「今の仕事は好きだけど、もっと成長できる場所があるのではないか」
「職場に大きな不満はないけれど、もっと充実感のある仕事がしたい」
そんな思いから転職を考えつつも、現状を変えるのはなんとなく不安。
「元の職場にいればよかった」「転職前の会社に出戻りたい」と後悔するのが怖くて、なかなか転職に一歩踏み出せない……。そんな人は多いのではないでしょうか。
仕事選びは自分の将来を左右する一大事。後悔しないためには、直感や思い込みをなくした合理的な判断が不可欠です。
発売1週間で5万部突破の話題書『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』の著者である鈴木祐氏は、転職にまつわる後悔を最大限に減らすテクニックとして「プレモータム」(事前の検死)という方法を勧めています。
①あえて自分の仕事探しが失敗した「最悪の未来」を頭に浮かべる
②失敗の原因とプロセスを具体的にイメージする
③失敗の解決策を考える
「最悪の未来」を想像すると、暗い気持ちになってしまう人もいるかもしれません。
しかし、転職後に「失敗した!」と落ち込む「最悪の事態」を避けるには、転職前の合理的な検討が必須です。
転職成功!と思いきや……。見逃しがちな失敗4パターン
では、仕事探しに失敗する「最悪の未来」にはどのようなものがあるでしょうか。
よくある失敗例は「求人内容と労働条件が違う」「職場の人間関係が悪い」「劣悪な労働環境」など。
その一方、「転職先と自分のミスマッチ」による失敗は見逃されがちです。
最初は「評判のいい職場に転職できた!」と思っていても、数ヶ月後に新しい不満に気がつくかもしれません。
鈴木氏は、職業選択の際に陥りがちな「視野狭窄」が後悔の原因になると見ています。
私たちが適職選びを誤ってしまう大きな原因は『視野狭窄』にあります。
特定の選択肢にのみ意識が向かい、それ以外の未来の可能性に頭が行かなくなってしまった状態です。
『科学的な適職』p98
焦って職探しをしている時期に「視野狭窄」に気がつくのは至難の技。
これからご紹介する4つの「失敗」を頭に入れておくと、合理的に視野を広げることができます。
①「好きを仕事に!」で後悔
「好きを仕事に!」「情熱を持てる仕事を探せ!」
そんなキャリアアドバイスに背中を押されて選んだ憧れの仕事。
しかし、鈴木氏はこれらを「多くの実験で否定されたアドバイス」だと言います。
もし好きな仕事に就けて最初のうちは喜びを感じられたとしても、現実はそこまで甘くありません。(…)
すると、好きなことを仕事にしていた人ほど、
「本当はこの仕事が好きではないのかもしれない……」や
「本当はこの仕事に向いていないのかもしれない……」
との疑念にとりつかれ、モチベーションが大きく上下するようになります。
『科学的な適職』p46
②「給料の多さ」で選んで後悔
とりあえず給料が高い求人から優先的に探し、前職より高収入な職に就けて一安心。
しかし、「忙しすぎてプライベートを失ってしまった」ということもあるかもしれません。
フロリダ大学などが行ったメタ分析では、次のようなデータが出ています。
・給料が高くなれば仕事の満足度はほんの少しだけ上がるかもしれないものの、現実的にはまず意味がない
・給料が多いか少ないかは、仕事の満足度とほぼ関係がない
また、別の調査では「給料アップによる幸福度の上昇は平均して1年しか続かない」という結果も出ています。
(参照:『科学的な適職』p51〜p61)
③「伸びる業界」に入って後悔
「これから伸びるのはこの分野」「いまこの業界に波が来ている」と判断して転職した、将来有望な職種。
しかし、10年後にはその未来予測が裏切られている可能性が高いのです。
ペンシルバニア大学の研究では、
「専門家による未来予測でも予想の精度はコイン投げの確率と変わらない」
という結果が出ました。(参照:『科学的な適職』p61〜p63)
鈴木氏は「10年後の仕事はこうなる!」「未来の働き方はこう変わる!」などの業界予測について次のように述べています。
実際の世界は、専門家も予想できないペースで目まぐるしく移り変わり、その状況に応じてあなたの好みと価値観も変わり続けます。
いま特定の業種・職種を選んだとしても、数年後に後悔している可能性は十分にあるでしょう。
『科学的な適職』p67
④「強み・適性」で選んで後悔
前職のスキルや自分の「強み」をアピールし、「スキルアップできそう」と判断した職場に転職。
