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喜多川歌麿「婦女人相十品 ポペンを吹く娘」江戸時代/寛政4-5年(1792-3)頃、大判錦絵、 メトロポリタン美術館蔵 Image copyright (C)The Metropolitan Museum of Art / Image source:Art Resource,NY 展示期間:2020年4月21日~5月10日(愛知会場)
東洲斎写楽「3代目大谷鬼次の江戸兵衛」江戸時代/寛政6年(1794)、大判錦絵、 シカゴ美術館蔵 Photography (C)The Art Institute of Chicago / Image source:Art Resource,NY 展示期間:2020年4月3日~5月31日(愛知会場)
葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」江戸時代/天保2-4年(1831-33)頃、横大判錦絵、 ミネアポリス美術館蔵 Photo:Minneapolis Institute of Art 展示期間:2020年4月3日~5月2日(愛知会場)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/202172/LL_img_202172_1.png
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本展は2014年に開催し、全国3会場で約38万人を集め、浮世絵ブームを作り出した「大浮世絵展」に続く展覧会です。今回は浮世絵/Ukiyo-eの歴史の中でも、キラ星のごとく輝いた人気絵師である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の5人にフォーカスし、国内のほか欧米の美術館、博物館、個人コレクション等から傑作だけを集めました。
歌麿は美人画、写楽は役者絵、北斎と広重は風景画、国芳は勇壮な武者絵と機知に富んだ戯画─と、絵師のエッセンスを凝縮した内容は、「誰もが知っており、そして誰もが見たい」ものになっています。ぜひ、本展覧会にご期待ください。
<展覧会構成>
第1章「喜多川歌麿」
美人画の名手として知られる歌麿は、はじめは狩野派の町絵師、鳥山石燕(とりやませきえん)に学びました。歌麿は北川豊章の号で絵入版本や細判の役者絵を制作していましたが、1782年頃、「歌麿」と号を改め蔦屋重三郎と組むようになってから、一気に評判を得て活躍します。歌麿の作品の中でも、人物の上半身をアップで描く大首絵の美人画には、歌麿の確かな技術と女性を美しく描き出す繊細な感性が現れています。「婦女人相十品 ポペンを吹く娘」は、女性の一瞬の表情を捉え、そこに宿る感情を描き出しています。ガラスの玩具で遊ぶ娘の振り返る表情には、うら若い娘の無邪気な素顔が描かれています。
歌麿の描く美人画には、女性ひとりひとりの個性や感情が描き出され、ただ美しいだけではない女性のさまざまな姿がそこに表されています。
第2章「東洲斎写楽」
あまりに奇抜な役者絵を描いた写楽は、わずか一年で名を挙げ、そして突然制作をやめてしまいました。背景に黒雲母摺(くろきらずり)をほどこした大首絵という豪華な形式と江戸三座に取材した28枚の役者絵という制作量の多さは、写楽が特別の扱いを受けていたことを示しています。「3代目大谷鬼次の江戸兵衛」は、3代目大谷鬼次の演じる悪役江戸兵衛が睨みをきかせる場面です。悪になりきる役者の姿を描いた写楽の役者絵は、まるで役者自身が悪人に見えるほどの迫力があります。役者の真の姿を描き出すような、時に誇張の過ぎる表現は賛否両論の反応を得ましたが、その斬新な表現は浮世絵界に衝撃を与えました。
謎の多い写楽が誰なのか、さまざまな説がありますが、阿波侯の能役者斎藤十郎兵衛(宝暦13年~文政3年(1763~1820))とするもの以外に有力な説は見当たりません。
第3章「葛飾北斎」
日本だけでなく世界でも知られる北斎は、はじめは勝川春章に入門して役者絵や美人画を描いていました。勝川派を離れてからはさまざまな画風を学び、挿絵や摺物(すりもの)の制作を通した戯作者(げさくしゃ)や狂歌師(きょうかし)といった文化人との関わりは、北斎の画風形成に大きな役割を果たしました。北斎の長い生涯を通じて大量に制作された版本挿絵は、北斎の画風確立には欠かせない重要な位置を占めています。「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は世界で最も有名な作品と言われ、その大胆でありながら精密に計算された大波と富士山の配置、リアルな波の描写は印象的です。北斎の風景画は「冨嶽三十六景」や「諸国瀧廻り」など、70代前半の作品にこれまでの挿絵の制作経験や洋風画の学習が結実して現れています。
