1)「再生プラン」は危機感の欠如した荒唐無稽な計画です
現経営陣は、RMBの株主提案では「再生プランの実現を困難にする」と主張しています。しかし、そもそも現経営陣の「再生プラン」自体が抽象的かつ非現実的であり、抜本的な見直しが必要であるとRMBは考えます。
売上見通しについて:「再生プラン」では、平常時ベースで2021年2月期に売上565億円、2022年2月期に売上550億円を計画していますが、2020年2月期(実績)で推定580億円程度(12か月ベース)の売上であったことを考慮すると、あまりに甘い見通しと言わざるを得ません。全1050店舗中150店舗を閉鎖し、仕入・在庫の絞り込みと販促費等の削減を計画するのであれば、売上500億円割れもありうるというのが現実的な想定です。そして、より厳格にブランドの絞り込みを行うのであれば、さらに多くの店舗を削減する必要があり、売上は更に縮小するはずです。コスト削減はそのような前提で行う必要があります。
利益率見通しについて:「再生プラン」における利益率改善計画は具体性がなく、非現実的です。「再生プラン」では、平常時ベースで粗利率目標を50.5%としていますが、過去の粗利率実績値(2020年2月期実績で46.4%)を考慮すると、見通しが甘すぎると言わざるを得ません。2021年2月期上期は既に春夏物の商品を従来路線のまま仕込済のためプロパー販売比率の改善は容易ではなく、粗利率の大幅な改善が実現できるのは実質的に下期からになるはずです。「再生プラン」で通年粗利率50.5%を目標として掲げる現経営陣が現状を直視しているとは到底思えません。
不採算事業について:ラブレス事業は、これまで様々なテコ入れにも関わらず、年二桁のペースで売上が減少しています。CAST:事業は、そもそも新規事業として立ち上げたこと自体が誤りであったとRMBは考えます。これらの不採算事業については、現経営陣の「再生プラン」がいう「2021年2月期中に見極め判断」する余裕など全くなく、撤退または大幅な縮小を早急に開始する必要があります。
新型コロナウィルス対応について:現在の環境では、「再生プラン」にあるSIM1(2020年9月より平常売上を想定)はありえないシナリオであり、SIM2(2021年3月より平常売上を想定)ですら希望的観測に基づいた楽観的な見通しと言わざるを得ません。現実的には、更に厳しいシナリオ(SIM3)をも想定しなければ不測の事態に対応できません。
以上のことから、「再生プラン」は現実を無視した荒唐無稽な計画であると言わざるを得ず、現経営陣が株主・従業員・取引先などステークホルダーと誠実に向き合っているとは到底言えないとRMBは考えます。
(2)危機対応に必要なリーダーシップが根本的に欠如しています
アパレル業界の構造変化が起こるなか、2009年のバーバリ社とのライセンス契約の見直しと2014年の同契約打ち切りという事態に直面し、三陽商会は過去10年間に、「中期経営ビジョン2009」、「中期経営戦略”S・SHIFT”(2012)」、「Sanyo Innovation Plan 2017」等、様々な経営計画を策定しては構造改革に失敗してきました。これら過去の経営計画でも、ブランドの選択と集中、EC等販路の拡大、商品計画と在庫管理の徹底、プロパー販売比率の向上と粗利率の改善、といった方向性が示されましたが、ことごとく実現されませんでした。今般の「再生プラン」でも、目新しい方針は何一つ示されないばかりか、これまでの経営計画と同様、甘い現状認識に基づいた非現実的な数値目標を掲げるのみです。このような「再生プラン」では、三陽商会の構造改革は早晩破綻するとRMBは考えます。
三陽商会に根本的に欠如しているのは、この10年間で明らかになっている課題を着実に実行するための強いリーダーシップです。旧経営陣の一人である中山雅之氏が4期連続の赤字について経営責任を全く取らず代表取締役副社長として留任することでリーダーシップに混乱が生じ、現実的な再建計画の立案が妨げられているとRMBは考えます。
(3)経営体制の完全な刷新が必要です
上述の通り、「再生プラン」では現経営陣の根本的な危機感の欠如が露呈しています。そして、その原因は旧経営陣である中山氏が経営責任を取らずに代表取締役の地位に居続けることにあるとRMBは考えます。このような状況では経営者は強力なリーダーシップを発揮できず、三陽商会の事業再建は到底望めません。したがって、RMBが提案するように、様々な企業の再建実績を持つ小森哲郎氏を社長とし、過去と決別した完全に新しい経営体制のもとで、危機感をもって改革を断行すべきです。なお、経営側提案の大江伸治氏、加藤郁郎氏について個別面談を実施した結果、事業再建に貢献できる人材であるとRMBは判断し、両氏の取締役選任を支持します。小森氏、大江氏、加藤氏が一丸となって事業再建に取り組めば、改革が加速することはあっても混乱が生じる恐れは全くありません。
(4)RMBの再建計画
RMBが考える新経営体制における再建計画は以下のとおりです。
小森新社長のリーダーシップのもと、より現実的な状況分析を行い、現経営陣の「再生プラン」よりも更に踏み込んだ新・再生プランを策定したうえで、必要な構造改革をスピード感をもって実行する。
150店舗よりさらに踏み込んだ大幅な店舗削減を検討する。新型コロナウィルスの影響の長期化で想定よりも売上が減少する事態を想定し、全社レベルで更に踏み込んだコスト削減を行う。徹底した仕入・在庫管理を行い、プロパー販売比率の向上を確実なものとする。
ラブレス、CAST:等の不採算ブランドについては、完全撤退するか、店舗数を大幅に絞り込み固定費を削減した上でEC中心の事業とする。
エポカ、アマカ、ポールスチュアート、マッキントッシュ、ブラック・ブルーレベル等、認知度が高くプレミアム価格帯を狙えるブランドを強化するために経営資源を集中する。これらブランドにおいても、店舗数の大胆な削減を行う一方、旗艦店の強化とEC化に取り組む。
主要ライセンサーとの関係深化を行う。海外展開など中長期的な成長戦略を実行するため、ポールスチュアートを保有する三井物産、マッキントッシュを保有する八木通商との間で、従来の考え方にとらわれない大胆な業務提携、例えばブランド単位でのJV設立などを協議する。
コーポレートガバナンスを強化する。経営側提案の社外取締役候補者には利益相反が懸念される、あるいは旧経営陣と関わりの深い候補者が含まれており、適切なガバナンスが期待できない。真に独立した社外取締役が経営を監督する。
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