「富岳」でコロナ対策に貢献＝紫綬褒章に理研・松岡さん―神戸

　紫綬褒章に決まった理化学研究所計算科学研究センター（神戸市）の松岡聡センター長（５９）は、多数の研究者が関わった世界最速のスーパーコンピューター「富岳」の開発を主導した。「代表者として受け取る感覚があり、だからこそうれしい」とほほ笑む。新型コロナウイルス感染が拡大する中、富岳は運用開始時期を前倒しし、治療薬の開発研究や飛沫（ひまつ）シミュレーションなどで貢献した。 　中学生の時にコンピューターに出会い、魅了された。本格的に学びたいと志し、東京大に進学。その後東京工業大の教授となり、２０１０年に同大で開発したスパコン「ＴＳＵＢＡＭＥ（ツバメ）２．０」は当時、国内最高性能を誇った。 　富岳の開発では、部品調達などメーカーとの調整に苦労し、「プロジェクト存続の危機が何回もあった」と明かす。富岳の長所を「いろいろな問題解決に使える汎用（はんよう）性」と強調。津波発生時に波の高さを予測して避難場所と避難時間を瞬時に示すシステムなど、さまざまな分野に応用可能という。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕スーパーコンピューター「富岳」の前で取材に応じる理化学研究所計算科学研究センター長の松岡聡さん＝２６日、神戸市中央区