“センスのいい人”って憧れますよね〜。デザイナーさんやスタイリストさんみたいな職業ってカッコいいし、私たちの仕事や生活のなかでも、服装やインテリア、お店選び、企画やアイデア出しとか、いろんなところで「センス」って問われますよね。
だから本当は「センスいい人」って言われたい。でもセンスって感覚的なものだし、「生まれつきのもの」「限られた人だけが持つ才能」って感じだし……なんて諦めてる方も多いのでは?
今回ご紹介する『センスは知識からはじまる』(著:水野学)は、そんな「センス=生まれつき」論をひっくり返し、誰でも「センスいい人」になれる方法を具体的に教えてくれるんです!
著者は「くまモン」などを手がけた、有名なデザイナー・クリエイティブディレクターの水野学さん。2014年の刊行以来ずっと売れつづけているロングセラーだそうです。
チームラボプラネッツ TOKYOでアートに没入!
そして今回、「センスいい人」になるため、メディアやSNSで超話題の”チームラボプラネッツ TOKYO“に行ってきました!
「Body Immersive」というコンセプトの超巨大な4つの作品空間を中心とした、計7つの作品空間による「水に入るミュージアム」です。水の中を裸足で歩いたり……超巨大な作品空間に、身体ごと没入して、センスを磨いてきましたよ〜! 書評と合わせてその模様もお届けします!!
バックナンバー
◆第1回「4倍以上の仕事をこなし、2倍以上の自由時間を確保する方法」
◆第2回「スマホの待受を変えるだけで体調がよくなる?」
◆第3回「グラドルの次は起業家or宇宙飛行士? 人生100年時代の可能性は∞」
◆第4回「飲み会でポテトサラダと唐揚げを頼むべき理由」
◆第5回「たった1つの「習慣」で仕事も生活もすべて変わる!」
センスは知識の蓄積から生まれる
実は私、大学は芸術学部出身なんですが、「センスがある人」って確かにいましたね。課題とかでも、他とは一線を画すような良いものを出してきたり……そういう人って、独特の視点を持ってるんだなとか、“天からのひらめき”があるのかなとか思っちゃいますよね。
でもこの本は、「センスは知識の蓄積から生まれるもので、誰にでも手に入るものだ」って言うんですよ!
チームラボプラネッツ TOKYOエントランス。新豊洲駅より徒歩1分です!
思い返してみれば……私もともと不器用なタイプで、「センスある!」って言われるようなことはほとんどなかったんです。でも大人になるにつれて、だんだんと言われるようになってきて。それっていろんな経験を積んで、知識を吸収してきたから「センスある」って思われたってことですよね。
ということは、本当にセンスっていうものは特別な才能じゃなくて「つくる」ことができるし、これからもどんどん磨いていけるんだなって思えて、すっごく嬉しかったです。
壊滅的だったファッションセンス
どんなことでセンスが磨かれたかというと……たとえばファッション。こないだマネージャーさんに、「出会った当時と今とで服装が全然違う。すごいスピードで洗練されてきてる」って言われたんですよ!
作品と作品をつなぐ通路は薄暗く、「次に何が出てくるのかな?」とドキドキ!
※特別に許可を得て撮影しています
いや、まあ、当時の服装が本当にやばかった。笑
自分でもびっくりしたのが、大学時代、放送学科の人に頼まれて映像作品に出たことがあって、それを見返したら、真っ赤なトレーナーにジーパン履いて、さらに真っ赤なカチューシャしてて!
赤に赤持ってくるあたりやばいですよね。カズレーザーさんぐらいしか思いつかないですもん。笑 サイズ感もまた絶妙で。ほんと歩いてるだけで恥ずかしい格好してるんですけど、今は「これはダサい」ということに気づけるようになりました。笑
館内では常に裸足なので、足裏の感触からも空間を楽しめます!
