雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム2022
雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム ロゴ
活動の様子01
活動の様子02
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/306674/LL_img_306674_1.jpg
雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム2022
■『雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム』
本プログラムは「アートを通じて社会と自然環境の調和をデザインする試み」として2020年からスタートしました。これまでの2年間で、絵画、写真、彫刻、バイオアート、伝統工芸、漫画などの多分野にわたる計12名のアーティストを迎え、充実した活動を展開することができました。
(活動の様子)
2021年: https://kumonodaira.com/artist/gallery_2021.html
2020年: https://kumonodaira.com/artist/gallery_2020.html
以下がプログラムのステートメントです。
通常ならば長期滞在することが困難な北アルプスの最奥地にある雲ノ平の自然に浸って、新しい表現に挑戦してみてはいかがでしょうか?
自分で現地まで歩く能力は必要ですが、生活面は全てこちらでサポートします。
■コンセプト
山をめぐる表現活動に、もっと多様性があっても良いのではないか?という思いがこの計画の根底にあります。
今、世界を見渡すと「自然との関係性」を見直そうという機運が、至る所に見受けられます。
気候危機や資源の枯渇、その背景にある資本主義の歪みや格差問題、情報化の混乱など、人類の繁栄そのものが自分達の危機でもあるという矛盾した状況の中で、「自然とは何か」という問いが、日増しに大きな疑問符になって突きつけられています。その問いに向き合うためにも、まずは足元にある自然に改めて目を向けることで、気付くことがあるのではないでしょうか。
日本の自然環境は世界の中でも指折りの豊かさを誇り、生物の多様性や景観の美しさの面でも非常に優れた特徴を持っています。また、江戸時代以前の日本は、木造建築文化や茶道、花道、陶芸や漆芸といった多彩な工芸など、豊かな自然の資源を生かした独自の文化で彩られていました。しかし、20世紀以降の近代化の流れの中で、古い文化は急速に放棄され、「殖産興業」に傾倒するあまり近代思想としての自然保護運動も根付かなかったことで、現在は自然と人間社会の分断が著しい状況になってしまっています。
年間1000万人に迫る莫大な数の登山者が利用する北アルプスのような国立公園でさえ予算や人材が著しく欠乏し、自然保護のシステムがほとんど存在せず、社会に自然の価値や魅力を発信するべき学問や芸術の分野も低迷する中、各地で山は荒廃が進んでいます。
これも、アウトドアカルチャーが普遍的な文化、日常生活に根ざした自然観の領域まで根付いておらず、あくまでも「趣味」の一ジャンルとして扱われてきた弱さだと言えます。
この状況を打開するにはどうすれば良いでしょうか?
言論活動として問題提起が必要な一方で、同時に求められるのは、より豊かな想像力を持ち、文化としての懐を深めていくことなのではないかと私たちは考えています。
それは、経済の発展が自然環境や生活を破壊し、一方で自然保護派は現代社会を全否定する、という対立の連鎖ではなく、山と街、歴史と現代、生活や産業を緩やかなグラデーションでつなぎ合わせ、高次元に調和した環境を社会のデザインとして生み出すことです。
都会の喧騒を逃れて山を訪れるだけではなく、山で育んだイメージを都市の創造性に還元し、日常的により多くの人々が自然の価値について考える機会を作ることで、自然環境と都市空間の分断を解消していく。
経済活動と自然環境は必ずしも矛盾するものではありません。むしろ持続可能な経済とは、人の幸福感や、世界の美しさを抜きにして語れるものではないはずです。
こうしたことを理屈抜きに証明するためにこそ、芸術表現の発展は不可欠なのです。
夜、雲ノ平の平原にたって目を閉じれば、そばにあるのは、空と大地だけ。街灯りはなく、あたりは山々の影が冷厳とそびえ、谷底からは太古の昔と変わらない黒部川の沢の音がかすかに聴こえてくる。夜明けには、鳥たちのさえずりが薄明の中新しい一日の到来を告げ、日の出とともに湧き上がる谷風は花々をそっと揺り起こす…
雲ノ平はあるがままの自然のエッセンスを表現者の精神に取り込むのに、この上ない環境だと言えるでしょう。
自然の存在は、あらゆる芸術の根源的な衝動を孕んでいます。
無限の色彩、大地の豊穣、圧倒的な破壊をもたらす地殻変動、死と再生の森。そのダイナミズムは古代文明の呪術的な宗教美術からコンテンポラリーアート、生活の道具から商業デザイン、念仏からクラシック音楽、パンクロックに至るまで、全ての芸術活動を内包していると言っても過言ではありません。
人と自然の触れ合うところに常に、アートは生まれてきたのです。
