若代姉妹(ゲストハウス「城崎若代」を運営する大石瑞穂さんと吉高千尋さん)
若代外観
若代外観暖簾
若代外観夕景
その第1号プロジェクトとして、築90年の元旅館建築物「若代(わかよ)」を、女性宿泊者専用のゲストハウス「城崎若代」としてリニューアル。元経営者であった父の想いを受け継ぐ姉妹が、2018年4月1日にオープンし、営業を開始します。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/153317/LL_img_153317_1.jpg
若代姉妹(ゲストハウス「城崎若代」を運営する大石瑞穂さんと吉高千尋さん)
■ゲストハウス「城崎若代」開業の経緯について
「若代」の建物は、約90年前に邸宅として建てられ、その後「置屋」として活用されていました。ホストを務める姉妹のご両親が約40年前に「旅館」に転用して営業を始め、2016年2月に営業を休止、ホストの父親の死去により廃業を余儀なくされました。
当初、旅館を事業継承するつもりがなかったご家族ですが、建物を壊す相談を始めた折、生まれ育った場所への思い、父の想い、母娘の思い出、姉妹の思い出など、過ごしてきたことへの断ち難い気持ちが募ってきました。
ちょうど、城崎温泉でも同様の事業継承が難しくなった旅館の業態転用の仕組みづくりを検討しようと考えていた当社・湯のまち城崎は、そのような若代さんの行く末についての相談にのる機会があり、「ゲストハウス」として再スタートすることを提案いたしました。その結果、姉妹が旅館とは違う魅力を持つ「ゲストハウス」の「ホスト」として、想いを継いでいく決意をしました。そして、幾つかのゲストハウスやホステルの宿泊や見学・ヒアリング、城崎温泉内の他旅館での研修などを行った上で、このたび開業に至りました。
■ゲストハウス「城崎若代」の内容について
「城崎を、自由に気楽に楽しめる、女性限定の和風ゲストハウス」という基本コンセプトに基づき、事業の組み立てを行いました。
その魅力は、何と言ってもホスト姉妹の優しい魅力です。朗らかな笑顔と明るい声の但馬弁で話しかける彼女たちとの出会いは、自由で気楽な旅のスタイルに、鮮やかな思い出を加えることになるでしょう。また、ゲスト同士の交流ができる「ゲストリビング」や1人でも連泊でも気楽に泊まることができる和室ドミトリーは、今までの城崎温泉の宿にはない新しい魅力づくりと言えます。女性だけで経営している宿として、お客様も女性限定とさせていただくことで、1人でもグループでも、心からリラックスしていただけると思います。
宿泊は、和室個室が4室(1室3~5名)、ドミトリー1室(7人)の小さなゲストハウスです。個室は複数名のお客様のご利用、ドミトリーはお一人からご利用できます。一人一泊5,000円(ドミトリーは3,800円)を標準宿泊費としています。
ゲストリビングでは、ホストやゲストとの交流が楽しめます。プチキッチンも備えており、簡単な調理が可能です。また、基本は外湯を利用してもらいますが、シャワーもご用意しています。
築90年の和風邸宅建築物の趣をできるだけ残しつつ、トイレや水回りは新装し、パウダースペースも設置。趣あるお庭も含め、共同空間も快適に過ごせます。
なお、宿の内容や宿泊予約は、城崎若代公式ウェブサイトから確認できます。
https://kinosaki-wakayo.jp/
■城崎温泉の取り組みと当事業について
城崎温泉は、1300年の歴史を誇る温泉地で、大谿川沿いの石積み護岸と太鼓橋、しだれ柳の風情や木造三階建ての建築物のならぶ街並み景観が特徴的な、関西を代表する温泉観光地の1つと言えます。しかし、2011年頃まで宿泊者数・日帰り入湯者数とも10年以上減少が続いていました。そこで、2012年以降、観光関連組織が中心となり、温泉観光地としてのビジョン「日本の温泉街(にっぽんのおんせんまち)」としての魅力を高める「エリアマネージメント」の取り組みと、民間まちづくり会社「株式会社 湯のまち城崎」を設立して事業の展開を図り、成果を上げています。