※特別に許可を得て撮影しています
やっぱりグラビアのお仕事をするようになってから、プロのスタイリストさんが近くにいるので、「柄モノに柄モノをあわせるのはなし」とか、「同じようなトーンで揃えるといい感じ」「逆に真逆の色を合わせると映えるよ」「色は3色まで」とか、そういう情報が自然と入ってくるんですね。それでファッションセンスがマシになってきたんだと思うんです。
センス=知識にもとづいて最適なものを選ぶこと
私の専攻は音楽でサックスを勉強してたんですが、音楽でもそういうことってあるんですよ。
たとえば「和音」っていって、同時に鳴らすとキレイにハモる音の組み合わせがあって、「ドミソ」ならドは第1音、ミは第3音、ソは第5音って呼ぶんですけど、「3のとこはちょっとちっちゃめに吹くと良い」みたいなバランスがあるんです。
The Infinite Crystal Universe/チームラボ
それって知ってる人からするとただの「知識」で、ちゃんと理解して実践すればいいことなんですけど、知らないと「あの人の演奏はなんかキレイだな」って、ただ「センスがいいんだ」みたいに思われちゃう部分なのかなって。
The Infinite Crystal Universe/チームラボ
まるで光の迷路。光の立体物の集合体によって表現された宇宙空間が、全方位に無限に広がるインタラクティブな作品。入った瞬間「キレ〜!」とため息が。
だからやっぱり、センスって知識から生まれるんですよね。知識さえあれば、その中から「この曲ならこうする」「こういうシチュエーションならこれが合う」とか、その時々で最適な答えを選ぶことができる。この本には「センスとは知識にもとづいて予測すること」って書かれているけど、本当にそのとおりだと思います。
The Infinite Crystal Universe/チームラボ
青や白、ピンクと、次々に光が変わります。星のような光が駆け抜けていったり、突然真っ暗になったり、宇宙にいるみたい。
なんか、夢がありますよね〜。何事も「あの人はセンスがいいから」って言われると「もう無理! 勝てない〜!」ってなっちゃうけど、「センスは知識なんだ!」って言われれば、「よし、いっぱい勉強して磨いていこう!」って思えるから!
→NEXT:最新DVDで”鈴木ふみ奈流”センスを発揮!
最新DVDで”鈴木ふみ奈流”センスを発揮!
この本では、一貫して「“センス”って言われると生まれつきの感覚みたいな気がするけど、そうではない。“センスがいい”とは、“知識にもとづいて最適なものを選べる”ことだ」と書かれてます。
本書では、著者の水野さんが「フランダースリネン」というブランドのロゴを依頼された場合を例に挙げて解説してくれています。それがどんなコンセプトで、どんな人にどんな印象を与えたいのか。生産地はどこで、どんな原料が使われているのか……と要素を分解して、「ベルギー産」ならその地方の情報を集めたり、ベルギー生まれの書体を使ったりして、すべて知識にもとづいて選んでいくんですね。
人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング- Infinity/チームラボ
驚いたのが、実は私、最新DVD『Golden Smile』のパッケージで同じようなことをやってたんです!
まずDVDのロゴって、大体いつもメーカーさん側が決めてくださるんですけど、今回ちょっと趣向を変えて、自分たちで考えてみようって話になって。
「どういうイメージだろうね」と話し合って、ロケ地がロサンゼルスだったので、最初は「西海岸!」みたいなサーフっぽい感じの筆記体の書体をイメージしてたんです。
でも今回2年半ぶりに出す特別な作品だし、「ロサンゼルス感」を出したところで別にファンの人はなんとも思わないかな……とも思ったんですよ。
人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング- Infinity/チームラボ
無限に広がる水面に鯉が泳いでいる作品。人々は水の中に入り歩きます。
そうなったときにもう一つ出てきたのが、「ゴールドディスク」。今年は活動10周年でもあるし、ちょっとおごそかというか、有名なアーティストさんに贈られるトロフィーのような、“特別感のある記念品”みたいなイメージを文字にできたらいいよね、と話して。
最終的に、ゴールドディスク感とアメリカっぽさ、両方を感じられるようなMONOTONという書体を選びました。
「なんとなくこれが良いな」って感覚的に決めたんじゃなくて、ちゃんとコンセプトがあって、知識にもとづいて何個も何個も案を出して、最終的に一番最適なものを選んだっていう……まさにセンス!