山小屋が、人と自然の新しい関係性を創造する基地として、最大限生かされるためにはどうすれば良いのか。その想いから今回の「雲ノ平山荘アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」は生まれました。
こうした小さな一歩が、手詰まり感のある国立公園問題や、アウトドアカルチャーの持続可能性にとっても、ポジティブな刺激になることを願っています。
絵画、写真、グラフィックアート、建築、文学など、あらゆる分野の表現が対象となります。
もちろん「明るくて優しい」表現である必要もなく、暗く激しい表現も歓迎します。
雲ノ平の自然から、みなさんなりの新しい表現を引き出していただければ嬉しい限りです。
多くの方の応募を心からお待ちしています。
■募集要項
期間 :7月下旬から10月初旬の間の最大2週間程度。
人数 :3~4名
募集分野 :芸術全般
雲ノ平での創作活動の成果を何らかの形で雲ノ平山荘に
還元してください。
「製作した作品を寄贈していただき、展示する。」
「デザインを提供していただき、製品にする。」
「文章や音楽を発表する。」
など、話し合いの中で様々な選択肢があると思います。
費用の支給:国内 3万円
国外 応相談
その他条件:雲ノ平山荘に歩いて来られる方(1泊2日のトレッキング)
山小屋の生活に対応できる方
(※詳細はお電話やメールでお尋ねください。)
ご自身の作品、及び活動内容が分かる資料を
送付していただいた上で審査します。
応募期限 :2022年5月15日(日)
応募方法 :審査のために必要な下記の資料をご提出ください。
郵送・E-mailいずれでも結構です。
なお、提出した資料の返却を希望する場合には
着払いで返送しますので、お申し出ください。
郵送の場合:〒238-0225 神奈川県三浦市三崎町小網代1464
雲ノ平山荘 担当 伊藤麻由香 行
E-mailの場合: kumonodaira@kumonodaira.net
a. 応募用紙(募集ページよりWordまたはPDFをダウンロード)
b. 過去6か月以内に撮影された顔写真1点
c. ご自身の作品・作風がわかる資料
(ポートフォリオや各種データ等、形式は問いません)
※データの場合、インターネット上のリンクや画像等ではなく、ダウンロード可能な形式で送付してください。
※作品の実物等を送付する場合、厳重に取り扱いますが、保管について責任を負いかねますのでご了承ください。
審査結果発表は6月中旬を予定しています。
アーティスト・イン・レジデンス・プログラム2022募集ページ
https://kumonodaira.com/artist/2022.html
2022年度のアーティスト募集と並行して、雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム展覧会 【Diffusion of Nature「自然」をめぐる視点】を開催いたします。本展は、「雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」に参加したアーティストの作品と雲ノ平での制作過程を紹介するとともに、アーティストの活動を通して「自然とは何か」 という問いに向き合うことをテーマに企画した展覧会です。本展会期中にはアーティストトーク、ゲストトーク等の各種トークイベントを実施いたします。ゲストトークにおいては社会学者の宮台真司さんをお招きし、歴史におけるアートと自然環境との関連性に触れながら、現代社会の多元的な課題に迫ります。
※ゲストトークの当日参加チケットは完売となりましたが、後日アーカイブ配信をしますので、ぜひご視聴ください。
■雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム 展覧会
Diffusion of Nature「自然」をめぐる視点
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/306674/LL_img_306674_5.jpg
雲ノ平山荘 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム展覧会 【Diffusion of Nature「自然」をめぐる視点】
会期 : 2022.4.19(火)-2022.4.30(土)
時間 : 13:00-20:00(最終日 11:00-15:00)
会場 : <The 5th Floor>
〒110-0008 東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ5階
https://ja.the5thfloor.org/
<HB.nezu>
〒110-0008 東京都台東区池之端2-6-12-201
https://www.facebook.com/HBNezu-112459413555574
入場料 : ¥500(book付き)
アーティスト : 若木くるみ/soar/加々見太地/shibi/四ツ井健/
渋田薫/マイマイ/齋藤帆奈/只野彩佳/大東忍/
渡邊慎二郎/渡邉塊/森田友希
会期中イベント: 4.23(土)、29(金)15:00ー17:00
アーティストトーク(参加無料)
4.24(日)17:00-19:00
ゲストトーク(予約制、チケット完売)
詳細は以下
協賛 : AND DESIGN INC.
