図表A 業況判断DI
図表B 倒産数見通し
図表C 問題債権の発生状況
図表D 3年間の貸倒れ金額
[調査結果]
(1) 全体的に景況感は悪化
日本国内の企業に対して景況感に関するアンケート調査を行い、1,596社より回答を受領した結果、全体では「景況感はよくなった」と回答した企業の割合と「景況感は悪くなった」と回答した企業の割合の差(DI)は、▲10.0ポイントでした。2018年調査時(DI値+6.6ポイント)に比べて大幅に低下しており、景況感の悪化が明らかになっています。RM会員(同▲10.7ポイント)、非会員(同▲9.3ポイント)ともに同程度の悪化であり、全体的に景況感が悪化している様子がうかがえます。(図表A)
業種別に見ると、全体では多くの業種が前回調査時よりも悪化しており、14業種中8業種がマイナス値でした。特に「製造業」(DI値前回▲1.3ポイント→同今回▲27.9ポイント)、「金融業・保険業」(同前回+15.4ポイント→同今回▲7.7ポイント)、「宿泊業、飲食サービス業」(同前回±0.0ポイント→同今回▲35.7ポイント)、「複合サービス業」(同前回+20.0ポイント→同今回▲50.0ポイント)の悪化が目立ちました。
一方、「運輸業、郵便業」(同今回+7.1ポイント)のみ前回から改善し、「情報通信業」(同今回+18.6ポイント)は、昨年から引続き良好な景況感を維持している様子がうかがえます。
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図表A 業況判断DI
▼図表A 業況判断DI
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(2) 昨年に続き「倒産数増加」予想が多数
2020年度の倒産動向予想についてアンケート調査を行ったところ、「倒産数は増加すると思う」(回答率58.3%)が「倒産数は減少すると思う」(同3.8%)を大幅に上回る結果となりました。
業種別に見ると、多くの業種において「倒産数は増加すると思う」が半数を超える回答となり、特に「金融業、保険業」(同75.0%)、「複合サービス業」(同75.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」(同66.7%)において、高い回答率でした。
同様に地域別では、「北海道」(同45.0%)を除くすべての地域において、「倒産数は増加すると思う」が半数を超える回答となりました。(図表B)
▼図表B 倒産数見通し
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(3) 貸倒れ・回収遅延の発生実績が増加!
直近3年間の貸倒れ・回収遅延の発生状況を調査したところ、本アンケート項目の取得を開始した2015年以降、初めて「貸倒れまたは回収遅延が発生した」(回答率60.6%)が「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」(同39.4%)を上回りました。
一方、RM会員においては、過半数が「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」と回答(同58.7%)しており、非会員(同76.9%)の回答を大幅に下回りました。貸倒れ・回収遅延が増加する中で、RM会員においてはリスクを回避できている様子がうかがえる結果となりました。(図表C)
「貸倒れが発生した」と回答したRM会員企業に対して、直近3年間の貸倒れ発生金額を調査したところ、最も回答率が高い金額帯は「1円以上1百万円未満」(回答率38.6%)でした。全体でも「5百万円未満」(同70.0%)の貸倒れが大半であり、比較的少額の貸倒れに留まっている様子がうかがえます。
業種別に見ると、「建設業」、「卸売業、小売業」において「30百万円以上」の高額債権の貸倒れの割合が他業種に比べ高くなっており、同様に地域別では、「関東」、「近畿」において、「30百万円以上」の高額債権の貸倒れの割合が高い様子がうかがえます。(図表D)
▼図表C 問題債権の発生状況
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▼図表D 3年間の貸倒れ金額
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(4) 与信管理にかかるコストは引続き低減傾向
直近1年間の与信管理コスト(※)について調査したところ、全体では「0.5百万円未満」(回答率36.1%)が最も多く、次いで「0.5百万円以上1百万円未満(同20.3%)、「2百万円以上5百万円未満」(同15.7%)、「1百万円以上2百万円未満」(同13.7%)の順となりました。
非会員においては、「0.5百万円未満」(同42.9%)の割合がRM会員(同29.0%)に比べて高い一方、「10百万円以上」の割合も非会員(同7.9%)がRM会員(同6.9%)を上回っています。与信管理意識が年間の与信管理コストにつながっていると思料されます。
業種別では、「複合サービス業」(同25.0%)、「金融業、保険業」(同20.0%)において、「10百万円以上」のコストを使用している企業の割合が高くなっています。一方、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「医療、福祉」においては、1百万円以上の与信管理コストを使用しているとの回答はなく、与信管理にかけるコストは、業種によって違いがある様子がうかがえます。(図表E)
※与信管理コスト…与信管理業務において、企業の信用評価を行うために収集する情報や利用するサービスに費やすコスト。
▼図表E 与信管理コスト
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[総評]
第6回(2019年)調査における業況判断DIは▲10.0ポイントと第3回(2016年)調査(▲2.7ポイント)以来のマイナス値となりました。2桁のマイナス値は初であり、企業の景況感が大幅に悪化している様子がうかがえる結果となりました。
日銀が10月1日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観)における業況判断指数(DI)では、大企業製造業が+5となり、2013年6月調査以来の低水準となりました。また、内閣府が10月7日に公表した景気判断は「悪化」に下方修正されています。景況感の悪化が見られる中で、本アンケート回答企業の約60%が「今後倒産が増加すると思う」と回答しています。
(3)の調査結果において、すでに全体の60.6%の企業で貸倒れまたは回収遅延が発生しており、前回から18.4ポイントの大幅な増加となっていることからも、すでに悪化の兆候が表れているといえます。
与信管理の最大の目的は、倒産による貸倒れの回避です。昨今の景気回復に伴い、貸倒れが発生していない企業や貸倒れを経験したことのない与信管理担当者がいるかもしれませんが、貸倒れはたった一度の発生であっても最悪の場合、企業の経営基盤に致命的な影響を及ぼすことを忘れてはなりません。
与信管理が今後一層重要視される可能性が高い状況下で、(3)の調査にて、RM会員における貸倒れまたは回収遅延が発生した企業が前回調査から3.0ポイント減少しているのに対し、非会員では40.2ポイントの急増となった事実は、リスモンサービスが与信管理に大きく寄与していることを表しているといえるでしょう。
今後もリスモンサービスを活用して与信管理を行う会員企業が、貸倒れ回避およびリスクのある取引を事前に回避できるよう、会員企業の発展に寄与してまいります。
※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
[実施概要]
・調査名称 :第6回「企業の取引リスクに対する意識」調査
・調査方法 :インターネット調査およびダイレクトメール調査
・調査エリア:全国
・期間 :RM会員 2019年10月9日(水)~11月8日(金)
非会員 2019年2月1日(金)~11月14日(木)
・調査対象者:RM会員(2,703社)及び非会員
・有効回収数:RM会員 736サンプル
非会員 860サンプル
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しており、今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでいます。
掲載サイトはこちら http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
■リスモンの概要(東京証券取引所第二部上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要にサービス分野を拡大し、各事業部門・子会社(与信管理サービス、ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等)およびBPOサービス)ごとに取り扱うサービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2019年9月末時点で12,509(内、与信管理サービス等6,377、ビジネスポータルサイト等3,216、その他2,916)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/