また、花鳥版画では実物をよく観察したであろう博物学的な写実性を持つ独自の表現を模索し、「朝顔に蛙」では変化朝顔の鮮やかな色の違いと奇抜な形を見事に表現しています。
第4章「歌川広重」
広重は北斎とともに風景画でよく知られていますが、北斎とは全く異なる画風で人気を得ました。歌川豊広に入門した広重は温和な画風を身につけ、風景画では各地の風景を叙情的な画面にすることで、鑑賞者の心に響く作品をつくります。「東海道五十三次之内 蒲原 夜之雪」は、本来であればあまり雪が降らないはずの蒲原を、しんしんと雪が降り積もる夜の景色へと見事に変貌させています。そこに描かれた人物は、鑑賞者が自身を重ね合わせることを想定しているのか、どれも後ろ姿で印象的です。広重は花鳥版画においてもこの情緒的な画風を最大限に活かした作品を制作しました。「月に雁」は切手の図柄としても有名ですが、満月を大胆に横切る雁の勢いと藍のぼかし摺りが美しい作品です。
広重の花鳥版画は親しみやすく愛らしい図様で、鑑賞者の気持ちを和ませます。
第5章「歌川国芳」
国芳は斬新な発想に基づく奇抜な画風で幕末の浮世絵界に新風を吹き込みました。とりわけ近年評価が高まっている戯画は、現代人にも受け入れられる面白さがあります。国芳の武者絵は人物の細部への描き込みと目に鮮やかな色彩、そして力強いポーズで鑑賞者を惹きつけます。「宮本武蔵の鯨退治」は大判を三枚つなげた大画面いっぱいに鯨を描き、その背に小さな武蔵が乗っています。鑑賞者を驚かすこのような工夫は国芳の作品に共通する特徴です。そして戯画では動物を擬人化したものや影絵を利用したものなど、国芳のユーモアのセンスが光ります。「其まゝ地口猫飼好五十三疋」は、東海道五十三次の宿場を猫の姿でだじゃれにしたものです。
その愛らしい猫の姿と少し無理のあるだじゃれがかえって面白く、一匹一匹の仕草に見入ってしまいます。
<みどころ>
◎5人の浮世絵師の展覧会を一堂に
国内外で現在もっとも人気のある歌麿、写楽、北斎、広重、国芳の5人の粋を集めた展覧会です。各絵師のエッセンスであるジャンルに絞り、誰もが見たことのある作品が並び、各絵師の展覧会5つが、一堂に会したような豪華な内容になっています。
◎浮世絵本来の鮮やかさを残す作品の数々
浮世絵は、保存状況によって作品状態に大きな差が出ます。本展では、国際浮世絵学会の監修のもと、国内外の優品を集めました。浮世絵本来の鮮やかさに目を奪われます。
<開催概要>
会期 : 2020年4月3日(金)~5月31日(日)
開催時間: 10:00~18:00 金曜日は20:00まで
(入館は閉館30分前まで)
会場 : 愛知県美術館〔愛知芸術文化センター10階〕
名古屋市東区東桜1-13-2
お問合せ: ハローダイヤル TEL 050-5542-8600(全日/8:00~22:00)
主催 : 愛知県美術館、国際浮世絵学会、読売新聞社、中京テレビ放送
協賛 : 光村印刷
休館日 : 毎週月曜日(5月4日開館)、5月7日(木)
公式HP : https://dai-ukiyoe.jp/
Twitter : @DaiUkiyoe
https://twitter.com/DaiUkiyoe
※会期中に展示作品の入れ替えがあります。
観覧料 : 一般1,400(1,200)円、高校・大学生1,100(900)円、中学生以下無料
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
※前売り券は、2020年1月3日(金)から4月2日(木)まで
主要プレイガイド、コンビニエンスストア店頭で販売、
4月3日(金)~会期中は当日料金で販売。
※上記料金で同時開催のコレクション展もご覧になれます。
※「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の
いずれかをお持ちの方、また、その手帳に「1種」または
「1級」と記載のある方に付き添われる方は1名まで
当日料金が半額になります。
美術館チケット売場にてお買い求めください。
※小・中学生は美術館チケット売場で
無料鑑賞券をお受け取り下さい。