近年は、人口減少に伴う人手不足問題にもまちぐるみで取り組んでいるところですが、特に後継者難が原因で旅館経営の事業継続が難しくなっています。城崎温泉は、比較的小規模の旅館が多く、70あまりの旅館の多くは家族が中心となる経営を行っています。そのため、事業が継続できなくなると、建物を壊したり改変することになり、集積効果や景観形成に大きな影響を及ぼすことが予想され、城崎温泉のブランディングやイメージに悪影響を及ぼしかねません。
2012年以降、宿泊者数が増加に転じている要因の1つとして、訪日外国人の増加があります。浴衣や下駄で外湯やまちをめぐり、温泉街の風情を楽しむ光景は、すっかり街に定着してきました。一方で、その多様なニーズに、特に宿泊の形態や料金の多様化や「泊食分離」というまちぐるみの取り組みについても、力を入れていく必要があると考えています。
もともと、城崎温泉は、7つの「外湯」を中心に構成されており、「まち全体で、お宿のようなおもてなし」すなわち、外湯がお風呂、旅館が客室、道路は廊下で、駅は玄関、お土産店が売店…という形になっています。このたび、「ゲストハウス」という新たな宿泊形態をまちぐるみで増やしていくことで、宿泊ニーズの多様化と温泉街の魅力アップを目指していくとともに、国内宿泊業における事業継承形態の1つとして、全国的にも先駆的な「観光まちづくり」の挑戦です。
■事業概要
<名称>
城崎若代(きのさきわかよ)/簡易宿所にて営業許可済
<事業主体>
株式会社 湯のまち城崎(代表取締役:西村肇/西村屋会長)
城崎若代/建物所有者2名(大石瑞穂、吉高千尋)
<主な協力団体>
城崎温泉旅館協同組合(理事長:芹澤正志/株式会社 湯のまち城崎専務取締役/お宿芹)
城崎温泉観光協会(会長:原良式/株式会社 湯のまち城崎取締役/ときわ別館)
<事業企画プロデュースチーム>
事業総合プロデュース :古田篤司(株式会社 湯のまち城崎取締役/JISSEN.CO代表)
建物全体設計 :合同会社人・まち・住まい研究所(代表社員・浅見雅之)
ゲストハウス内装等デザイン:MGNT(マグネット/代表・坪田直)
グラフィックデザイン :株式会社marble.co(代表取締役・長井秀文)
ウェブデザイン :株式会社ウェイズ(協力・秋山泰史)
建物・内装等工事 :株式会社毛戸工務店(代表取締役・毛戸勝)
営業戦略立案協力 :株式会社マーケティブ(代表取締役・田中一成)
経営計画立案協力 :公認会計士作花良祐事務所
資金調達協力 :一般財団法人民間都市開発推進機構、但馬信用金庫
<オープン日・営業日>
4月1日(日)から、年間330日以上営業予定(不定休)
<ゲストハウス延床面積>
建物総床面積347m2 内営業床面積214m2
<事業費(ゲストハウス部分のみ)>
約1,500万円
※うち、600万円をまちづくりファンド出資金を活用
■参考1 城崎温泉まちづくり会社「株式会社 湯のまち城崎」について
城崎温泉のエリアマネジメント・観光活性化を目的に、2012年7月に設立した株式会社。城崎温泉旅館協同組合など、地元の観光・商工関連9団体が出資する民間会社。事業としては、豊岡市から観光関連施設の指定管理業務を受託しているほか、地区内施設の共同管理や海外人材インターンシップ事業など、地域の課題を解決しながら、継続的な収益事業を行っている。
■参考2 「城崎まちづくりファンド」について
国土交通省所管の一般財団法人民間都市開発推進機構(東京)の持つ制度「マネジメント型まちづくりファンド」に基づき、2018年1月に設立。城崎温泉の良好な景観形成等に資する廃業旅館や遊休地を活用した活性化事業で、地域課題解決に寄与する民間事業に対して出資し事業推進を支援。同機構と但馬信用金庫が3,000万円ずつ出資し、計6,000万円のファンドを形成。泊食分離に対応した簡易宿所や外国人観光客等の増加に対応したレストラン事業など、民間主体の地域再生に役立つことが期待されている。