しかし転職前の予想に反してうまく成果を発揮できず、自信を失ってしまうかもしれません。
「仕事のパフォーマンスは事前に見抜くことができるのか?」を調べた2016年の研究では、
「インターンシップや前職の経験では職場で力を発揮できるかどうかを予測できない」
という結果が出ています。(参照:『科学的な適職』p86〜p90)
また、「強み」をもとに仕事を選ぶことについて、鈴木氏は次のように述べます。
いったん特定の仕事が決まった場合は、「ストレングスファインダー」が役に立つ可能性も十分にあります。
ただ、ここで問題にしている「”適職探し”に役立つかどうか?」というポイントにおいては、『強み』だけを頼りとするのは得策ではないようです。
『科学的な適職』p93
コツは「視野狭窄」からの脱出
「好きを仕事に」「給料の多さ」「伸びる業界」「強み・適性」……。
これらの聞き慣れたフレーズを基準に「転職成功」を目指しても、後悔する可能性は低くなりません。
その原因は選ぶ対象となる仕事の幅が狭まっているところにあります。
では、後悔しない転職先を見つけるには何をすればいいのか。
大切なのは「視野狭窄状態」を脱し、多角的・徹底的な下調べをすることです。
転職して後悔しない仕事=適職を、鈴木氏は次のように定義します。
ここで言う「適職」の定義とは、「あなたの幸福が最大化される仕事」を意味します。
すなわち、毎日のタスクを通して生活の満足感が上がり、喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどのネガティブな感情を減らしてくれるような仕事のことです。
『科学的な適職』p31
「あの職種に就けば、もっと充実した仕事ができるに違いない!」
そう思ったら、一度胸に手を当てて考えてみてください。
あなたが転職したい職種は、本当に「後悔しない適職」でしょうか?
『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』(鈴木祐 著)
本書では、後悔しない適職探しの新基準をご紹介。
「このまま今の職場にいていいのか?」「今の職場にとどまり問題解決すべきか?」と悩んだときに効くテクニックも多数掲載されています。
転職を迷っている人、転職先を決めかねている人にオススメの一冊です。
職選びの常識を科学的根拠が覆す!
就職・転職・キャリア設計で悩んでいる方へ。
・後悔の少ない意思決定をするにはどうしたら良いのか
・私たちに本当の喜びをもたらす働き方とは何か
・「人生の選択」という正解のない悩みにどうやって答えを出せばいいのか
本書では、これらのベーシックな問いに取り組み、「自分が幸せになれる仕事=適職」を正しく選ぶ確率を上げていきます。
将来やキャリアを不安に思いつつ、なかなか一歩を踏み出せない方へ、「科学」という精度の高い判断軸を提示。曖昧な精神論には頼らない、合理的な職探しを後押しします。
→『科学的な適職』試し読み増量版&特設ページ
【目次(一部抜粋)】
STEP1 幻想から覚める Access the truth ~職業選択にありがちな7つの大罪~
〈大罪1〉好きを仕事にする
〈大罪2〉給料の多さで選ぶ
〈大罪3〉業界や職種で選ぶ
〈大罪4〉仕事の楽さで選ぶ
〈大罪5〉性格テストで選ぶ
〈大罪6〉直感で選ぶ
〈大罪7〉適性に合った仕事を求める
STEP2 未来を広げる Widen your future ~仕事の幸福度を決める7つの徳目~
〈徳目1〉自由
〈徳目2〉達成
〈徳目3〉焦点
〈徳目4〉明確
〈徳目5〉多様
〈徳目6〉仲間
〈徳目7〉貢献
STEP3 悪を取り除く Avoid evil ~最悪の職場に共通する8つの悪~
〈1位〉ワークライフバランスの崩壊
〈2位〉雇用が不安定
〈3位〉長時間労働
〈4位〉シフトワーク
〈5位〉仕事のコントロール権がない
〈6位〉ソーシャルサポートがない
〈7位〉組織内に不公平が多い
〈8位〉長時間通勤
STEP4 歪みに気づく Keep human bias out ~バイアスを取り除くための4大技法~
〔技法1〕10/10/10テスト
〔技法2〕プレモータム
〔技法3〕イリイスト転職ノート
〔技法4〕友人に頼る
STEP5 やりがいを再構築する Engage in your work ~仕事の満足度を高める7つの計画~
仕事の満足度を判断する方法
仕事を最高に変える行動計画
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