香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --
アジアのデリバティブ市場の取引高は増加が予想されていますが、アジア太平洋地域で活発に活動するデリバティブ市場参加者に対する新たな調査では、現地市場の一段の発展を促すために一括清算ネッティングの確実性の確立が重要な要因として指摘されました。この調査は、香港での第34回ISDA年次総会の開幕に合わせてISDAが発表しました。
この調査の回答者の4分の3近くが、日本を除くアジア市場で執行される為替デリバティブの割合が今後3~5年間に増加すると予想しており、63%がアジア地域で取引される金利デリバティブの割合の拡大を予想しています。
アジアにおけるデリバティブ取引の最大の中心地となることが予想されるのはシンガポールと香港で、これに東京、上海、シドニーが続いています。取引を行う場所の決定要因として市場参加者は、法律と規制の健全な枠組み、市場インフラの厚みと幅広さ、顧客およびカウンターパーティーへのアクセス、ネッティングの確実性を挙げました。
実際、一括清算ネッティングにおける確実性の確立は堅牢で流動性のある効率的なデリバティブ市場の一層の育成に欠くことのできないものと考えられており、回答者の47%は、これが極めて重要な意味を持つとしています。また、半数以上の回答者が、一括清算ネッティングの執行可能性がそれぞれのアジアにおけるデリバティブ取引およびリスク管理に最も重要な影響を及ぼすと答えました。
ISDAのスコット・オマリア最高責任者は、次のように述べています。「一括清算ネッティングは、カウンターパーティー間の信用リスクを削減するための唯一最大の重要な手段です。アジア地域の一部では着実な改善が見られますが、アジアの3大経済大国である中国、インド、インドネシアでは、一括清算ネッティングの扱いが依然としてあいまいです。これらの国の経済成長が続き、資金調達やヘッジに対する需要が拡大するに従い、強固で流動性のある堅牢なデリバティブ市場の確立がますます重要になります。」
ISDAは、世界各国の当局と連携して一括清算ネッティングの執行可能性に関する法律の起草を支援してきました。現在、ISDAのネッティング意見は70カ国以上で提供されています。ISDAは昨年10月、一括清算ネッティング法の制定を検討している国が利用できるテンプレートの提供を目的に作成されたモデル・ネッティング法の2018年版を公表しました。
ISDAのエリック・リトバック会長は、次のように述べています。「一括清算ネッティングが不可能な場合、各社は信用リスクをグロス・ベースで管理しなければならず、流動性と信用能力が大きく低下します。一括清算ネッティングの執行可能性に関わる確実性が確保されれば、世界的に取引を行っている企業による参加が増え、アジアのデリバティブ市場の流動性が高まり、繁栄のための条件が整うことになります。」
今回の調査結果の要点は以下の通りです:
回答者の74%が、日本を除くアジアのトレーディング・デスクを通じて取引される国際為替デリバティブ取引の割合が今後3~5年間増加し続けると予想しており、また63%が金利デリバティブ取引の割合が増加すると予想しています。
本調査参加者の74%が、アジアの銀行によるデリバティブ取引が今後3~5年間に増加すると予想している一方で、欧米の銀行によるアジアでのデリバティブ取引の拡大を見込む回答者は全体のわずか35%でした。
今後3~5年間、アジアにおけるデリバティブ取引にとって最も重要な市場はシンガポールで、これに続いて香港、東京の順となりました。
一括清算ネッティングの執行可能性に関する確実性、現地担保の有効性と執行可能性に関する法的確実性およびより多くのアジアの法域におけるISDAマスター契約の活用可能性の確立が、各社のアジアにおけるデリバティブ取引およびリスク管理に最も重要な影響を及ぼすと予想されています。
また、一括清算ネッティングの確実性は、アジアの堅牢で流動性のある効率的なデリバティブ市場の一段の発展に不可欠な要素と考えられています。続いて、法律および規制上の不確実性の解消、規則の国境を越えた調整が挙げられました。
一括清算ネッティングの重要性にもかかわらず、向こう3年間に一括清算ネッティングに関する法的確実性が中国で確立される可能性が高いと考える回答者は全体のわずか11%にとどまり、インドについては12%でした。インドネシアとベトナムで確実性が確立されると考える回答者は依然としてさらに低率で、どちらも3%でした。
第34回ISDA年次総会は、4月9~11日に香港で開催されます。今年の総会では、2020年以降のデリバティブ市場に焦点が当てられ、ベンチマークの改革、英国のEU離脱、当初証拠金要件への業界の対応のほか、市場の細分化問題へのG20諸国の取り組みについて検討します。
基調講演者には、米国商品先物取引委員会のコミッショナーを務めるロスティン・ベーナム氏、オーストラリア準備銀行のガイ・デベル副総裁、香港財政司司長(署理)のジェームズ・ラウ氏、香港証券取引所のチャールズ・リー最高責任者、オーストラリア証券投資委員会のジェームス・シップトン会長、香港金融管理局のエディ・ユー副総裁が含まれます。
年次総会の議事日程は、agm.isda.org/agenda/でご覧いただけます。
アジア太平洋地域デリバティブ調査については、こちらをご覧ください。
国際スワップデリバティブ協会(ISDA)について
1985年以来、ISDAは世界のデリバティブ市場の安全性と効率を高めるべく努力してきました。現在、ISDAは70カ国に900を超える会員組織を擁しています。これらの会員は、事業法人、投資運用会社、政府機関、国際機関、保険会社、エネルギー企業やコモディティー企業、国際銀行や地域銀行など、さまざまなデリバティブ市場の参加者で構成されています。市場参加者に加えて、会員には取引所、仲介機関、清算機関、リポジトリ、法律事務所、会計事務所、その他のサービス提供業者などのデリバティブ市場インフラの重要な要素である組織も含まれます。ISDAとその活動の詳細については、当協会のウェブサイト(www.isda.org)をご覧ください。ツイッター(@ISDA)で当協会をフォローしてください。
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