宮台真司さん「心当たりない」 死亡の男性、別宅からおの発見

　東京都八王子市の東京都立大南大沢キャンパスで昨年11月、教授で社会学者の宮台真司さん（63）が首などを切られて重傷を負った事件で、警視庁捜査1課は1日、容疑者とみられる相模原市南区の無職男性（41）が死亡していたと明らかにした。事件から約2週間後の昨年12月に自殺したとみられる。

　捜査1課によると、昨年12月17日に同居の母親が自宅から約300メートル離れた別宅で死亡している男性を発見した。男性は普段別宅で寝起きしていた。遺体の状況などから前日の16日に自殺したとみられる。遺書はあったが、事件に関する記載はなかった。

　家族は警視庁に対し、男性は同月12日から食事を取らなくなるなど「様子がおかしくなった」と話しているという。捜査1課は同日、容疑者が映った防犯カメラの画像を公開していた。

　一方、男性と宮台さんの関わりは明らかになっていない。宮台さんは男性の名前や顔の画像を確認したが、「全く心当たりがない」と説明したという。

　捜査1課によると、大学周辺の防犯カメラで事件1週間前の昨年11月22日に容疑者が自転車でコンビニに立ち寄る様子が確認された。捜査1課は、この自転車のメーカーを特定し、容疑者が逃走した方向にある相模原市などで購入者を調べたところ、今年1月30日に男性が浮上。男性について、容疑者が事件当日に乗っていた別の自転車も所有▽容疑者と体格や顔が酷似▽容疑者の逃走方向に自宅が所在――などから、容疑者とみて矛盾がないと判断した。さらに裏付けを進め、容疑が固まり次第、殺人未遂容疑で書類送検する方針。

　また、男性の別宅を家宅捜索したところ、長さ約30センチのおのが見つかり、事件との関連を調べる。容疑者が事件当日に身につけていたオレンジ色のニット帽などは見つかっていない。

　男性の自宅近くに住むパート女性（73）は約5年前、男性の母親が「息子が引きこもりでこれから先どうなるのか」と心配しているのを聞いたという。

　事件は昨年11月29日午後4時15分過ぎに発生。宮台さんが後ろから男に刃物で切りつけられ、全治約6週間の重傷を負った。捜査1課は昨年12月と今年1月の2回にわたり防犯カメラ映像を公開するなどして調べていた。【鈴木拓也、木原真希、岩崎歩】