ガーナで実施された臨床研究は、テルモBCTのミラソルPRTシステムがマラリアの輸血感染発生率を有意に低減できることを証明
米コロラド州レイクウッド--(BUSINESS WIRE)---- (ビジネスワイヤ) -- 低所得国では、採取された血液の69パーセントが血液成分ではなく全血として輸血されます1。しかし医療専門家は、全血中の有害な病原体や献血者の白血球を不活化する証明済みの方法をこれまで持ち合わせていませんでした。そのため患者は、輸血中に病気に罹ったり合併症を経験したりするリスクにさらされることになります。テルモBCTは最近、血液の安全性を向上させるため、病原体低減技術、特に当社のミラソル(Mirasol®)病原体低減技術(PRT)システムが、全血中のマラリアの輸血感染発生率を有効に低下させ得ることを証明する唯一の臨床試験を初めて完了しました。
テルモBCTは、「アフリカにおけるミラソルシステムの試験」(African Investigation of ミラソル
System、AIMS)と名付けられたガーナでの臨床試験の成功を受け、全血処理用ミラソルPRTシステムでCEマークの申請を行いました。この新プロトコルの以前にも、4大陸18カ国の血液センターと病院がこのシステムを使って血小板と血漿の処理を行っています。
安全な血液の供給は多くの医療行為で必要とされています。低中所得国は世界人口の82パーセントを占める一方、それらの国々では世界中の献血量の約半分しか採取されていません2。またこれらの国々の血液センターは、血液中の有害な病原体を広範囲にわたって検査するための最新技術を持ち合わせていません。
テルモBCTはガーナのクマシにあるKomfo
Anokye教育病院でAIMS試験を実施しました。試験はミラソルPRTシステムの能力を試し、全血輸血でのマラリアによる輸血感染の低減を実証することが目的です。この地域では現在、マラリアの輸血感染が受血者の28パーセントで発生することが示されています3。血液の安全を確保する手段で輸血感染のリスクを完全に排除できるものはないものの、ミラソル処理済み全血の輸血を受けた被験者グループは、未処理全血の輸血を受けた被験者グループと比較して、マラリアの輸血感染発生率が統計的有意性と臨床的意義をもって低下していました4。
また試験で輸血された血液製品による有害事象の発生率は、処理グループと未処理グループで同等でした。
全血処理用ミラソルPRTシステムは、世界的に血液の安全性を向上させ、マラリアの蔓延と闘う上で、新たな機会を提示するものです。血液中の有害な病原体を検査する技術を持たない血液センターは、本技術を使用してその制約を乗り越え、これまで利用できなかった方法でマラリアの輸血感染発生率を低減することが可能になります。
全血処理用ミラソルPRTシステムは、メリーランド州フォートデトリックの米陸軍医学研究司令部の助成金と契約を通じ、米国防総省(DoD)の支援を受けて開発されました。テルモBCTは、処理済み全血由来の赤血球の臨床使用で米食品医薬品局(FDA)から承認を取得すべく、その申請を支えるための研究を実施中です。申請が承認された場合、ミラソルPRTシステムは野戦病院などの用途で使用され、厳しい条件下での軍人への輸血を支援することになります。
重要事実:
テルモBCTは全血処理用ミラソルPRTシステムでCEマークを申請済みで、処理済み全血由来の赤血球でもミラソルPRTを評価する臨床研究が米国で進行中です。
テルモBCTは最近、ミラソルPRTシステムがマラリアの輸血感染発生率を効果的に低減できることを示す唯一の臨床試験を初めて完了しました。
検査または病原体低減の方法で輸血感染のリスクを完全に取り除けるものは存在しませんが、AIMS試験は未処理グループと比較して処理グループでマラリアの輸血感染発生率が統計的有意性と臨床的意義をもって低減したことを示しました。
ミラソルPRTシステムはリボフラビン(ビタミンB2)と紫外線を併用して、収集血液製品中に存在する可能性があるウイルス・細菌・寄生生物・白血球を不活化します。
医療専門家は、欧州・中東・南米・中米・アジアの18カ国にわたる70以上のセンターで、ミラソルPRTシステムを使用し血小板と血漿の処理を行っています。
全血処理用ミラソルPRTシステムの開発プログラムは、米国防総省が資金の一部を提供しています。
AIMS試験の方法:
