ウェザーマップ所属の気象予報士が、生活に役立つ気象情報をお届けします。今回は、「食育」に詳しい山田真実氏が、「家庭で簡単にできる、旬の野菜の取り入れ方・生かし方」について解説します。
「旬」を取り入れると食生活が変わる!
日曜の夜、あるテレビ番組を見ながら “ポツン”と、自然に囲まれた所で、自分が育てたお野菜を食する生活に、憧れたことはないですか?
ただ現実は、山奥へ移住したり、畑仕事をしたりするのは、ハードルが高すぎます。
それどころか、忙しさにかまけて日々の食事は偏ったものになりがちです。
そんなときは、少しだけ“旬”を取り入れることをおすすめします。旬を意識しただけで、すごく健全な食生活になるのです。
食材を生かすのには、まず「旬」を知ること
日本は南北に長く、季節が明確です。
食文化もまた、季節に寄り添うように育まれてきました。
自然を尊ぶ「食」の「習わし」は「和食:日本人の伝統的な食文化」と題されて、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
和食の繊細な味は、食材そのものを生かした味が多いといわれています。
食材を生かすのには、まずは、「旬」を知ることが大切です。
旬という言葉は食べ物が一番美味しい時期を指すだけではなく、季節ごとの食べ物と私達の体のリズムが繋がっていることをあらわしています。
【旬の野菜の生かし方1】季節で変わる効能を意識する
今年の夏も、体温並みに気温が上昇していましたが、夏野菜のトマトやキュウリは体を冷やしてくれる上に新陳代謝を促進してくれます。
秋の野菜や果物には、夏バテ回復や紫外線によるお肌のダメージを和らげる効果があります。
冬の野菜には体を温める特徴があります。
春の野菜は、寒さに耐えて育つので、栄養価も高く、苦みや香りが強いものが多いですが、体の中の老廃物を排出し体質改善を促してくれるものが多くあります。
最近では、旬に関係なくスーパーなどに野菜や果物が売られている状態ですが、お買い物をするときに、ちょっと旬のものを意識してお買い物してみてはどうでしょうか。
【旬の野菜の生かし方2】保存方法を工夫する
ところが、旬のお野菜を買っても、すぐに使いきれない場合があります。
そんなときは、工夫して保存し、長持ちさせましょう。
保存方法は、どんな風に野菜が育っているかによって違います。
冬の野菜は、土の中で、夏の野菜は、土の上で育ちます。
土の中で育っているものは、冷暗所で保存し、畑に立っているものは保存の時も立たせた方が良いです。
野菜がよろこぶスタイルを知っておくと、長持ちしますよ。
また、写真のように、野菜をオイルに漬け込むと、酸化によって風味が落ちるのを防ぐので、オススメですし、ササっと一品作るのに役立ちます。
【旬の野菜の生かし方3】ベランダで家庭菜園・干し野菜に挑戦
ベランダがある場合は、ミニトマトやピーマンを作ってみてはどうでしょう。
簡単に栽培できますし、大葉は一回植えると、毎年芽をだして季節を教えてくれます。
葉物野菜も意外に簡単です。
ベビーリーフは、1か月ほどで栽培できるので、ベランダ菜園の初心者さんも楽しくできると思います。
防虫ネットは必須ですが、今は100円ショップで簡易ネットも作れます。
野菜がたくさん作れたときは、晴れの日をねらって干してしまいましょう。
特に冬は、干し野菜を作るのがおすすめです。
栄養価がギュっと凝縮されますしビックリするくらいに、旨味が増します。
【旬の野菜の生かし方4】糠床で発酵食品にする
ただ、冬に干し野菜を作ろうと思っても、日本海側は、適さない日も多くあります。しかし、湿気の多い地域には、湿気を生かして作る郷土料理があります。
大根寿司やカブラ寿司は、聞いたことがあるでしょうか。じっくり時間をかけて麹につけこみ発酵食品を作ります。
わたしも含め、初心者には、麹につけこむ作業は重労働です。そこで、オススメな発酵食品といえば、ぬか漬けです。今は比較的簡単にぬか床をセットで買うことができるので手軽に用意ができます。
好きな野菜を漬けて、毎日できるだけ手入れして食べると、よりおいしく感じますよ。
仕事で疲れたときや汗をかいたとき、しょっぱいものを食べたくなるのは、体が塩分とミネラルを欲しているサインともいわれています。
疲れてジャンクフードに手がのびてしまいそうなとき、自作のぬか漬けを食するのもなかなか粋ですよね。
【旬の野菜の生かし方5】梅干しやハーブ作りを楽しむ
塩気といえば、熱中症予防で大活躍の梅干しがあります。
自家製の梅干しは、ひと手間もふた手間もかかっている分、本当においしいですよね。
梅干しを作るには、天気が重要です。カラッと晴れてくれないとカビが生えたり、味が変わったりします。
ただ、都合よく、晴れの日と自分の都合が合わなかったりします。
もっと簡単に作れる“旬”ものはないかなと思う場合、気分転換にもなるハーブを植えてみてはどうでしょう?
ハーブは季節ごとに旬のハーブがありますので、虫よけに使ったり、フレッシュなハーブティにして飲んだり、サラダやアイスに添えて食して楽しむこともできます。
天気や季節によって、体調や食べたいものが変わります。そんな時は、ちょっと旬の食材をとりいれてみるのがおすすめです。
Photo:Hikizu Yoko