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「遺影の前で崩れ落ちた」 山形・中1自殺 「いじめ主因」認めず


山形県酒田市で中学生の石沢準奈さんが自殺した事件に関連し、市の再調査委員会は準奈さんが他の生徒からいじめを受けていた4件を認定しました。しかし、遺書に特定の生徒を非難する表現がないことから、いじめが自殺の直接的な原因とは認められないと結論付けました。また、準奈さんのSOSに対する学校と教員の対応の欠如が指摘され、状況次第では自殺を防げた可能性があるとされています。準奈さんの父親は、この結論に対して理解しがたいとし、いじめが原因で娘を失ったことへの悲しみを表明しています。

 山形県酒田市立中1年だった石沢準奈さん(当時13歳)が2021年2月、遺書を残して学校で自殺した問題を巡り、いじめ防止対策推進法に基づく市の再調査委員会は7日、報告書を矢口明子市長に答申し、公表した。他の生徒からのいじめ4件を認定したが、遺書に特定の生徒を非難する表現は見当たらないなどとして、亡くなったこととの「因果関係を認めるには足りない」と結論づけた。

 一方、準奈さんが発したSOS11件を学校と教員が全て見落とすなど「組織的対応の欠如に問題があった」と指摘、対応次第では「自殺を図るという事態に至らなかった可能性も否定できない」とした。

 再調査委が報告書でいじめと認めたのは、無視したりにらんだりする態度を取られた▽げた箱に「死ね・キモイ」と書かれた紙を入れられた▽LINE(ライン)で容姿をからかわれた――行為など。

 再調査委の栗山博史委員長は答申後に記者会見し、「(自殺の要因に)いじめが全く無関係とはいえないが、もともと抱えていた否定的な自己認識の影響の程度が大きいと推定される」と述べた。

 準奈さんが亡くなった直後、酒田市教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定しながら、第三者委員会を設置して調査に着手するまで7カ月を要するなど、調査のガイドラインから逸脱。第三者委は22年4月、いじめについて「自殺の主因とはしない」などとする結論をまとめたが、遺族が再調査を求め、市は22年10月に再調査委員会を設置し、調査を続けていた。【長南里香】

最愛の娘失った父親「この上なくつらい結果」

 酒田市に再調査を求めてきた石沢準奈さんの父親は、調査結果を受けて毎日新聞にメッセージを寄せた。一部を紹介する。

  ◇

 再調査が始まって2年、やっと終わりました。いじめが自死の主要因ではないと判断されてしまいました。

 いじめ防止対策推進法では、いじめとされる行為は「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と記載されています。

 「大人の世界でも当然起こりうる出来事ですが、何でもかんでも“それはいじめ”“嫌がらせ”と決めつける判断をしたら大変なことになります」と(再調査委員に)言われました。

 言いたいことは理解できますが、亡くなる1カ月前の娘の心身が最大限に弱っていたとき、陰湿な嫌がらせがいじめじゃない理由って何でしょうか?

 そんな加害者寄りの思考や判断に私はどうしても理解ができませんでした。

 「いじめられた事実はあるけどもいじめで死んだわけではない」。このような全く理解できない判断に、とても悲しい気持ちに打ちひしがれ、娘の遺影の前で崩れ落ち、涙が止まりませんでした。

 私たちの娘、準奈がいなくなって先月で4年の月日がたち、生きていればこの春から高校3年生です。

 最愛の娘を失った親として、この上なく辛(つら)い調査結果ではありましたが、それでも長い時間をかけて調査してくださいました。

 準奈の優しさや笑顔に触れ、想(おも)ってくれていた全ての方たちにこの場を借りて感謝を申し上げます。

 せっちゃんと共に生きた13年間は私にとって、とても大切な宝物のような時間でした。その大切な宝物を胸に刻みながら何とか生きていこうと思います。

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