とか言って。笑
人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング- Infinity/チームラボ
鯉は、ぶつかると散ってしまいました。不思議! 水面がカラフルな光でいっぱいになったり…全然飽きないのでいつまでもいられそう。
書体以外にも、自分で作品全体のイメージを考えて、スタイリストさんやデザイナーさんにお願いしたんです。「10周年記念かつ、健康的で女子ウケもする感じ」にしたくて、憧れの雑誌である『スポーツ・イラストレイテッド』(連載第2回参照)のイメージとかを伝えて。
スタイリストさんも、そういうイメージのものを集めるのがうまい方にお願いして。「こういう系ならこの方が得意だな」とか、もちろんデビュー当時はわからなかったんですけど、活動してるうちにだんだんわかってきたんです。知らないと選べないですもんね。
そうやっていっぱいこだわりを詰め込んだのが今回の作品です。といっても、見てる方は別に「これはゴールドディスクを意識した書体だ!」なんて気づかないと思うけど、パッケージを見たときになんとなく「おっ、いい感じだな」って感じてもらえたとしたら、“センスがいい作品”にできたってことかなって。
→NEXT:これまで見聞きしてきたものが表現に現れる
これまで見聞きしてきたものが表現に現れる
冒頭にも書きましたけど、センスって、どんな人でも必要だと思うんですよね。そもそも、生きてる限りはセンスって絶対必要なものかなって。
だって、最終的に「喋る」ってことさえもうセンス!って気がして。言葉を知ってれば知ってるほど適切な言葉を使えて、「こういう言葉を使ったほうが、この人の心には響くだろう」って選び方ができますよね。
意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 –自由浮遊、平面化する3色と曖昧な9色/チームラボ
グラビアでいうセンスは……まずポージングかな。たとえば私、お尻の下のラインが“お尻の美学”だと思っているので、そこに指を置くことによって長くラインが出て綺麗に見える、とか、かなりこだわってます。
意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 – 自由浮遊、平面化する3色と曖昧な9色 /チームラボ
入ってびっくり!空間いっぱいに球体が浮遊していて先が見えません。
それからカメラの構造を知ることも重要で。「画面の端に行くと顔が伸びちゃう」とか、「暗いシーンで撮るときはシャッタースピードが遅くなるから、あんまり動かないほうがいい」とかいろいろあるんですよね。そういうのを知らないでたくさん動いちゃったら、せっかくいい表情をしてても、そのタイミングでシャッターを押せてなくて映りが悪くなっちゃったりする。それを理解してるかしてないかで結構差が出ます。
意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 –自由浮遊、平面化する3色と曖昧な9色/チームラボ
球体はすごく軽くて、誰かがちょっと触っただけでふわふわ飛んでいきます。
あと、カメラマンさんやディレクターさんたちがどういうのを撮りたいか、っていう方向性を察することもセンスですかね。たとえば、「この言葉を言ったってことは、こういう方向性でいきたいんだな、ってことはこういうポージングかな」「この衣装にはこういう表情が合いそう」とか……それもやっぱりゼロベースだと考えられない。これまで見聞きしてきたもの、知識の中から選んでるっていうことですよね。
意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 –自由浮遊、平面化する3色と曖昧な9色/チームラボ
球体の色は触ったところを起点に次々に移り変わります。空間全体がカラフルに変化!
