新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、企業の多くは従業員の健康により敏感になっています。しかし、ジム利用や集団セミナーなど健康増進に向けた施策の一部は実施が難しくなり、労働環境の急変で新たな健康問題も懸念されています。
そこで、この記事ではテレワーク下で健康管理に取組む方法を紹介していきます。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の健康維持・健康増進に向けた取組みが企業投資であるという考え方のもと、従業員の健康を経営的視点でとらえ、その管理に戦略的に取組むことです。
従業員が健康的に働くことのできる環境をつくることで、企業においては人材確保や企業価値の向上が期待できます。
健康経営について詳しくはこちら:健康経営とは?メリットや導入ステップをわかりやすく解説!
健康経営を取り巻く環境はビフォーコロナからどう変化したのか?
【会社側】対面での健康施策が困難に
集団感染(クラスター)の発生を避けなければならず、大勢が一箇所に集まって行うイベントを開催しづらい状況です。
健康診断や産業医・カウンセラーとの面談の延期や中止で従来通り社員の健康状態を把握できない、対面でのセミナー、研修会、ジム利用の制限で健康施策を実行できない、などの課題が生まれています。
【社員側】「ワークライフバランス」を重要視する傾向が高まる
2020年6月に内閣府が行った調査※では、
「今回の感染症拡大前に比べて、家族の重要性に関する意識をどのように変化しましたか。」という質問に約半数の人が「より意識するようになった」と回答、
「仕事と生活のどちらを重視したいか」という質問には、こちらも約半数の人が「生活を重視するように変化」と回答しています。
外出自粛や在宅勤務など、家庭を含む日常生活を顧みる機会が増えた働く人の間では「ワークライフバランス」に対する意識が高まっていることが伺えます。
こうした働き手の意識の変化を受け、企業には健康経営など働き方改革の推進がより求められています。
テレワーク増加で懸念される健康問題と対策
在宅勤務やテレワークで働きやすさを感じる働き手がいる一方、社員が会社に気づかれないうちに心身の健康を崩してしまう可能性もあります。
社員のセルフケアに頼るだけでなく企業はどのように社員の健康管理をサポートできるのでしょうか。
この記事ではテレワーク増加が生む健康課題を大きく3つに分けて紹介します。
①運動不足
テレワークや外出自粛で自宅で過ごす時間が増えたり、通勤やオフィス作業などの「当たり前な運動」が減っています。
体を動かさないと、
・気持ちが鬱々とする
・腰痛・肩こりが悪化する
・睡眠の質の低下する
など、体力や業務効率の低下の原因になります。
【対策】ストレッチ・運動時間の確保
・一定の運動時間・運動量を設け、歩数計やアプリを活用して管理する
・ストレッチやマインドフルネスイベントをオンライン開催する
・運動方法を提案する(通勤時間分をウォーキングに活用する・デスクワーク疲れに有効なストレッチ動画を共有するなど)
ビジネスライフでは運動不足解消に役立つストレッチ動画をご紹介しています。
【動画】ストレッチで仕事効率アップ!デスクワークの疲れを取ろう
【テレワークの運動不足解消動画】在宅のストレスに負けない!メンタルケア&太らない食事習慣も
②メンタルヘルスの悪化
目に見えないウイルス対する不安や慣れない労働形態は社員とって大きなストレスになります。
特に在宅勤務で仲間との距離が離れた状態が続くと、業務連絡以外の会社仲間とのコミュニケーション(オフィスでの会話や飲み会など)や運動機会が減ることで抱えているストレスを発散しづらい状態になります。
【対策】コミュニケーション環境の整備
・新たに導入したシステム(ミーティングツールの使い方など)を気軽に相談できる体制づくり
・オンライン面談(1on1ミーティングやカウンセリング)の実施
・自由な会話ができるチャットルームの設置
・リモートランチ会などの定期開催
③生活習慣の悪化
自宅での作業では、
・緊張感を持てずに間食が多くなる
・集中力を保つためにカフェイン摂取や喫煙が増える
・仕事終わりの飲酒が多くなる
・自立神経の乱れ
などの生活習慣の乱れも懸念されます。
メンタル悪化が依存症や生活習慣病のリスクを高めるため、管理者の目が行き届かないなかでも注意が必要です。
【対策】労働環境の整備・業務管理の徹底
・社員のニーズを拾うための定期的なヒアリングの実施
・サテライトオフィス利用の支援
・業務内容や進捗の報告を義務付ける
・健康相談窓口の設置
ウィズコロナ・アフターコロナ時代の健康経営に必要なこと
感染症対策は“継続的に”実施していく
多くの企業はリモートワークと並行しオフィス勤務を再開しているでしょう。職場では、喚起、ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用、消毒などの対策を“継続的に”実施していかなくてはいけません。
特に秋冬はインフルエンザなど他の感染症も流行しやすい時期です。産業医などの専門家と連携し、発熱などの体調不良を訴えた際の対応や感染が疑われる場合のガイドラインを決定・共有する必要があります。
社員の健康リテラシー向上を支援する
・管理栄養士などによる食事指導
・運動習慣をつけるオンラインセミナー
・新型コロナウイルスに関する情報発信
など、社員個人の健康への意識を高める取組みも重要です。
会社がどんなに健康投資をしても、社員の健康維持は最終的には社員自身に委ねられます。そのため、ラインケアを行いつつセルフケアを促していくことが組織活動の維持や感染防止に大きな役割を持ちます。
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出典
※内閣府 政策統括官(経済社会システム担当) (令和2年6月21日)『新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査』: https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
(2020年9月18日アクセス)