【図表1】イノベーション能力と組織風土の傾向
【図表2】イノベーション能力と組織風土の傾向
【図表3】イノベーション能力と組織風土の傾向(値の差の比較)
業種
分析の結果から、イノベーション能力に優れた組織の特長として、下記を確認することができました。
「同業他社よりイノベーション能力に優れているか」の問いに対して、「当てはまる」と答えた企業は、以下の組織風土の特長をもっていることがわかりました。
・ビジョンの浸透
→将来像(ビジョン)・戦略・方針について従業員からの理解・共感が得られている
・部門間協働
→従業員は他部署の人に積極的に会いに行き、異質な知識・経験を各人の仕事に活かしている
・アイデア創出と組織学習
→前例のない新しいアイデアでも言いやすい風土がある
→失敗やチャレンジから学ぶことが重視されている
・社会課題への高い感度と能動的行動
→自分たちが世の中にどう役立ちたいのかについて、日常的に会話がなされている
→自分たちの活動が世の中の期待に沿っているかどうか、定期的に確認している
→地域や環境・資源などの社会課題をキャッチしようとしている
→変化する顧客・市場に対して先見性をもった試みを実践している
→先見性をもって、新しい技術やノウハウを活かした取り組みをしている
→先見性をもって、地域や環境・資源などの社会課題の解決に取り組んでいる
→世の中の変化に応えるために、他社や地域コミュニティ、NPOなど外部と連携した活動をしている
なお、今回の調査で用いた組織風土を評価する設問は、JMAが提唱している「KAIKA」経営モデルにおける「組織の活性化」と「組織の社会性」に関する項目を使用しました。分析の結果から、イノベーション能力に優れた組織は、KAIKA度が高い傾向にあると捉えることができます。
■「企業のイノベーション創出と組織活性化に関する実態調査」概要
調査時期:2020年1月16日~2月14日
調査対象:JMAの会員企業およびサンプル抽出した全国主要企業の
経営企画・マーケティング・人事・総務部門の役員・部長クラスの役職者(計3,500社)
調査方法:郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数・回収率:回答数240社・回答率6.9%(回答企業の概要は後述)
■分析結果の詳細
○ 今回の調査では、設問の一つとして「同業他社よりイノベーション能力に優れているか」を尋ね、「当てはまる」から「当てはまらない」の5段階で回答を得ました。
○ 一方で、組織風土についての設問を複数設定し、それぞれについても「当てはまる」から「当てはまらない」の5段階で回答を得ました。なお、これらの設問は、JMAが提唱している「KAIKA」経営モデルを測定するための「組織の活性化」「組織の社会性」に関する項目を使用しています。※KAIKA経営(詳細は後述)
○ そのうえで、組織風土についての設問について「当てはまる」を5点、「当てはまらない」を1点として、イノベーション能力の企業群ごとに平均値を算出し、比較を行いました。結果、【図表1】のとおり、イノベーション能力に優れている企業は、「組織内で、自分たちが世の中でどう役立ちたいのかについて、日常的に会話がなされている」等について、顕著に当てはまる傾向が見られました(差異の大きかった箇所に黄色で印をつけています)。
【図表1】イノベーション能力と組織風土の傾向
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_1.png
【図表1】イノベーション能力と組織風土の傾向
【図表2】イノベーション能力と組織風土の傾向
○ 【図表1】をもとに、「同業他社よりもイノベーション能力に優れているか」の設問に対する回答群ごとの組織風土の傾向(平均値)を比較したグラフです。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_2.png
【図表2】イノベーション能力と組織風土の傾向
【図表3】イノベーション能力と組織風土の傾向(値の差の比較)
○ 「同業他社よりもイノベーション能力に優れているか」の設問について「当てはまる」と回答した企業群と、「全体平均」ならびに「当てはまらない」企業群における組織風土の傾向値の差を示したグラフです。
○ 「イノベーション能力に優れている」について「当てはまる」と答えた企業群と「全体」の平均の差が1.00以上あった項目と、「当てはまる」企業と「当てはまらない」企業の差が1.80以上あった項目を赤枠で印をつけています。
○ この結果から、イノベーション能力に優れている組織には、ビジョンが浸透している、部門間の協働がある、アイデアが創出され組織的に学習する、社会課題への感度が高く能動的に働きかけている、といった特長があると考えることができます。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_3.png
【図表3】イノベーション能力と組織風土の傾向(値の差の比較)
■回答企業の概要
・業種
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_4.png
業種
・従業員数
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_5.png
従業員数
・売上高
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_6.png
売上高
■「KAIKA」とは
○ JMAでは2012年度より、社会・経済が多様化・多元化するなかにおける新しい経営・組織づくりの考え方として、「KAIKA(開花・開化)」を提唱しています。「個人の成長」「組織の活性化」「組織の社会性」を同時実現することにより、新たな価値を生み出し続けることができるという考え方です。
○ この普及活動の一環として、(1)KAIKAの考えに共感し、その実現に向けた取り組みを行っている組織を認定する「KAIKAアクション宣言」制度、(2)優れた実践を行っている組織やプロジェクトを表彰する「KAIKA Awards」の実施、(3)組織のKAIKA度をセルフチェックするためのツール「KAIKA度診断」の提供、(4)KAIKAの考え方や実践事例を紹介する隔月誌「KAIKA」の発行などの活動を行っています。
詳細はホームページ( https://kaikaproject.net/ )をご参照ください。
■KAIKA経営モデル
個人の成長 = 目標感、自律性、成長・貢献実感
組織の活性化 = ミッションやビジョンの一貫性、信頼と協働、チャレンジと学習
組織の社会性 = 社会への感度、多様性の尊重、社会課題への働きかけ
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/210442/LL_img_210442_7.png
KAIKA経営モデル