黒澤 敏浩氏
最新の給与水準調査では、アジア各国では世界的なデジタル化の動きによりIT系の職種を中心に年収が大きく上昇し、インドやタイなどの一部の国では日系製造業の日本語ネイティブ人材の年収が大きく上昇しました。現地の消費市場の拡大を背景に、コンシューマーグッズやサービスの分野でも給与の上昇が目立っています。
●アジア各国ではIT系職種の給与上昇が目立つ一方、消費財などでも上昇
●タイやインドなど、一部のアジアの国々では日本語ネイティブ人材の給与上昇も見られた
●しばらく年収の変動がなかった日本では、広範囲の職種で年収が上昇
【アジア】 給与の大きな上昇が見られた領域の職種(例)
<シンガポール>
領域 :IT業界 - 技術系部長級 - 外資系
2018年調査 :125-180千SGドル
2019年調査 :168-280千SGドル
上昇率(上限値):56%
<マレーシア>
領域 :IT業界 - SE - ローカル資本
2018年調査 :30-50千リンギ
2019年調査 :40-70千リンギ
上昇率(上限値):40%
<インドネシア>
領域 :IT業界 - 技術系部長級 - 外資系
2018年調査 :510-1,020百万ルピア
2019年調査 :561-1,430百万ルピア
上昇率(上限値):40%
<タイ>
領域 :IT業界 - プロジェクトマネージャー - 外資系
2018年調査 :1,000-1,460千バーツ
2019年調査 :1,050-2,400万バーツ
上昇率(上限値):64%
領域 :製造業 - 海外営業 - 日系 - 日本語ネイティブ
2018年調査 :780-990千バーツ
2019年調査 :980-2,100千バーツ
上昇率(上限値):112%
<ベトナム>
領域 :コンシューマーグッズ業界 - プロダクトマネージャー - 外資系
2018年調査 :13-20千USドル
2019年調査 :26-45千USドル
上昇率(上限値):125%
<中国>
領域 :コンシューマーグッズ - プロダクトマネージャー - 外資系
2018年調査 :140-160千人民元
2019年調査 :170-200千人民元
上昇率(上限値):25%
<韓国>
領域 :サービス業界 - 営業職 - 外資系
2018年調査 :2,500-4,000万ウォン
2019年調査 :2,700-5,500万ウォン
上昇率(上限値):38%
領域 :IT業界 - 営業職 - 外資系
2018年調査 :3,000-4,500万ウォン
2019年調査 :3,000-5,500万ウォン
上昇率(上限値):22%
<インド>
領域 :製造業 - 技術系部長級 - 日系 - 日本語ネイティブ
2018年調査 :2,200-4,400千ルピー
2019年調査 :3,000-5,000千ルピー
上昇率(上限値):14%
※特に言語属性の記載のないものは英語スピーカー。
【日本】 給与の大きな上昇が見られた領域の職種(例)
領域 :管理部門 - 経理 - シニア - 日系
2018年調査 :400-700万円
2019年調査 :450-800万円
上昇率(上限値):14%
領域 :管理部門 - 海外子会社管理 - 日系
2018年調査 :500-800万円
2019年調査 :600-1,000万円
上昇率(上限値):25%
領域 :ヘルスケア業界 - 学術 - 日系
2018年調査 :400-800万円
2019年調査 :500-1,000万円
上昇率(上限値):25%
領域 :IT業界 - 社内SE(アプリ) - マネージャーレベル - 日系
2018年調査 :700-1,000万円
2019年調査 :700-1,200万円
上昇率(上限値):20%
領域 :製造業 - 品質管理 - 日系
2018年調査 :400-700万円
2019年調査 :500-800万円
上昇率(上限値):14%
領域 :製造業 - 強電設計 - 外資系
2018年調査 :500-900万円
2019年調査 :600-1,000万円
上昇率(上限値):11%
領域 :施工管理 - 日系
2018年調査 :450-800万円
2019年調査 :500-900万円
上昇率(上限値):13%
領域 :Web業界 - 営業職 - 日系
2018年調査 :400-800万円
2019年調査 :450-900万円
上昇率(上限値):13%
日本では長年にわたり年収の変化は見られませんでしたが、2018年から一部職種で上昇し始め、通年では広範囲にわたり年収が上昇しました。特に、日系企業における年収の上昇が目立ちました。
ただし、アジアの日系企業と現地系および欧米系の外資系企業との給与差は開いたままで、優秀な人材の採用や定着に難航している企業も少なくありません。日系企業の中には福利厚生など、給与以外の制度を手厚くすることで会社の魅力度を上げる取り組みを行う動きもありますが、転職や就職を判断する際、給与差が非常に大きいことからその効果は限定的です。そのため、両方を並行して取り組むことが求められます。
JAC Recruitmentは1975年にイギリスで初となる日系人材紹介会社として設立以来、日系企業の海外進出支援を開始。日本では1988年に設立以降、日本と海外で成長を目指す日系企業の支援を積極的に行っています。当社は人材紹介をはじめとする様々な支援を通じて日系企業の成長をサポートすることで、日本経済の活性化に貢献してまいります。
なお、当給与調査を纏めたレポート「The Salary Analysis in Asia 2019」は、以下からご参照ください。
URL: http://corp.jac-recruitment.jp/sa/
※ プレスリリース内の各表のデータは全て年収です。
■ジェイ エイ シー リクルートメント
プリンシパルアナリスト(The Salary Analysis in Asia監修)黒澤 敏浩のコメント
https://www.atpress.ne.jp/releases/174600/img_174600_1.jpg
発展が多様化しているアジア各国で共通した傾向が表れるのは近年珍しく、IT系に関しては比較的共通して上昇がみられる一年となりました。また、日本で広範囲に給与の上昇がみられるのは非常に珍しい画期的な事態です。給与レベルがすべてではありませんが、優秀な人材を採用・確保するためには給与面や処遇などの配慮がますます重要になっています。
■「The Salary Analysis in Asia 2019(アジア主要9ヵ国の中途採用時給与レポート 2019年度版)」について
ジェイ エイ シー リクルートメント(日本)が8ヵ国のグループ会社(シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、香港・中国、韓国、インド)と共同で、各現地法人の採用動向に基づき当調査を実施。主に人材紹介サービスを利用している企業の中途採用求人を対象として、その給与水準を資本(日系、外資系、現地系)、業界、職種ごとに区分し、コンサルタントの知見を加味しています。なお、アジア各国の日系企業、外資系企業の給与動向を比較して発表しているのは、当社の給与ガイドのみとなります(当社調べ)。
調査期間:2018年7~9月
■株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント
1988年設立。人材紹介専業では国内唯一の東証一部上場企業であり、人材と企業を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」スタイルの人材紹介会社としては国内最大の規模です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介を強みとしており、外資系企業、日系企業の海外事業を中心とするグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。海外における人材採用については、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国のJAC Recruitment Groupのネットワークでサポートしています。
より詳しい情報は、以下ホームページをご参照ください。
コーポレートサイト: http://corp.jac-recruitment.jp
転職サイト : http://www.jac-recruitment.jp