以前、映画監督の入江悠監督が、「『どれだけ映画を見たか』が経験値として普通に演技に出る」って仰ってたんですよ。
グラビアもそれと一緒だと思うんです。どれだけいろんなグラビアを見てきたかによって、「あの写真の感じがいいかも」とか「あの人のポージング素敵だな」とか、そういう知識を自然と自分の引き出しに溜めていける。
グラビア以外にもいろいろ、たとえば美術館行って「あの彫刻のポージングいいな」とか……「ダビデいいなぁ」とか。笑
意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 –自由浮遊、平面化する3色と曖昧な9色/チームラボ
誰かが触れるたびに移動する球体の合間をぬって、なんとか外に出ました。笑
他のグラドルさんでも、オシャレな感じの写真になる子ってファッション誌が好きだったりするんですよね。倉持由香ちゃんなんかは“グラビアそのもの”が好きだから、グラビア感が強く出るし。天木じゅんちゃんは「用途」がわかってて、「これはセクシーに」「これは女の子も見るからファッション誌っぽく」とか、うまく使い分けるんですよ。これもセンスですよね〜。
センスを磨くためにはまず「普通」を知る
この本には、センスを磨くための知識の溜め方が書いてあるのもありがたかったです。
面白かったのが、まずは「普通」を知ることがなにより大事ってこと。
Floating in the Falling Universe of Flowers/チームラボ
なにか新しいことを考えようとするとき、ほとんどの人が「いいアイディアないかな」ってやみくもに探したり、流行ってるものや目立ってるものに飛びつきがちなイメージがあるけど、それより前にまず知識を溜めて、その分野における「基本」「王道」はどんなものか考えることが必要で。
Floating in the Falling Universe of Flowers/チームラボ
宇宙空間のようなドームの中、季節の花々が壁や天井に浮かび、流れていきます。
そこを軸にして、「普通よりちょっといいもの」「全然普通じゃないもの」みたいに、ありとあらゆるイメージをつくりだせるようになるんです。
そして「王道」を抑えたら今の「流行」を知って、知識が増えてきたら、それらに「共通項」がないか考える、ってプロセスを踏むと、たくさんの人に刺さるものになるそうです。
Floating in the Falling Universe of Flowers/チームラボ
床に横たわり、移り変わる風景を眺めていると、大自然と一体化したような荘厳な気持ちになりました。
これ、きっと何事にも当てはまりますよね。「ファッションの流行は20年周期で回る」なんてよく聞きますけど、そういうことなのかなって。
「たくさんの人に届けたい」「次のブームをつくりたい」とかって壮大な話みたいですけど、まずは基本を抑えてから始めれば、もっと単純に考えられることなのかもって思いました。
センスは才能ではなく、誰にでも「つくれる」もの!
「センスは感覚的なものでも、生まれつきの才能でもなくて、知識の蓄積から生まれるもの。だから、誰にでもつくれる!」——“センスのかたまり”みたいな有名デザイナーの水野さんが言ってくれるからこそ、説得力が違いますよね。
あっという間だけど大満足!眺めるだけでなく、身体全体でアートを体験したのは初めてです。2020年秋までの限定開催なので、行くなら今しかない!!
自分の可能性が広がっていくようですっごくワクワクします。これからもいっぱい知識を溜めて、いろんなところでセンスを発揮していくぞ〜!
〈今回の格言〉「センスはつくれる!」
▼今回の書籍
『センスは知識からはじまる』
センスは生まれついたものではなく、あらゆる分野の知識を蓄積することで向上する。顧客の嗜好が多様化する時代、スキルよりもセンスを磨くことで、仕事を成功させるノウハウを紹介。
▼このテーマに興味がある方へ
『デザイン思考の先を行くもの』
革新的な創造に必要なのは、「個人の見立てる力」と「未来からの逆算力」。 これらを原動力に生み出された5つのビジネスやデザインの実例を元に、誰もが斬新な発想を生み出せる4種類のメソッドを紹介。
鈴木ふみ奈 Suzuki Fumina
1990年生まれ。埼玉県出身。オフィスポケット所属。愛称は「ふみにゃん」。
日本大学芸術学部音楽学科サックス専攻卒業。2009年より雑誌のグラビアを中心にタレント活動を開始。ミスFLASH 2011グランプリ。第3回「AKIBA TOKYO COLLECTION」グランプリ。ミス・ワールド・ジャパン2018ファイナリスト。趣味・特技はサバイバルゲーム、麻雀、読書、サックス、ピアノ、殺陣、ハイキック、ハンドスプリング。最新DVD&Blu-ray「Golden Smile」好評発売中。
【取材協力】
チームラボプラネッツ TOKYO
<会期>
2018年7月7日 – 2020年秋
<時間>
平日 10:00 – 22:00(最終入場21:00)
土日祝 9:00 – 22:00(最終入場21:00)
※時期により異なるためHPをご確認ください。
<休館日>
※時期により異なるためHPをご確認ください。
<住所>
東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO
<アクセス>
新豊洲駅より 徒歩1分
豊洲駅より 徒歩10分
<公式サイト>
https://planets.teamlab.art/tokyo/jp
Photo Coji Kanazawa