AIMS試験は前向きランダム化二重盲検比較対照単施設試験で、被験者はミラソル処理済み新鮮全血(MIR-WB)または標準治療法で用意された全血のいずれかの輸血を2回以下受けました。
AIMS試験では223人の被験者が試験と関連した輸血を受けました。111人の被験者がMIR-WBの輸血を受け、112人の被験者が標準治療法で用意された全血の輸血を受けました。
被験者は輸血後28日間のフォローアップを受けました。
関係者の主な発言:
デービッド・ペレス、テルモBCT社長兼最高経営責任者(CEO)
「テルモBCTは、『血液の潜在力を解き放つ』(Unlocking the potential of
blood)という当業界の公約の一環として、世界中で血液の安全性を高めることに真剣な努力を傾けています。当社は世界で血液の安全性を求めるニーズに触発され、血液センターが新しい安全策を利用できるようにするAIMS試験を完了しました。輸血の安全性を高めることは、特に妊婦、小児、外傷被害者などの高リスク患者集団にとって、疾患を減らすことを意味します。当社のミラソルシステムを通じた病原体低減技術は、血液の安全性向上に向けテルモBCTが行っている数件のイニシアチブの1つです。当社顧客と協働して患者転帰と臨床転帰を改善し、この医療分野を前進させるのは名誉なことです。」
レイ・グッドリッチ博士、テルモBCT最高科学責任者(CSO)
「AIMS試験の成功は、テルモBCT、ケンブリッジ大学、Komfo
Anokye教育病院、ガーナ共和国による協働のたまものです。血液センターはミラソルPRTシステムにより、血液供給へのアクセスや血液製品の試験で困難があったとしても、輸血の安全性を高めることができます。本試験は全血で有意な病原体低減を実証した初のもので、血液の安全性において重要な節目となる成果です。」
Dr. Shirley Owusu-Ofori、Komfo
Anokye教育病院輸血医療ユニット長
「この臨床試験は、ガーナと他の開発途上国における血液の安全性を大幅に向上させる可能性を持つエビデンスとなるでしょう。テルモBCTのミラソルPRTシステムは有効であることが本試験で示され、全血の安全性を向上させる能力を備えています。このシステムが、マラリアなど、高率で発生する感染症や病原体の残存リスクを最小限にとどめられると期待しています。現在、それら感染症や病原体に対するスクリーニングで実用的なものは、サハラ以南アフリカの血液バンクで存在しません。」
テルモBCTについて:
血液成分・治療用アフェレシス・細胞技術の世界的リーダーであるテルモBCTは、アフェレシス採取技術、マニュアル式および自動式の全血処理、病原菌低減技術に加え、治療用アフェレシスおよび治療用細胞処理の一流技術を独自に併せ持つ唯一の企業です。当社は血液が今日果たしている役割以上のものを患者に提供できる潜在力を持っていると確信します。こうした信念が当社のイノベーション努力を促し、お客さまとの提携活動を強化しています。
1 Hume H, et al., Chapter 53: “Blood Transfusion in
Economically Restricted and Developing Countries,” Transfusion
Medicine and Hemostasis: Clinical and Laboratory Aspects, 2013,
second edition, Elsevier Inc., Amsterdam, Netherlands.
2 World Health Organization, “Blood Safety and Availability,” http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs279/en/,
accessed on 11 September 2015.
3 Freimanis G, et al., “Investigating the Prevalence of
Transfusion Transmission of Plasmodium within a Hyperendemic Blood
Donation System,” Transfusion 2013;53 (7): 1429–1441.
4 Allain JP, et al., manuscript in preparation.
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