川原真由美
渡辺歯科医院
展覧会WEBサイト
https://kumonodaira.com/artist/exhibition.html
-ゲストトークイベント-
宮台真司×伊藤二朗
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/306674/LL_img_306674_8.png
宮台真司×伊藤二朗 -自然と社会を横断する二つの視点から-
宮台真司×伊藤二朗 -自然と社会を横断する二つの視点から-
雲ノ平山荘アーティスト・イン・レジデンス・プログラム Exhibition
Diffusion of Nature
-「自然」をめぐる視点 自然と社会を横断する二つの視点から-
本トークイベントでは、ゲストに社会学者の宮台真司さんを迎え、歴史におけるアートと自然環境との関連性に触れながら、現代社会の多元的な課題に迫ります。今、世界を見渡せば、環境危機に始まり、資源問題、格差問題、情報化の混乱、コロナ禍、戦争など、かつてない規模で文明の歪みが顕在化しています。
なかでも環境危機は、人類の繁栄とトレードオフの関係性とも言えるものです。多くの意味において、人々の利益追求そのものが原因であることが事態を複雑化させており、根本的に私たちが自然環境との関係性、「生き方」を見直さなければ決して打開できない性質のものだということができます。
また、私たちの暮らす日本では、市民社会の成熟を経験しないまま、工業化やグローバル経済化に傾斜した近代化を辿ったことで、生活の根底から自然環境(風土性)との関係性が失われつつあり、社会の持続可能性に大きな影を落としています。そのことは、展覧会を主催する雲ノ平山荘を取り巻く国立公園の保全体制の脆弱性などにも、端的に見てとることができます。
こうした現実世界の危機に対して、私たちが連帯して向き合うべき状況とは裏腹に、デジタルシステムの過剰な発達と、生活のシステム依存化によって、人々が現実世界そのものとの距離感や共感を喪失しつつあるという現実も、私たちの前に立ち塞がります。共同体の消失、思考の島宇宙化、実態としての「環境」への疎遠化が進む中、私たちはどのようにして、持続可能な世界を思い描くことができるのでしょうか。
この大きなテーマを、人文学、芸術表現、アウトドア、科学などの視点を横断的に検討しながら、宮台真司さんと読み解いてみたいと思います。
日時 : 2022.4.24(日)17:00-19:00
ゲスト : 宮台真司(社会学者)
ホスト : 伊藤二朗(雲ノ平山荘経営者、展示主催者)
ファシリテーター: 齋藤帆奈(現代美術家、展示参加メンバー)
会場 : The 5th Floor 屋上(荒天時は会場変更)
〒110-0008 東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ5階
https://ja.the5thfloor.org/
動画 : 後日アーカイブ配信予定
当日参加チケット: 完売
ゲストトークイベントWEBサイト
https://kumonodaira.com/artist/exhibition_event.html