
ロシアの侵攻を受けるウクライナのシビハ外相は、17日に公開されたウクライナメディア「RBC」のインタビューで、将来的なロシアとの和平交渉で譲ることのできない「レッドライン」として、領土の一体性など3項目を挙げた。
ウクライナは11日、サウジアラビアであった米国との高官協議で30日間の一時停戦に同意した。今後、ロシアも同意して一時停戦が成立し、和平に向けた交渉が本格化した場合、これらの条件を主張するとみられる。
シビハ氏が挙げたのは、ウクライナの領土の一体性と主権の確保▽北大西洋条約機構(NATO)加盟など、同盟相手の選択に干渉しないこと▽ウクライナ軍の能力や規模を制限しないこと――の3点。シビハ氏は「これが包括的な平和のすべての要素だ」と語った。
領土について、シビハ氏は「ウクライナは占領された地域を決して(ロシア領として)認めない」と語った。
ウクライナは従来、自国領からの露軍の完全な撤退を終戦の条件としてきた。ゼレンスキー大統領は最近、占領地は停戦後に外交で取り戻したいとの姿勢に転換したものの、ロシアへの領土の割譲は否定している。シビハ氏は、こうした姿勢を改めて強調した形だ。
米国のトランプ政権は、ウクライナが領土面で譲歩する必要があると主張している。ロイター通信によると、ゼレンスキー氏は米国との高官協議で領土問題についても議論されたと明かしたが、15日の会見では、領土の問題は「複雑」なため「後で詳細に議論すべきだ」との考えも明らかにした。
一方、ロシアは2022年9月に一方的に併合したウクライナ東部と南部4州からのウクライナ軍の撤退などを条件としてきた。ウクライナの主張とは隔たりがあり、交渉は難航することが予想される。【ベルリン五十嵐朋子】